ワン・フロム・ザ・ハート リプライズのレビュー・感想・評価
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ナスターシャ・キンスキーが歌うトム・ウェイツがマジで凄い
昔レンタルビデオで借りて、途中で観るのをやめてしまったのはなぜだったのか? 2、30年ぶりにきちんと見直してみようと映画館に行ってみた。コッポラが創作意欲にあふれていたのは伝わってくるが、やりたいことのスケール感と語るべき物語の釣り合いが取れていないように感じる。いや、男女の小さな痴話喧嘩を、バカでかいセットでファンタジックな音楽劇に仕立てようということはいいと思う。いいと思うんだけど、やっぱどうでもいい話だなと思ってしまうのは、ありきたりな話を面白がらせるほどの深みが宿ってないような気がしてしまうのだ。
しかし、どこにでも転がってそうな男女の凡庸な物語を、凝りに凝った手法を映像にするといういかにもコッポラらしい誇大妄想的なやり口は、唯一無二のイビツさがあって興味深く観ることはできた。
そして驚いたのが、おそらく本人が歌っているであろうナスターシャ・キンスキーの歌声。サーカスの娘役で曲芸を披露しているのも大したものだと思いつつ、カバーされるとクセの強さがかき消されて突然凡庸に陥りがちなトム・ウェイツの楽曲を、まったく曲の持ち味を損なうことなく歌いこなしていたから(サントラ盤ではウェイツが歌っているので映画のシーンでしか聴けない)。ナスターシャ・キンスキーが歌うシーンだけでもお釣りがくるし、絶品ではないにしてもほかでは味わえない料理を出してくれる価値があるのではないかと思った次第です。
薄味 熱量が低い 微妙
破産映画
現在、公開されているコッポラ特集のなかで一番観たかったのが今作「ワン・フロム・ザ・ハート」
「ラ・ラ・ランド」にも影響を与えたミュージカル映画だが、興行的には大失敗
コッポラが破産して、個人スタジオを売却する羽目になる問題作らしい
’82公開当時は自分は小五なので、もちろん知らなかったのだが(この年はE・Tの年)アラフィフになって観ると、全編セット撮影で(ラスベガスの街、空港もセット!)とにかくコッポラ、気ぃ◯ってるな、と(゚∀゚)
主演の2人(フレデリック・フォレストとテリー・ガー)が地味なので、助演のラウル・ジュリア(アダムス・ファミリーのお父さん)とナスターシャ・キンスキーのほうが主役顔
話自体も倦怠カップルの痴話喧嘩で、はっきり言ってどーでもいい話なのだが、セットのムダな豪華さ(お金の使いっぷり!)でトコトン引っ張っている
「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」の次の作品でコレなので、当時興行失敗するのもわからなくもないが、コッポラの映画に対する狂気っぷりが理解できる作品として、個人的には好きな小品(金はかかっているけど…)
でも、最近新作観ずに旧作ばっかり観ているな…オワリ
なんじゃ?
ロボットドリームズを観る予定でした。
しかしいつまで経ってもロボットが出てこない…、てか、アニメなのに実写??と違和感を感じつつも、まあオープニングはこんな感じなのかなと、自分が間違った映画を予約した事に、暫く気づきませんでした。間抜けを通り越して、ちょっと心配になるレベルですが、まあ思い込みに陥った人間なんて、側から見ればこんなものよ。
気が付いた段階で出ようかとも思ったんですが、普段観ないジャンルなので、ひょっとしたらとんでもなく面白いかも知れないと思い、取り敢えず最後まで鑑賞してみました。
いやーなんか、最初から最後までこれどう言う視点で観たらいいの??と言う思いが拭えませんでした。今では珍しい、ネオンの灯りにこだわって映像撮ってるなー、という点は感心しましたが、それ以外は兎に角中身が無さすぎて、正直ゲンナリしてしまいました。そう言えばコッポラと言えば、たしか「ペギースーの一生」を観た時も、似たような感想抱いたなぁ。男女のやり取りは暴力期とハネムーン期を繰り返す典型的なDV男と依存女のそれにしか見えないし、ラストは本当に「はぁ?」と口が開いてしまい、その口のままエンドロール突入。
いやー色々と稀有な体験が出来ました。
かわいい映画
夢のある映画
「地獄の黙示録」で疲れ果てたコッポラが夢のある映画を撮りたいと、古い映画の総セット主義にこだわり、お金を湯水のように使ってしまったものの、莫大な投下資金の多くを回収できず、Zoetropeと本人を破産の危機に追い込んだと言われている空前の問題作。
でも私は、そんなコッポラの人生や映画に対する愛情にあふれた本作が大好きです。
公開当時孤独な20代の青年だった私は、劇場で数回鑑賞し、その後も当時高かった、レーザーディスクも購入して、60代半ばを過ぎる現在に至るまで、繰り返し鑑賞しています。
うち捨てられた、さすらいの人生の悲しみを、腹の底から絞り上げるような、トム・ウェイツの歌声が、砂漠に忽然と現れる光の街ラスベガスのまぶしいきらめきの中に、吸い込まれていきます。そしてその声に重なり、タバコの煙が揺らめくような、心に染みるピアノの透明感あふれる音色の美しさに、何度涙したことでしょう。
さらに、光の中から生まれる出てきたようなナスターシャキンスキーの華麗な美しさとラウルジュリアのゴージャスな魅力! ベルトルッチ作品で滴るような色彩美を駆使し自然の光を捉えてきたヴィットリオストラーロの撮影は一変して人工的に作り上げられた世界を美しく切り取っています。
多分多くの人にとっては、「倦怠期を迎えた冴えない男女が、周りを身勝手に振り回すだけの冗長な物語にしか見えない」(だからこけた。)と思うのですが、その冴えなさ加減が、現実の冴えなさ加減を象徴していて、逆に映画が「夢」であることを強調しているように思えてなりません。多分本作を参考にしたと思われる、ララ・ランドは綿密にその辺、計算されていて、だからこけなかったと思うのですが、私は穴だらけかもしれないが、本作の方が好きです。
大切な1本です。
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