「筒井ワールド全開!! 温度の無い世界、狂おしい世界、彼の待ち望んでいる世界、縁側とラスト映像に混乱から解き放たれ確信を得た。」敵 星組さんの映画レビュー(感想・評価)
筒井ワールド全開!! 温度の無い世界、狂おしい世界、彼の待ち望んでいる世界、縁側とラスト映像に混乱から解き放たれ確信を得た。
夏なのに暑さは感じられず
聞こえる秋の鳥の鳴き声にも
季節の空気も匂いも何も無く
その違和感は鑑賞中続いた。
理由はモノクロだからじゃない。
何かが違う…
現実と幻覚?残像?
誰もが感じる線引き
その狭間の謎は続いた。
彼と敵とその世界を
考えると面白い。
演技陣の冷めた目も気になる。
いい原作、いい制作、いい演技、
いい作品だと思った。
【以下、あくまで個人の解釈】
温度の無い世界の違和感。
現実はFirst 数カットの屋外のみ
その先からは彼の世界
縁側で目覚めるまで彼の中
敵と同居する彼の中…
そう思ったのは縁側以降の
現実と別世界の接点を見たからで
消えた若者と見えない男
消えた若者と納屋のシーン
未来と過去の場面の繋がり
でも…
春になれば…
実は縁側のシーン
それまでの表現と違う
違うから…温度は戻り
違和感は消えた。
消えたから
それとも…
始まりは縁側なのか、と
すでに敵と共存する世界に居て
ずっとそこに居た
そうも考えた。
縁側の後も
彼は春を待つために
ずっとそこに居る。
いまはこの解釈が大きい。
時空を超えた彼の存在
「欲」と「心残り」
「ひとり」と「みんな」
最後の最後のエンドロール
ずっと続くその生活音に
居続ける彼の存在を感じた。
面倒臭い書き方をしたが
いろいろ考えられるほど
面白い映画だった。
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