「あなたが最後に夢を言葉にしたのは、いつだったか覚えていますか?」この夏の星を見る livest!さんの映画レビュー(感想・評価)
あなたが最後に夢を言葉にしたのは、いつだったか覚えていますか?
宇宙飛行士の言葉で目覚めた夢を追うため、天文部に入り、夢をノートに大きく記す。
そんな序盤のシーンで、すぐに胸が苦しくなった。
いつの間にか夢を誰かに話すこともなくなった。
いや、そもそも本気でめざそうと思う夢を見ることさえ、当たり前のようになくなっていた。
その夢が実現可能かどうかとか「そんな夢を追ってもお金にならない」とか……そんなつまらない意見が頭に浮かぶ。
「大人になる」って本当に寂しいことだと、この映画を観ながら改めて思い知らされた。
映画の中の学生たちは、壮大な夢を持ち、夢を追うことを当たり前に生きている。
そして「やりたい」と思ったことを、損得や成否なんて打算的なことなど1ミリも考えずに全力でトライする。
もし今の自分が天体観測をする競技「オンラインスターキャッチコンテスト」を開催する立場あったとして……。
参加が3チームだけになってしまったら、主催者として「大失敗だ」と、そもそも始めたこと自体を後悔しただろう。
けれど、映画の中の高校生たちは、コンテストを開催する喜びと、参加する楽しさだけでただ熱中する。
そんな清らかな姿勢を見つめながら、詰まらない価値基準を持っている自分が今、どれだけいろどりの無い日常を生きているかを、この映画が痛切に気づかせてくれる。
自分たちで力を合わせて望遠鏡を制作し「マイ望遠鏡」で指定された星をキャッチする --- つまらない大人の視点で見れば「たったそれだけのこと」を、彼ら彼女たちのように、真剣に、全力で、仲間と力を合わせてチャレンジできるマインドを、自分はいつ失ってしまったのだろう。
損得なんて考えもせず、「誰かのために」「自分のために」やりたいと思うことを仲間とともに全力で取り組み、同志たちと心の底から喜び、挑戦したことを称え合う。
そんな気持ちを自分はいつから失ったのだろう。
この映画は、自分がそんなつまらない大人になっていることを痛切に気づかせてくれる素晴らしい作品だ。
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