「星を捕まえるということ」この夏の星を見る nazionaleさんの映画レビュー(感想・評価)
星を捕まえるということ
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コロナ禍によって人と人との繋がりは失われた
かけがえのない時間を過ごし大切な思い出を刻むはずだった学生たちは突如としてその思いを断ち切られた
彼らにとってはスターキャッチという行動を通して星を捉える という行為そのものが思い出を、そこにあるはずだった経験を 取り戻すことを象徴していたように思う
例えネットワーク上の繋がりであったとしても感情や想いを共有することは出来る
その思いを望遠鏡に乗せ皆が同じ空を見上げ同じ星をキャッチする
そしてそこにあるのはある種の復讐でもある
彼らにとっての1年はただ過ぎ去っていくものではない
失われたなどという言葉で片付けられ、社会情勢の流れの中で覆い隠されて行くそこには確かに存在した感情も経験も出会いも、渦巻くあらゆるものがあった
だがこの作品で描かれる学生たちはそれを仕方ないでは済まさなかった
ISSをキャッチするという目標を掴もうとする時溢れ出た「この1年間にも意味はあったと思える」という言葉には悔しいという気持ち、どうにもならないという鬱屈
そしてそれでも自分たちの手で捕まえた出会いや想いを可哀想な世代という言葉で終わらせないという反骨心がある
そこに詰め込まれた躍動する感情
人物一人一人の表情、言葉、細やかな描写、表現
全てが混ざり合いそれを具現化していた
とても繊細で大胆で残酷でそれでも美しい
唐突として降りかかる不条理の中でそれでもその瞬間にできること、やりたいこと、やるべきこと
それらを教えてくれるとても大切で意義深い作品だった
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