劇場公開日 2024年11月29日

「生と性の間で揺れ動く中年女性の二面性」山逢いのホテルで kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生と性の間で揺れ動く中年女性の二面性

2025年1月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

毎週火曜日に山間のリゾートホテルでその日限りの男を漁る妖婦。
一方で脳性麻痺の息子を仕立て屋を営みながら一人で世話をする良き母親。
その二面性を雄大な自然を背景に、スイスのマキシム・ラッパズ監督が仏女優ジャンヌ・バリバールを主演に迎え撮った女性映画。
仕立て屋を一人で営むクロディーヌ(ジャンヌ・バリバール)は障害のある息子バティストと2人で暮らしている。
良き母親であるが、週に一度息子の世話を近所の女性に頼み、山間にあるリゾートホテルに着飾って出かけ、後腐れのない男性を物色しアバンチュールを楽しんでいる。
後腐れないことが条件だったのが、ドイツ人の研究者ミヒャエルとの出会いで変わっていく。
一見古びたラブストーリーなのだが、障害のある息子の存在が重くのしかかるところが社会派映画としての二面性も描く。
スイスの美しい山間の風景なのだが巨大な人工物のダムが象徴的に描かれる。
逢瀬を楽しむホテルはダムの下にあり何千万トンの水がすぐ横にあるのだ。
その危うさとクロディーヌの行いの危うさがリンクする。
もう一つ象徴的なのが、息子のバティストが夢中になっいているダイアナ元妃の存在だ。
自由の象徴のような奔放な元妃はご存じのように交通事故で急死してしまう。
息子と恋人の間で葛藤するクロディーヌの末路とは・・
いろいろな解釈ができるラストシーンだ。

kozuka