今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
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みんなの「このき」が詰まったストーリー
展開は他にもありそうなものだったかもしれませんが、気持をそのまま丁寧に相手に手渡すように出演者一人ひとりがあらわにしていたセリフの一つひとつがサイコーでした。
また、出演者皆さんの演技がストーリーに「さちせ」な空気を溢れさせていました。
特に河合優美さんはやっぱり見事でした。他の方が花さんを演じることを想像できなくさせるくらいの説得力があったように感じました。彼女自身は、人間の強いところ、弱いところを巧みに演じわけていたように見えました。
終盤にドアップで見せられた細やかな表情のうつろいには、文字通り目を奪われる想いでした。
さっちゃんにも、花さんと小西さんが感じた「運命的な偶然バンザイ」な瞬間があったはず。
さっちゃんがいなかったら、二度目のセレンディピティはなかった。
さっちゃんの言葉があったからこそ、小西さんはきちんと想いを表現できた。
二人が、さっちゃんも「絶対幸せだった」と言えるようになったとき、日々が小さなセレンディピティで成り立っていると気付けたとき、「今日の空が一番好き」と言い合えるようにもなるんでしょうか。
喫茶店のマスターがオムライスを大事にするように、二人が「初恋クレイジー」を大事に過ごしていく様子を想像したら、「さちせ」な気持になりました。
とても切ないです。
今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
なかなか素敵なタイトルです。破調の前衛短歌みたい。念のため音数を数えてみたら、6音、6音、7音、3音の並びで計22音、意外にも31音の短歌より17音の俳句に近くて驚きました。今日の空というのもなかなかいいですね。たまの休みに朝起きて窓から空をみたら、どんよりと曇り空、テレビからは午後には雨が降り出すとの天気予報、そうだ、午後には歯医者の予約が入ってたんだっけ…… これで今日の空が一番好きと言えたら、無敵だと思います。
さて、物語は桜の花が咲く大学のキャンパスから始まります。大事な人との辛い別れがあってしばらく大学を休んでいた主人公の小西くんは何ヶ月ぶりかにキャンパスに戻ってきます。そこで彼は学食で背筋をぴんと伸ばして蕎麦をすする 頭をお団子に結った素敵な女の子を見つけます(後に彼女の名前が桜田花だとわかります)。彼は銭湯の掃除のバイトにも復帰しますが、そこにはバイトの相棒のさっちゃん(咲)という女の子がいます。
ということで、キャンパスに咲きほこる満開の桜を背景に主要登場人物の2人の女の子の名を詠みこんで一句ーー
花咲きて 一番好きな 今日の空
以下、ネタバレマークも入れてませんし、俳句を交えながら、先を急ぐとしましょう。
やがて季節は初夏になり、小西くんと桜田さんはさまざまな偶然も重なって(セレンディピティというそうな)、毎朝、いっしょに喫茶店で食事をしたり、水族館やボウリング場でデートするような仲になります。
新緑に 無敵夢見て 今日の空
でも、梅雨の頃、桜田さんは突然、小西くんの前から姿を消すのです。そのかげにはある大きな出来事がありました。
稲妻に 引き裂かれたり 今日の空
そして、物語はある夏の日の出来事にて大団円を迎えますが、その先のある秋の日を思い巡らせてみましょう。キャンパスに行ったら、法文坂のあたりでふたりに出会えるはずです。
傘越しに きみと見上げた 澄んだ空
え、天気がいいのに相合傘? まあ傘はふたりのラッキーアイテムですから。そして、ふたりに声をかけてやってください。辛い夏を乗り越えてちょっぴりだけど大人の階段を登ったふたりは背筋をしゃんと伸ばして微笑みながら声をそろえて、こう答えるはずです。
今日の空が一番好き。
大九監督の本作に対する気合が充分に感じられる一作
大九明子監督作品、期待をして観続けてはいるのですが、残念ながら自分との相性はあまりよくありません。特に皮肉なことではありますが、ご自身の出自でもある「お笑い芸人」と組んだ作品はどれも好みではなく、本作も観る前から不安を感じつつも、逆にキャストは好みの面子だったこともあって劇場鑑賞を決意。ゴールデンウイーク前半の飛び石連休に挟まれた月曜ですが、テアトル新宿10時からの回は結構な客入りです。
で、本作を観終わってまず感じたことは「(大九監督の)本作に対する気合が充分」だと言うこと。原作は未読ですが、おそらく本作を映像化するために考えられた演出は全般で効果的に機能しており、ずっとタッグを組んでいる「大九組」の一人、米田博之氏の独特な編集も相まって、ストーリーに「語られる以上の行間」があって厚みを感じます。そしてまた、タイトルや音楽を入れるタイミングは巧みで実に気落ちが良く、かなりイカしていると思います。
ところが、全体的には終始エモーション一辺倒な演出と展開で、127分観終わるころにはメンタル面はマヒしてくる一方、いつしか身体が強張ってフィジカルはどっと疲れます。特に、メインキャラクターを演じる萩原利久さん、河合優実さん、そして伊東蒼さん、それぞれの役が心情を吐露するシーンはどれも結構な長台詞。俳優たちの演技に「凄いな…」と感心しつつも、かなり高めのテンションで容赦のない言い分は思いのほか攻撃的で、それらを聞き続けているだけで胃が痛くなります。そして、主人公・小西徹(萩原利久)の人間性については共感は疎か近寄りがたい。恐らくは「正にそういうところ」を表現したかったのだと想像しますが、外的な要因をきっかけに極端に感情のON/OFFをし、更に周囲を巻き込んでまた落ち込む様子は最早「モンスター」。どう考えてもカウンセリングが必要なレベルで、(映画上のストーリーが終わった)この先の将来もまた折に触れてモンスター化することを想像して、どうしても彼を好きになる女性の無事を願わざるを得ません。
とは言え、素晴らしい演技を見せてくれるキャストの皆さんは期待通りだし、今作の出来事態は「悪くはない」と思える大九監督。敢えて言えば、ストーリー、世界観、そしてキャラクターなど、やはり根本的には「原作」が自分とは合わなかったかな。。
あと取り敢えず些末な事ではありますが、講義はお喋りせず、ちゃんと最後まで聞こうね。それと、テレビの音量は普通に近所迷惑です。老害ですまんけどさ。
クソ映画かと思ったら、後半3分の1くらいで急展開
「かぞかぞ」の半分くらい
NHKで放送した「かぞかぞ」の脚本家兼監督と主演女優の作品なので期待して観に行ったが河合優実と伊東蒼のモノローグ以外は平板な映画だった。「かぞかぞ」はヒロインの七実の父親が死んで母親は病気で下半身不随となって弟はダウン症と「24時間テレビ」のドラマあたりなら「感動を呼ぶ」ようなドラマになりそうな話なのにコミカルなくらいに正反対な作品なので余計だ。最後に主役の2人と一緒に死んだ父親と幼い頃のヒロイン姉妹や死んだ妹が登場するのが「かぞかぞ」で七実と一緒に亡父が登場したシーンみたい。何でもBSで放送した「かぞかぞ」を見たTBSのスタッフが河合優実に「ふてほど」の純子役をオファーしたという話だ。「かぞかぞ」で福地桃子が演じたマルチのようなヒロインを引き立たせる脇役がいればいいんだけど。
見応えのある映画だったんですが……
各方面で評判がよかったので拝見しました。
期待しすぎたのか、序盤は少し退屈で演出過剰に感じました。ただし、そこで積み上げられた細かな伏線が効いてくる中盤からは非常に見応えのある作品になってます。
その意味でトータルとしては非常に評価してるのですが、細かな部分では「出来すぎ」な感じは気にかかる。タイトルにもなっている「今日の空が一番好き」というエピソードか重なっていたり、主人公たちが何度も鉢合わせする「偶然」は苦手。青春だから、と言われればそれまでですが。
また、「さちせ」や「このき」はいかにもな感じで好きではないです。「お話のキーですよー」と言う感じが強くて。
文句なしで好きなのは山根と「さっちゃん」に関するエピソードですね。
残念だったのはラストシーンの演出。あれはスピッツの曲を大音量で流したまま、何を言ってるか観客にも聞こえない状態だった方が心に沁みた気がします。あそこは長台詞の見せ場でもあったのでしょうが、ハッキリと観客に聞き取れる言葉にしてしまったがために、小西のデリカシーのなさが改めて明確になってしまって嫌でした。
文句はいっぱい言ってますが、見てよかった映画です(笑)
P.S. 山根、お前、ほやマンの弟だったのかよ!
河合優実と伊東蒼が良かった
大学生の小西徹は冴えない毎日を過ごしていたが、ある日、お団子頭の女子大生・桜田花に目を奪われ、思い切って彼女に声をかけた。いろいろな偶然も重なり、意気投合した2人は、毎日楽しいって思いたい、今日の空が一番好きって思いたい、と桜田の言葉が、小西に響いた。その言葉は、小西が大好きだった亡き祖母の言葉と同じだったからだ。桜田と出会いを嬉しく思ってた小西だったが、そんな矢先にバイト仲間のさっちゃんが・・・そして・・・そんな話。
何という偶然。ま、恋愛小説が原作だし、映画だし、なんだけど、小西はいくら興味無くてもバイト仲間なら苗字くらい知っとけや、とは思った。
桜田花役の河合優実とさっちゃん役の伊東蒼は長台詞も感情込めて演じてたし、2人を観る作品かな。
伊東蒼演じるさっちゃんおすすめの、初恋クレージー、鑑賞後にyoutubeで聴いたが、イントロ含め良かった。
リア充ですが何か?
『大九明子』の手腕は、
コミュニケーション不全の人間を主人公にした時に、
抜群の冴えを発揮する。
〔勝手にふるえてろ(2017年)〕の『松岡茉優』しかり、
〔私をくいとめて(2020年)〕の『のん』しかり。
それを本作では男子大学生に置き換え、
新たな傑作を生みだした。
故郷の横浜を離れ「関西大学」に通う『小西(萩原利久)』は、
家庭の事情もあり大学を長期間休んでいた。
大学の敷地内では日傘をさすとの奇矯な行動に象徴されるように、
他の学生との間に自分から垣根を作っており、
学内に友人は『山根』しかいない。
そんな彼が、
独りで蕎麦を啜るシニヨンの女子学生『桜田花(河合優実)』に目を留め、
思い切って声を掛けると、
これがどうにもウマが合う。
細かい感性がぴたりと嵌り、
会話はとことん盛り上がる。
が、何日かを楽しく過ごしたのち、
彼女はふっつりと姿を消す。
ここから「消えた女と探す男」にストーリーは移って行くのかと思えば、
そうはならない。
『小西』は自身の妄想に閉じ籠り、
気遣う『山根』にさえ邪険な態度をとる。
共感できぬ人物の典型例。
観客はこの後の成り行きを
顔を顰め冷たく見つめる。
そもそも彼は孤独な存在ではない。
『山根』のような友人も居るし、
バイト先の銭湯では店主やその娘に頼りにされている。
なによりもバイト仲間で同じ大学に通う『さっちゃん(伊東蒼)』は、
彼に好意を抱いているように見える。
その『さっちゃん』が、夜道で独白にも似た長台詞を吐くシーンは見せ場。
彼女の全身をフレームに収めた長回しと
時として『小西』の顔のアップを挟み乍ら
台詞は途切れず延々と続く。
聞いていて胸がかきむしられる
心に突き刺さる切な過ぎる内容も、
実はこの場面がキーポイント。
物語りの転換点且つ、最後のシーンと鮮やかに対比させ繋がる、
出色の構成なのだ。
それにしても、役をこなした『伊東蒼』は素晴らしい。
この場面だけで、更に一皮剥けたような成長を感じさせる。
そののちに、思いもかけぬ展開が待ち受ける。
が、それは先に『さっちゃん』が語った言葉をよくよく吟味すれば、
ある程度は予見できたもの。
そしてまた彼女の感性も、実は『小西』と似ていたことの背景でもある。
その場面と
次に挙げるシークエンスだけで
本作を観る価値は十分にある。
顔のアップが多用される
『花』と『小西』の長い会話は、
やはり印象的。
深い悲しみから立ち上がり、
新たな希望を掴もうとする二人を再生へと導く。
そもそもの出会いが
劇中何度も繰り返される「セレンディピティ」だったことも、
改めて指し示す。
ジャルジャル文学。
さっちゃんにもっていかれた〜
河合優実さんが出演するということでとりあえず鑑賞予定に入れ、公開2日目に鑑賞してきました。思っていたのとは異なるテイストでしたが、若手俳優陣の渾身の演技が光る良作でした。
ストーリーは、いわゆる陽キャのグループには入れないタイプの大学生・小西徹が、おもしろみのない大学生活を送っていたある日、同じ講義を受けていた女子大生・桜田花の自分のスタイルを貫くような姿に惹かれ、思い切って声をかけたことをきっかけに、二人はあっという間に意気投合して、一緒に楽しい時間を過ごすようになるが、その頃、徹のバイト仲間のさっちゃんが突然姿を消してしまい、これが後に二人に暗い影を落とすことになるというもの。
人との距離感をつかみかねる若者が、誰かを好きになる喜びや切なさに一喜一憂する姿が、観る者の共感を誘います。人を好きになるのは本当に尊く素敵なことなのに、どうしてこんなに苦しく切なくなるのでしょうか。誰もが自身の学生時代を思い出して、胸が苦しくなると思います。昔以上に人間関係がデリケートになり、他人の目を必要以上に気にする現代の若者にも、今まさに経験している感情と重なり、刺さるのではないでしょうか。
また、あっというまに意気投合し、似たような価値観に居心地のよさを感じるようになった二人なのに、ちょっとしたボタンのかけ違いで、ネガティブな思考に傾くのも、恋愛初期のあるあるネタで共感度が高いです。ましてや小西のように、自分に自信がなく、周囲の視線を気にしている男ならなおさらでしょう。
その一方で、自分に好意を寄せている女性の気持ちにはまったく気づかない鈍感ぶりも、実に小西らしいです。男ってこんなものかもしれませんが、なんとなく小西は自分本位な恋愛をしそうなタイプに見えてしまいました。
そんな小西に対して、さっちゃんの長い長い告白が刺さりまくります。本作屈指の名シーンで、あまりにも実感がこもりすぎていて思わず泣けてきます。こんなに素敵な子はめったにいないし、小西にはもったいなさすぎます!河合優実さんももちろん素敵ですが、さっちゃん役の伊東蒼さんもすごいです。このシーンが強烈すぎて、主演の二人が食われ気味に感じるほどです。
それにしても、タイトルにある「今日の空が一番好き」って、なんだかいい言葉です。今日の空が一番を更新するということは、今日を最高にすることにほかならず、そのために今日に全力を尽くせということでしょうか。さっちゃんの渾身の告白の中にある「もし…だったら」という後悔を滲ませる言葉が思い出され、胸が締め付けられます。「今日の空が一番好き」って言える人生を送りたいですね。
主演は萩原利久さんで、ちょっと神経質でナイーブなキャラがよく似合います。脇を固めるのは、河合優実さん、伊東蒼さん、黒崎煌代さん、古田新太さん、安齋肇さん、浅香航大さん、松本穂香さんら。長い独白シーンが多いのですが、若手俳優陣がみごとにその大役を果たしています。
押す
ATフィールド全開大学生の友情と恋愛と喪失感の話。
半年ぶりに大学に行ったら、同じ講義に出席していたお団子頭の1人ざるそば女に惹かれて巻き起こっていくストーリー。
この子がボッチ?という感じしかない、明るく毒のない花ちゃんとナイスな偶然バンザ〜イだし、これまた良いヤツ過ぎる唯一の友達山根がいれば、そりゃあ大学生活楽しいでしょうがな主人公。
しかしながら喜べない真実の連続で、ネガティブワールドにハマり込んで行く姿は、そういうキャラではない自分にもド共感。
間違いなく恋愛映画ではあるけれど、なかなかヘビーな個々の境遇や機微がとても素晴らしく、恋愛映画ならではのクドさを感じるところも少々あったけれど、とても面白かった。
演技力
間違いなく大九明子印の作品ながら、なんだこのセルフ突っ込み多めの怒濤の関西弁一人語りは?と思ったらジャルジャル福徳の原作か…
あまりにも長い語りは好き嫌いが分かれるところだと思うが、河合優実と伊東蒼の圧倒的な演技力で説得力を持たせている。またそれを計算できるのが大九明子とも言える。
特に伊東蒼の夜の語りシーンをアップで終盤にもう一度持って来るところ、終盤の河合優実の語りシーンでの突然のズームはその信頼感の表れだったと思う。
また古田新太の感情の発露もさすがの味でしたね。
ストーリーは役者陣の演技力も相まってどうしたって泣いちゃうものなんだけど、泣かせるためのストーリー、泣かせるためのキャラクター設定になっている気がして気になってしまった。知らんけど。
面白い
高評価が意味不明
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