この夏の星を見るのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
2019年、高校に進学し、天文部に入部した亜紗(あさ。桜田ひより扮演)と凛久(りく。水沢林太郎)。
年が明けた2020年は新型コロナ禍となり、次々と活動が制限されることになった。
やさしい3年生の先輩たちは、高校最後の夏をなにもないまま卒業せざるを得ないかもしれない。
亜紗が思いついた企画は、リモートによる「スターキャッチ」コンテスト。
これまでは部内の複数チームで行ってきた「スターキャッチ」。
手作りの望遠鏡で、同時に決められた天体を観測する競技。
リモート会議を通じて、全国で行えば、密にならない。
茨城県の亜紗らの呼びかけに応じたのは、東京渋谷の中学1年生・真宙(まひろ。黒川想矢扮演)らと、長崎県五島列島の円華(まどか。中野有紗扮演)らの二校。
全三校という少ない中だったが、茨城・東京・長崎それぞれに苦しくもどかしい想いを抱えていた・・・
という物語。
青春期は、とにかく、もどかしいもの。
それが、コロナ禍となれば、なおさら。
もどかしく苦しい想いが、茨城・東京・長崎の国内三箇所それぞれで描かれていきます。
青春の苦さが、巧みに表現されています。
だが、苦い苦しいだけでない、青春の爽やかさも描かれてます。
それが「スターキャッチ」コンテスト。
さっと望遠鏡を上下左右に動かし、ピントを合わせて、指定された星を捉える。
その動きは、スポーツのよう。
動的な筒先、ブレから合うピント。
映画の躍動感が溢れています。
青春映画の好編と言っていいでしょう。
で、この「スターキャッチ」がクライマックスなのですが、そのあとにもうひとつ。
「夢のかなたを追いかける」とでも副題を付けるのが相応しい展開。
「夢のかなた」にも秘密があったことが語られる終盤。
物語の語り口も上手い(ここは原作にあったのだろうけど)。
なお、エンドクレジット後も見逃さないでほしい。
未来に向かう、開かれたかなたが映し出されていますから。
人によっては入学から卒業までの丸々3年間が、コロナ下での学校生活だったという不思議でまれな体験をしたのだなと思った。
コロナ下(禍?)で天文部の夏合宿がなくなる。部活だけでなく、あれもダメこれもダメとういう中で、オンラインで他校とつながり盛り上がる。
追い込まれると人は打開策をいろいろ考えるもんだなと感心した。
今頃レビューを上げたが、実は2025(令7)/7/ 4 ㈮初日に鑑賞 (^^)。
追記
さっきISS見ました。
2025(令7)/7/ 19㈯、時刻は21:19:30頃から15秒ぐらい。東京 北北東 高度(仰角)10度。
高度が10度と低く観測条件としては今一。
薄い雲があったけど見れてラッキー♪ヽ(´▽`)/
ひとつに
星を観たくなった
ビターであるが爽やかな佳作
コロナ初期の、「フロントライン」とはまた別の側面の、お話。困難な中でも色々工夫して学生生活を充実させようする皆さんに爽やかな気分になりました。桜田ひよりとても良い。宣伝写真とかもう少し工夫するとよいかも
やっぱ清水ミチコでしたか!コロナ禍だからこそできたこと。常に前向きな気分が心地いい。
エンドクレジット見て、やっぱ清水ミチコでしたか、と。それはさておき。
コロナ禍だからこそできたこと。絆。経験。
コロナが無ければ、無かったこと。
部活が制限される中でも、全編、常に前向きでポジティブな姿勢が心地よい。
俳優は皆、必然的にマスクでの演技が多くなる中、時折見せる素顔がいい。
特に、天音役、星乃あんなの笑顔が印象的だった。
「怪物」「国宝」と大作出演が続く黒川想矢など、若手俳優陣が多数出演。
各智慧の場所を隔てた展開と、天文の競技「スターキャッチ」が面白い。
望遠鏡を一気に旋廻させる瞬間が小気味よい。
教師の熱意も無くては実現できなかったこと。
昔、中学校のプラネタリウムがある屋上で、徹夜で月食撮影・観測会に参加できたことは、とっても良い思い出です。
公開時はパスする予定でしたが、評価が高かったのでやっぱり鑑賞、レビューを信じて観て良かった!
だって、心底そう思ったのだからしょうがない
今週公開作品に観たいものがなかったため、観逃していた作品から大変に評判が高いと聞く本作をチョイス。今週公開の某アニメ作品目的のお客さまで大変に賑わう中、TOHOシネマズ日比谷にて8時40分からの回を鑑賞です。
物語のメインは2020年、COVID-19感染拡大による緊急事態宣言で決定的となった行動制限、自治体や職場或いは学校ごとに設けられた制約、そして不確かな風評によって多くの人に生き辛い思いをもたらした「あの時期」に学生時代を送ることとなった少年少女を中心に語られる青春群像劇です。舞台は茨城にある砂浦第三高校の天文部を中心に始まり、誰もが不可能と考えていたスターキャッチコンテストを「何ならできるか?」を考えつくしたアイディアと、「達成する」と決めた強い決意を基に企画。その熱意は間もなく、いろいろあって悶々としていた東京、長崎に住む数名に届いて伝播し、ついにその夏、4地点がオンラインで繋がれてコンテストが開催されます。
その後の現在において、「コロナ世代」という括り方もされることのある若者たち。私自身は独身のため、「その手の話」は他から見聞きするものだけだったとは言え、第一印象はやはり「気の毒」と感じることばかり。何とか登校は出来ても多くの制約下のなか、出来たはずの体験と身につけられたはずの経験を諦めさせられ、我慢ばかり求められた彼や彼女たち。ところが、本作を通して「それでも何かを成し遂げたい」ともがく若者たちを見れば、恐らくは(知らないだけで)現実にも同様のムーブメントが様々に起きていたのだろうと、自分が見くびって考えていたことに気づいて反省します。
本作、まず学生役を演じる方々に見る神々しさにただただ感動させられ、また、もどかしいことばかりでも何とかして導こうと尽力する指導者たちを尊敬、、、なんて、学生物映画における「古典中の古典」のベタな評価と判ってはいても、「だって、心底そう思ったのだからしょうがない」と開き直ってでも言わずにはいられません。
序盤こそ、「そのまま電話出たらハウリング起こすよ」とか、当時の首相や知事をモノマネしたような音声情報が妙に気になったり、些末なことに気を取られて先を心配しながら観ていましたが、中盤以降は劇的な展開とキャストたちの素晴らしい演技に感情が高ぶり、最早、落涙を越えて嗚咽を押さえるのに必死。特に若者たちのうちに何人かは初見の俳優さんもいらっしゃいましたが、どの役にもはっきりと認識できるキャラクター付けがされていて「端役」は一人もおらず、俳優の皆さんもしっかり応えていて素晴らしい。敢えて一人に絞って選ぶとしたら、茨城・砂浦第三高校3年生で天文部部長・山崎晴菜役の河村花さん。後輩にも常に丁寧な言葉遣いで会話し、頼れる後輩でWエースの溪本亜紗(桜田ひより)と飯塚凛久(水沢林太郎)を信じて支える度量、そして物語後半の「電車内のシーン」にあるアクション、からの一言、は思い出すだけでまた泣いてしまいそうになります。
それにしても、辻村深月さん原作作品はやはり観逃すべきではないのかも、と思い直させられました。本作が長編商業映画初作品である山元環監督、良い作品をありがとうございました。次作も期待してチェックインさせていただきます。
コロナ禍でもがく学生たちの強さ
コロナで日常が当たり前じゃなくなり
いままで平穏だった人間関係が拗れる
そんな中でみえる新しいつながり。
人の脆さと強さの両面を丁寧に描写していました。
主人公の夢にむかってがむしゃらに真っ直ぐに進む姿は青春時代と相まって、星のように強く輝いて見えました。
その輝きに照らされて周りの部員の熱や思いもつよくなり、コロナじゃなかったら出会わなかった、やらなかった新たな挑戦につながっていきます。
話の途中で先生が言っていた
コロナで失ったと思いたくない
というニュアンスのセリフが、この作品の全てかなと思います。確かに日常は失われ、友情や経験、街同士のつながりなどが消えていきました。
が、何を失いたくないのか、失わないために何かできないのかを試行錯誤し、限られた楽しむ姿に強く胸を打たれました。
人間は欲深いです。あれもこれも欲しい、やりたいとよく思います。が、もし今この瞬間に何かやるなら、限られた中で何をしたい?と自分の本心に向き合い、一歩踏み出す勇気をくれる、心温まる作品でした
新型コロナウィルスの自粛期間というのはなんだったのだろう
新型コロナウィルスが蔓延し出した2019年の学生たちの青春を描いた作品。
大人たちはコロナ禍を単純に「やり過ごそう」とする。
が、学生たちは今しかない貴重な一年であることを知っており、何かできないかと懸命にもがく。
自分が大人の立場で見ているということに気付かされてハッとした。
時間感覚の違い。
彼女たちは、大人たちよりもよっぽど「今この瞬間」を大切に生きているのだ。
登場する学生たちもなかなか個性が際立っていてどの子も非常に魅力的である。
そしてそれぞれに悩み、葛藤を抱えている。
学生だからこそ自分ではどうにもならない大人や親の事情で問題を抱えている。
しかしそれぞれが正面からその問題に立ち向かう姿に胸を打たれる。
茨城・東京・長崎の3拠点の学生たちが、星を通じて一つに繋がっていく高揚感が心地良い。
それぞれの地域の風景に重ねて流れる『ルックバック』のharuka nakamuraの音楽もマッチしていて素晴らしい。
また『PERFECT DAYS』の中野有紗も出演しており、今作でも彼女の演技が堪能できたのが個人的に嬉しかった。(しかも同作のニコと同じ雰囲気のキャラクターなので違和感がなかったという)
自分も学生時代に置いてきてしまった何か大切ものはなかっただろうか、とふと考えさせられた作品。
辻村深月原作。
限られた環境下で青春を満喫することのすばらしいさ
コロナ禍を迎えてしまった学生さんたちは、部活動の制限やリモート授業など辛い毎日を過ごされたことだと思います。たしか甲子園の高校野球も中止になりましたね。
そのような環境の中、天文に関心のある学生たちが、オンラインスターキャッチコンテストの開催を実施するまでのストーリー。登場人物すべての学生さんたちが、限られた条件のもと奮闘努力する姿が、壮快であったし、胸が熱くなりました。特に桜田ひよりさんが良かったですね。高校に天文学部があることと自分で天体望遠鏡を作ったりすることは驚きでした。
星を観察することはなかなか無いですが、この作品を観て、たまには星を観察してみたくなりました。天体望遠鏡は高価なので、望遠鏡を使いたいですが、望遠鏡を持つとヒッチコックの「裏窓」やブライアン・デ・パルマの「ボディダブル」の主人公になってしまいそうな自分が恐いですね。覗きは犯罪です😡⚡。
だからにヤラレタ
あまり予備知識が無かったのが正解だった。直前に受けた資格試験が好結果で、ここ何週間かのストレスからの開放感もあったのだろう。おっさんぼろぼろに泣けた。出来すぎたスジにやられたわけではない。
正直最初はひよりしゃんのノリについていけないところもあったが、アレ?ここどこ?の展開に、どんな形で落とし前をつける気か、という作劇の興味に移る。としたところでマスク登場。五島のスジも切なく、尚更どうなるのだろうと。
そのうちだんだんと無意識に息苦しくなってきたことに自分ながら驚く。様々なディテイルに、あの頃の日常生活を思い出し、本当にそうだったなぁ、いやいや劇中はかなり抑えている、本当はもっともっと、いつ終わるかわからない、ひょっとしたら終わらないのかもしれないと感じていた。他県の人とは関わらないよう、老人がいる家庭は一層気を遣う、それに三密。紛れもなくこれは現実だった。
中盤からいくつかの出来すぎな(現実離れした?)スジが展開するも、これは単なる布石だった。ラスト近く、岡部たかしのセリフ、「…だから出会えた」!これも事実だ。
オンラインのスターキャッチは創作だろうが、一気に進んだリモートワークは、「…だから進んだ」。明らかに世界は変わった。
役者では岡部たかし、やっぱり声がいい。下手な役者だと浮いてしまうような役。近藤芳正も歳が追いついてきた。そして朝倉あきはマスクがもったいなかったなあ。中野有紗に早瀬憩に黒川想矢も見せ場あった。
青春
私は宇宙に興味がない。
原作未読。コロナ期に星を介して人と人を繋ぐはなしです。実際多感な頃に人と会うな、学校行くななんて全く悲劇だと思うよ、正直切なくて最後泣いたわ。
夜のめちゃ美しい空と人物のショットは合成だろうか?
グレーディングでなんとかなるのだろうか?
出演者女子部もたどたどしくも魅力的であった。
スターキャッチコンも実際茨城の高校が2015年からやっている物らしい。体育館の天体説明はいささかバカっぽかったが実にわかりやすかった。
気になったというか、見ずらかったのは前半各地の学生達を並行して描くのだが場所も学校で変わり映えしないし、みんな可愛いし、誰が誰だか分からんうちにあちこち飛ぶから頭がおいつかなかった。
描き分けがもう少しできると良かったと思う。
*追記、日中に人物撮影してグレーディングで擬似夜景、星は合成だそうです。
2020年パンデミック下の青春の日々 地上に何が起ころうとも天には星々がまたたく
私、実はかつて天文少年でした。まずはそんな天文少年の思い出話から。今から50年以上前、初秋の頃のある日、中学生だった私は私の「愛機」(親にせがんで買ってもらった6cmレンズをフィーチャーした天体望遠鏡)を自宅の玄関先の道端に持ち出して、東の中空に浮かぶ月(ほぼ満月)を観測しておりました。そしたら、たまたま道を通りかかった見ず知らずの男性3人組が私と私の愛機を見つけ、「僕らにも見せてくれる?」と声をかけてきました。私は「どうぞ」と、見たところ当時の私より10歳前後年上と思われる3人組に返事をしました。すると、まず、1人目が見て「わー、けっこう見える。クレーターもわかる」と大感動。2人目、3人目と交代しながら見ていって、皆さん、わーっと感動の嵐になりました。なんとまあ、突然の月面観測会。「もう一回」の要望もありましたので、私が時折り間に入って愛機を操作しながら、あと何周か、お兄さんたちに心ゆくまで楽しんでいただきました。大人になって思い返せば、時間帯から考えると(午後8時台だったと思います)、あのお兄さんたちは仕事帰りに一杯やった後、ほろ酔い気分で私と愛機を見つけ、アルコールの作用もあってあの大興奮状態になったのかもしれませんが(純真な中学生だった当時の私には考え及びもしない話です)、ともあれ、本当に嬉しそうに去ってゆきました。愛機を片付けて自宅に戻ると、どうも大騒ぎぶりが家の中まで聞こえていたみたいで、母が「楽しそうでよかったね」と笑っておりました(近所迷惑だったかもしれませんが)。
なんでこんな話を紹介したかというと、この映画を観ていて、やっぱり、天体観測とか星を見るとかというのはとても楽しくて素敵なことだとつくづく感じたからです。そして、それには心の浄化作用、大げさに言うと魂の浄化作用があるとも感じました。私も社会人になってからは日々の生活に追われ、空が明るい都会に住んでいることもあって封印していた趣味なのですが、再開とまではいかなくても夜空を見る機会を増やしていきたいと思いました。
天文というのは決して理系オタクのネクラな趣味ではありません(差別的に聞こえたら申し訳ありませんが)。私も社会人になってから、何かの拍子に、実は昔、天文少年でしたという人に何人か遭遇したことがありますが、タイプは千差万別でした。この映画ではサッカー少年や野球少年が星を見ることに興味を持つようになってゆく過程が描かれています。原作は未読ですが、特に、長崎•五島の野球少年たちがコロナ禍で部活が十分にできない中、夜が暗くて星空が美しい環境の下、星を見ることに興味を持ち始めるというのはなかなかいいところを突いているなあと感心しました。
そして、この映画のハイライト、スター•キャッチ•コンテストの件。キャッチすべき対象天体(星)を指定し、それをいち早く望遠鏡の視野内に捕らえたチームが得点をゲットという方式で、五島チーム、東京チーム、茨城チーム対抗で行なうのですが、始める前から周囲の光に関する環境から、五島チーム有利、東京チーム不利と思ってしまいました。私にとっては、昔とったキネヅカと言いますか、劇中に出てきたキャッチ対象の星々は観測経験のあるものばかりで、出題者の岡部たかしさん演じる高校天文部顧問の先生の出すヒントもほぼ完璧に分かりました。今じゃ、昼間会った人の名前がその晩に出てこないほどの怪しい記憶力なのですが、若い頃、夢中になったものは何十年ぶりかに聞いてもけっこう憶えているものだなと驚きました。久しぶりに初恋の人に会ったら、その人の誕生日をまだ憶えていたみたいな感じでしょうか。
例えば、岡部さんが「天上の宝石」と言えば、すぐにはくちょう座のアルビレオが頭に浮かびました。少し残念だったのはアルビレオがなぜ天上の宝石と呼ばれているかの説明がなかったことです(それでも評価は下げませんが)。アルビレオは二重星です。肉眼では一つの星ですが、望遠鏡の視野内に入れると二つの星が見え、それぞれの色がオレンジとブルー。この色の対比が美しいです。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』ではトパーズとサファイアに喩えられていたと記憶しています。
あと、岡部さんの出題にあった こと座の環状星雲M57のことですが、岡部さんが「えむごじゅうなな」と発音していて少し残念でした(それでも評価は下げませんが)。この数字の前のMはフランスの天文学者のメシエさんが全天の主な星団/星雲を通し番号を付けて「メシエカタログ」を作ったときのMで、天文ファンが読むとM57は「めしえごじゅうなな」です。十代の頃の私は少し日本語訛りが入って「めっしぇ」と発音していましたが。
脱線ついでにもう少し。天文少年の初心者は天体望遠鏡を手に入れるとまずは月面を見ます。これはけっこう楽しめます。次に火星、木星、土星等の惑星観測に進みますが、私の愛機の性能ではあまりよく見えず、面白くない。私は上記のメシエカタログにある M31 アンドロメダ座の大星雲、M42 オリオン座の大星雲等の星団/星雲巡りのほうに進んでゆきました。なかでも私がいちばん好きだったのはM45 おうし座のプレアデス星団です。和名はすばる。そう、かの清少納言が枕草子に「星はすばる」とつづり、谷村新司が歌にした あのすばる(昴)です。冬の夜空で肉眼でも星が六つ ごちゃっとかたまっているのが確認できますが、望遠鏡で見ると、星々の青白い光が星間ガスの作用で背景の夜空に滲んでいるように見え、それはそれは美しいです。たぶん肉眼でしか見たことのない清少納言さんに見せてあげたいくらいです。
さて、この映画の話。茨城、東京、五島の三拠点を舞台にした青春群像劇ですが、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった頃、ウイルスがいちばん不気味だった2020年のお話です。夏の甲子園の高校野球を始めとする各種スポーツ大会が中止になったあの年です。世の中は閉塞感に溢れていましたが、登場人物たちは健気に限られた条件の中で何ができるかを前向きに考えていました。そして、夏のスター•キャッチ、その後の年末のISSキャッチへと進んでゆきます。
ISSキャッチのシーンの「よいお年を」のセリフ、よかったですね。本当にままならぬ一年だったけど、来年は、そして未来はきっといいことがあるというメッセージが込められているように思いました。この映画の配信が始まったら、年末に観ようと思います。最近、涙もろくなった私はこの「よいお年を」のところで落涙するかもしれません。
星空はつながっています。この映画では五島、東京、茨城を結んでのスター•キャッチ•コンテストが実現しました。星空は空間を超越したのです。また、清少納言や宮沢賢治が見た同じ星空を我々が見ているように、星空は時間をも超越します。あの夏のスター•キャッチに参加した少年少女たちが、今も、そして未来も、夏の夜空を見上げ、こと座のベガ(織姫星)を、わし座のアルタイル(彦星)を、はくちょう座のアルビレオを、はくちょう座のデネブを、さそり座のアンタレスを、そして天の川を、その他無数の星々を見て、あの夏のことを思いつつも未来に思いを馳せるーーそんな世界観を感じさせる とても素敵なよい映画でした。私自身は2025年のベスト映画に出会えたと思っています。夜空に燦然と輝く五連星 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 文句なしの星五つです。
まあまあだった
天体にも宇宙にも特に興味がない。あまりに評判がいいので見てみたが、星なんかのんびり見ればいいだろうものを、スターキャッチで時間競技にしているし、ネットでつながってイベントを開催することにそれほど興奮も感動もしない。また、主人公の目標の、女性宇宙飛行士に追いつくみたいなのとイベント開催が隔たりが大きいとしか思えない。その上、クライマックスはエモい演出がなされており、おいおいそこまでか?とまったく気持ちが乗らない。
若い人がはつらつとしているのは気持ちがいいのだけど、ボタンの掛け違いみたいなところがやたらと目につく。
コロナの初期は確かに、新潟でも初の感染者が差別にあって夜逃げをしたみたいな話を聞いた。今となってはアホとしか言いようがない。
若干期待しすぎましたが、正しくキラキラとして見応えのある青春映画でした
桜田ひよりさん主演であることに加え、周囲の評価の高さを知って、少し遠くのシネコンまで足を伸ばして拝見してきました。
3つの地域と4つの学校を舞台としているせいか、序盤こそ散漫な印象がありますが、それらの線が集結する中盤から後半にかけて物語は力強く展開し、観客の心を鷲掴みにしていきます。
桜田ひよりさんだけでなく、早瀬憩さん、黒川想矢さん、中野有紗さん、星乃あんなさんなど期待の若手が揃っていることもあり、青春ものの映画の醍醐味も感じられます。
惜しむらくは中盤の盛り上がりから、ラストの盛り上がりまでの繋ぎの展開が若干冗長に感じられる点。物語上必要な描写だったと思いますが、一気に駆け抜けていただいた方が、映画全体により強い勢いが感じられたのではないかと感じました。
とはいえ、桜田ひよりさん最高!!!
残されるべき映画
映画というのは、自由に時代を選んで物語を紡ぐ事が出来る。時代劇、明治維新、戦時、高度成長期、バブル経済、平成不況、自由に時代を設定出来る。しかし、その時を生きて感じた者にしか残せないリアリティがあると思う。
コロナ禍、誰もが感じた喪失感、無常感、恐怖感、等。まるで戒厳令の様な静まり返った街。
その時の学生達は、大人よりももっと感じただろう思い。普通に通学出来ない毎日。体育祭や修学旅行等、奪われたイベント。
今、それを残さなくてはいけない。記憶が褪せていかない内に。
この映画には、その「時」のリアリティが映し出されている。
だからこそ、この映画は、後世に伝えられていくべき映画だと思う。
映画はコロナ禍でも、必死に今出来る事をしようとする学生達の姿を、数カ所の群像劇として描く。
中盤、スクリーンに満点の星空が広がるシーンで、不意に涙が溢れた。そういや、この歳の頃は星を見るのが好きだったな。宇宙に憧れたな。空を見上げてみよう。今度、星を見に行こう。
そんな風に思わせてくれる映画だった。
#この夏の星を見る
全225件中、81~100件目を表示













