「極上のアイドル映画」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN じゅんぢさんの映画レビュー(感想・評価)
極上のアイドル映画
1960年代と言えばカウンターカルチャーが生まれようとしていた時代で、伝統と言うのが崩れかけていた時代。
その中から出てきたのがボブ・ディラン。
クライマックスでエレキギターを手にするのはボブ・ディランにとっては普通だけど、その前の世代に取っては大問題ってストーリーは、別段大したことない。
でもこの映画の魅力は役者たちに尽きる。エドワード・ノートンは過去の役柄のイメージとは真逆の人当たりの良い中年を演じきっていて、彼の演技の振れ幅に心底感心した。
ティモシー・シャラメに至ってはトム・クルーズを超える美男俳優で演技力は抜群。今まさに乗りに乗ってる彼にとって、この企画は彼の魅力を最大限に引き出している事に成功した。
トライアンフのボンネビルT100に跨るシャラメの後ろにはギターか可愛い女の子。
イケメンだけどちょっと寂しそうな表情を浮かべ、どこか頼りない雰囲気を醸し出しながら、その時代を憂う詩を語る美声を披露する。これには女の子は絶対放っておけないでしょう。
エドワード・ノートンが完全に引き立て役になってしまった終盤はちょっと可哀想なくらい。
昔のアイドル映画は中身空っぽで、アイドルは下手な演技が当たり前だったけど、サーチライトはこの映画でアート映画レベルに引き上げてしまった。
これは見事で究極のアイドル映画です。
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