劇場公開日 2025年4月25日

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「大事な言葉にたどり着くまでの長さ」今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は TSさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 大事な言葉にたどり着くまでの長さ

2025年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

驚く

斬新

意味深な長いタイトルと、河合優実のお団子頭。

気になっていたけど、気づいたら上映が終わっていたという、いつものパターンで見逃した作品。配信で観たけど、劇場で観ておくべき作品だった。

あの夜の独白の翌朝、さっちゃんが横断歩道を渡る映像を見て、彼女がどうなるか察しがついてしまった私は、中盤でこんなことになって一体この話はどこにどう着地するのかが気になって仕方がなかった。そこからの展開は、ただただ原作と脚本(監督)の力に参ったとしか言いようがない。

冴えない日常、上手くいかない恋とか、肉親の死とか、感情を揺さぶる、共感を得られそうなエピソードを散りばめただけで、何か訴えたい核というか、中身がある感がしない。うん、中身は多分ない。
でも強いメッセージ性やジワジワ沁みるものがない青春映画でも、こんなに「観て良かった」と思える映画があるのだというのが新鮮な発見だった。

さっちゃん(伊東蒼)の渾身の独白シーンが強烈な印象を残す。この独白は、本職の作家が書けるものではなくて、コント芸人だから書けた台詞だと思った。上手く表現できないが。
そして、このシーンは、ただ単独で強烈な印象を残すだけでなく、ラストの小西(萩原利久)の独白に被せてくることで、その独白の持つ力を倍加させる。ここで持ってくるのかーとただただ驚き。このシーンの小西が急にイケメンに見えるのも不思議。

河合優実の脱力感というか、抜けてるようで実は内に熱いものがあるという演技の唯一無二感が好きなのだが、今作でもそれが観られて良かった。
ま、でもMVPは伊東蒼です。この先彼女を見たら絶対この映画を思い出す自信がある。

P.S.関大生と同志社大生?がバイトする銭湯って、どの辺にあるんだろうか?ということが気になった。

TS