ボウリング・フォー・コロンバインのレビュー・感想・評価
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銃でする「究極の自己否定」
1999年に起きた米国コロンバイン高校銃乱射事件を追った映画です。
2002年(アメリカ)マイケル・ムーア監督作品。
今回の大統領選で、銃がまたしても爆売れしたと聞きます。
正直アメリカの全てにうんざりなのですが、この事件は日本でも過剰な報道があり、
印象に残っています。
コロンバイン高校の生徒2人は、家の地下室で2年間に渡る準備をして、
その日に備えた。
後に母親が多量のビデオの決起映像を発見する。
計画ノートなどが見つかったと言う。
なぜ題名に「ボウリング」が入ったのか?
第一に、犯人2人は、襲撃の午前11時の前にボウリング場に出向き、早朝2ゲームを楽しんでいること。
第二には、ボウリングのピンは人間に似ているので、銃撃の的に使用することが多い。
銃撃事件の犯人は生徒12人と教師1人を殺し、犯人2人は自殺した。
銃撃戦は45分間も続き、一人一人顔を見て識別して殺している。
生徒たちの恐怖を思うと心が塞がれる。
この事件は全米を恐怖に陥れ、世界中が戦慄した。
マイケル・ムーアは被害にあった生徒へのインタビューや、
ロッキード社のミサイル工場のあるコロンバインの背景などに、
突撃取材して迫って行く。
なぜアメリカだけダントツに射殺事件の死者が多いのか?
1年間に1万1127人も射殺されている。
その原因の一つは、誰でもいつでも簡単に銃や銃弾が手に入る。
(ウォールマートで9m弾が誰でも簡単に買える・・・2002年当時)
その二つ、アメリカ人は常に恐怖に支配されている。
(それは建国の歴史が常に戦いの歴史だった)
先住民のインディアンと戦い、
南北戦争で、国を二分して戦い、
第一次世界大戦、
第二次世界大戦、
ベトナム戦争、
湾岸戦争、
イラク戦争、
アメリカは常に戦時中にいるのだ。
それにしてもアメリカという国は、かなりの困ったちゃん・・・なのだ。
アメリカは、
《1980年、対ソ政策で、
CIAはビンラディンに、30億ドル供与
《1982年、対イラン政策で、
フセイン政権に10億ドルを供与
《2000年~2001年、タリバン政権下のアフガニスタンに、
2億4500万ドルを援助、
そして援助してきたはずの、ビンラディンに、
2001年9年11日、
ゲリラを使って同時多発テロがを起こされる。
資金を供与すれば、相手は武器を揃えるのに使う。
渡した金で銃及び兵器が買われ、襲ってくる。
これでは負の連鎖が終わらない訳だ。
兵器産業はアメリカの重要な軍事産業で多くの利権を生み出し、
その甘い汁から脱却することは永久に不可能だろう。
今日も銃弾で人が死ぬ。
重いテーマをアニメーションも交えて
資本主義の病理
この映画の中で国や企業が不安や恐怖を煽り物を買わせ利益に変えるというのが銃社会を生んだ元凶という主張があるけど、これはアメリカ社会に限らず資本主義の病理だね。卑近な例ですまないけど、俺が外回りの営業でコンピュータを売っていた時セキュリティの不安を煽るというのが常套手段だった。実際は何も起こらないんだけど、その安心感を売るという商売だった。
その不安が現実のものになってしまうのがアメリカ社会で、銃を安心感から所有するだけでなく、実際に使用して犯罪にまで至ってしまうというのがアメリカ特有の問題なんだ。これはアメリカの建国の歴史が背景にあるというのをコミカルなアニメで描いているのはわかりやすかった。
同じような背景を持っているカナダではなぜ銃は所有してもなぜ犯罪には至らないのか、社会保障が充実しているからという結論を導き出していけど、アメリカとカナダがこうも違うというのは新たな発見であった。
最後のチャールズ・ヘストンへのインタビューで、アメリカは流血の歴史、多人種国家であるのがこのような事態を引き起こしてしまったのではないかと締めくくっていたけど、結局アメリカ人というのは常に敵を想定しなくてはい生きてけない民族なんだろうね。
【マイケル・ムーア監督が、米国の多くの人が疑念を抱きながらも、敢えて口にしなかった全米ライフル協会の在り方に、公然と異を唱えた画期的なドキュメンタリー作品。】
■1999年4月20日、コロラド州。
朝からボウリングに興じたふたりの少年は、その後高校に向かい銃を乱射。
計13人を射殺して自殺した。
なぜアメリカはこれほど銃犯罪が多いのか、ムーア監督はその疑問を解消すべく決死の突撃取材に乗り出していく。
◆感想
・今作は「少年は残酷な弓を射る」「エレファント」(どちらも、恐ろしくも、秀逸な映画である。)を見たせいか、観賞済みと思っていた。
が、恥ずかしながら鑑賞履歴になく、長崎に原爆が落とされた前日の晩に鑑賞した。
・今作でマイケル・ムーア監督は、コロンバンで起きた銃乱射事件を意識しつつ、何故に米国でこのような痛ましき事件が起こってしまったのかを、焦点にしながら作品を描いている所が、秀逸である。
・そこで、見えてきたのは、米国の白人保守層及び政治家に多大なる影響を与えている「全米ライフル協会」の存在である。
日本で言えば「日本会議」の様な極右組織であり、尚且つ政治に深く介入している組織である。
・更に明らかになるのは、「全米ライフル協会」が”自分の身は自分で守る”という建前の元、黒人に対する人種差別を”目立たないように”推進している事実である。
そして、米国人が好戦的な資質を持つに至った背景までが描かれる。
ー 隣国のカナダとの明らかな銃に対する文化の違い。
分かり易いワードで言えば、カナダでは殆どの家では施錠しないのに対し、アメリカでは何重にも施錠する文化。-
<今作が機になり、Kマートが弾丸販売に中止した過程が後半描かれるが、その後も米国では高校、大学での銃発砲事件は減ってはいない。
他国での紛争に対しては、直ぐに発動する米軍であるが、国内では銃発砲事件が減らない米国。
エンディングで流れるポップな”What a Wonderful World"が皮肉極まりなく響いた作品である。>
■マイケル・ムーア監督は今作後、「華氏911」や「華氏119」を公開しているが、今後も米国民が内心思いつつも”言えない”テーマを扱ったドキュメンタリー作品を公開して欲しいモノである。
ドキュメンタリーの捉え方
銃社会アメリカの病巣
コロンバイン高銃乱射事件をもとに銃社会アメリカ🇺🇸の現実に迫る。 ...
銃社会アメリカの恐怖
対抗文化としての学園
サウスパークの作者であるマットストーンのインタヴューが出てくる。
それを聞いて、ハリウッド映画で見てきたアメリカの学校が氷解したような気になった。
クルーレス、ヘザース、ミーンガールズ、イージーA、ウォールフラワー、僕とアール、スウィート17モンスター、ジョンヒューズの映画群・・・わたしたちは、さんざん「アメリカの学校」に魅せられてきた──と思う。
机と一体型のイス、ロッカーが並ぶ幅広な廊下、騒々しい学食。
もはや世界じゅうの人が見慣れた「アメリカの学校」にどんな日常があるのか。
映画はそれを見せてくれるし、リアルなときもあるけれど、どうしたって映画は映画である。皮相に過ぎない。
ブレックファストクラブ風に言うなら学校には、BrainとAthleteとBasketCaseとPrincessとCriminalの5人種がいる。
似た性質も見いだせるし、共感もできる。
ただやはり、どうしたって映画なのだ。
そもそも映画ではない現実において「アメリカの学校」が映し出される──とすれば、定期的におきる銃撃事件のニュース映像の一隅でおびえる人々だけである。
そのことが、この映画、ボウリングフォーコロンバインをカウンターにしている。
この映画は、数ある学園もののこっち側、謂わば裏側なのである。あれらの映画群、総ての外伝といってさしつかえない──と思う。
マイケルムーアを一躍時の人にした、コロンバイン高校銃乱射事件(1999年4月20日)のドキュメンタリー。
マットストーンは事件の近くで育ったことからインタヴューを受けている。
彼はインタビューにこう答えた。
『ダサい町の真ん中にあるダサい学校だった。──町全体も学校も苦痛なほど恐ろしく平均的だったよ。──6年生の時、7年生の数学科に入るテストを受けたんだ。先生に「失敗すると数学科には入れない、今ダメなら8年生でも入れない、9年生でもダメ。結局一生ダメ人間だ」と言われたね。万事がそんな感じだった。生徒間のトラブルにしたって先生もカウンセラーも校長も助けてくれない。模範的な生徒の型にはめようとするだけ、何につけ「いま失敗すると一生負け犬だ」って感じだったよ。──エリックとディラン(事件の犯人)も、イジめられて一生イジめられるんだと思ってたんだろうね。──誰かが(卒業すれば違う現実があることを)教えてやればよかったんだ。落ちこぼれが成功し、優等生が故郷に戻って保険の外交員──そんな逆の現実がすぐ目の前に待っていることを。そういうことは人から教わらないとわかんないもんね』
発言の骨子は、学校生活では往往にして自分の置かれている状態がすべてになってしまう──ことの切なさである。
卒業した先に、いろんな未来が開けていても、その渦中にいる者にとっては学校が全世界になってしまう。
ただでさえ思春期、コンプレックスや疎外感に過敏なのに。
ストーンは、それは、ぜんぜんなんでもないことなんだよ──と言っているのだ。
もしわたしが児相だったらエイスグレード(2018)とこれを生徒に薦めると思う。
われわれは、やくたいもない学校教育をへて、世へ散って行くが、その只中で、こういう内懐を聞けることができたら、どんなに心が晴れただろう。
──が、やり口に強引はある。
ヘストンだって生粋のタカ派だとは判るが、老兵の晩節を辱めた感じはあった。猪突な突撃取材は、見ている方はいいが、じっさいムーアが来たら恐々とせざるを得ない。すなわち二度三度となれば、摩耗する方法論なのである。だから初期作のこれがいちばんいい。
異色監督の図太い神経
銀行で銃買えるって!?
冒頭から驚いた!ある州では一般市民が自警団、いや民兵として活動している。銃を持ったインタビューを受ける女性の周りには平然と自分の娘が遊んでいる。悲劇はマリリン・マンソンのせいと言われたが、インタビューを受けて話すマリリン・マンソンがまともな事(笑)失業率も米国より高く、有色人種も多く、銃社会である隣のカナダでほとんど銃による殺人事件がないのも驚き。原因はショッキングな事件ばかりを扱うメディアの差なのか。それにしても家に鍵をかけない人が大半というのも驚き。日本じゃ考えられない。コロンバイン事件で銃撃を受けた少年二人を連れ、犯人が弾を買ったKマートに行って、今後弾を売らない約束を取り付けるのは凄い。その勢いで映画界の大御所チャールトン・へストンにも直談判しに行き、意見を戦わせる。応えるへストンもある意味凄い。豪邸も凄かった。結局は銃社会は変わらないかも知れないが、一石を投じることは大事と感じた
チャールトン・ヘストンの見方が変わる
映画。
答えのないアメリカ銃社会を描くドキュメンタリー
何故アメリカでは銃による殺人事件が、先進諸国と比較して異常なまでに多いのか。
この疑問に対して、コロンバイン高校の銃乱射事件を軸にマイケル・ムーアが、様々な人々に突撃取材していく。
銃愛好家、軍需産業の従業員、銃乱射事件の被害者、社会学者、サウスパークの原作者、同じく銃社会のカナダ人、弾薬を販売する世界的なスーパーマーケット、マリリン・マンソン
そして全米ライフル協会会長チャールストン・ヘストン
マイケル・ムーアの人をおちょくるような軽妙な語りと、ニュース映像のMADがとても心地よく、前半はとても気楽に見ることができる
しかし後半ではマイケル・ムーアの主張が明らかになり、「何故我々アメリカ人ばかりがお互いを殺し合うのか」という叫びが、ヘストンへのインタビューで最高潮に達する。
ムーア監督がアメリカ銃社会を巧みに描く!
マイケル・ムーア監督がアメリカ銃社会を巧みに描いていますね~。
アメリカでは何故年間1万人以上の人が銃で命を落とすのか・・・監督があちこちへ取材に行きます。
アニメあり、チャールトン・ヘストン家への押しかけあり(笑)、ドキュメンタリーでも飽きさせない演出が素晴らしい!
最近の日本、テレビ見ても新聞読んでも見たくもない暗い事件のニュースばかり。周りでも昔はこんな物騒じゃなかった・・・との声がいくつも。
本当にそうなのかな?調べてみると・・・!!!
なるほどこの映画を観ると、見えてくるものがあります!
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