劇場公開日 2025年1月17日

「恋は遠い日の花火にしておけ」敵 jfs2019さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0恋は遠い日の花火にしておけ

2025年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

映画の序盤は、何年も前に大学教授の職を退職し、妻にも先立たれ、庭付きの日本家屋に一人で住む渡辺先生の日常が細やかに描かれる。PERFECT DAYSの役所広司を思い起こさせる。

渡辺先生は基本朝昼晩自炊だけど、作る手料理は白黒でも美味しそうで、フードスタイリストの飯島奈美の安定した仕事っぷりが感じられるし、それをまた長塚京三が淡々ときれいな所作で美味しそうに食べるのがいい。ダブル松尾もいい味出している。

ところが、そんな丁寧な生活が、夢とも妄想ともつかないものに徐々に浸食されていく。加齢で衰えゆく脳が見せる悪夢なのか。渡辺先生のように丁寧でもないし裕福でもないけど、自分の老後もこんなふうになっていくのかと思うと恐怖を感じた。10年若かったらこの「敵」の怖さは理解できなかった、かもしれない。

jfs2019