「なかなかにすごい作品」敵 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)
なかなかにすごい作品
「敵」が姿を現す前の段階で、モノクロの画面に引き込まれた。
本当に、俳優・長塚京三がこういう日常を送っているんじゃないか、と思うくらい自然な立ち居振る舞いを見せるのだ。
敵がどうだ、こうだ、というのはほとんど意識する必要はない。
描かれる、老仏文学者の妄想と行動が実に深みがあるのだ。
「敵」が出てくると、逆にそれまでの静かな流れがひっくり返される印象がないでもない。だが、その部分は前半の流れを台無しにするようなこともなく、味付け程度と思ってよい。
全体から見れば、たいへんに良い出来栄え、と感じた。
★5つつけてもいい、と思わないでもないが、パンフレットがペラペラなのに1000円もするのが気になって、それで★半分マイナス。パンフレットは立ち読みして買わなかったけどね。
平日昼間で、封切りから1カ月近くたつというのに客入りは半分以上あったと思う。
未見の人は、ぜひ急いで見に行ってほしい。
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