「星の煌めきのごとく、美しき彼ら」この夏の星を見る しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
星の煌めきのごとく、美しき彼ら
通常スクリーンで鑑賞。
原作は読了済み。
本当に、コロナによっていろいろなものが変わってしまったと感じる。日常が制限され、思いどおりにいかなくなった当時のもどかしさを思い出して、なんだか泣けてしまった。
大人でさえこうなのだから、思春期真っ只中の彼らにとってのコロナ禍の日々は想像するに余りある。精彩を欠き、青春の輝きからは程遠く、とても悩ましいものだっただろう。
とあるきっかけから、今しか無い彼らの青春が徐々に色づき始める。人との直接的な接触が憚られる時節に、距離を超越してオンラインで繋がった仲間と2020年の夏を迎え撃つ。
原作では殆ど描かれていなかったスターキャッチコンテストだが、巧みなアングルやカット割りを駆使した躍動感溢れるシーンになっており見応え抜群。映像化の勝利と言えよう。
手づくりの望遠鏡で星を導入しようと、楽しみながらも真剣に取り組む彼らの姿は、まるで失ったものを取り戻そうとしているみたいで、その切実さに涙が流れて止まらなかった。
彼らを全力で支える大人たちの姿にも目頭が熱くなった。生徒たち抜きのリモート会議でのセリフにグッと来た。
もうあんな日々は二度とごめんだが、コロナ禍が齎したものは決して「負」だけだったわけではないと信じたい。
多くの制限がある中で何が出来るかを模索し、やりたいことや「好き」を諦めなかった彼らの姿は、星の煌めきの如く美しかった。この夏、多くの人に観ていただきたい一本である。
[余談]
原作からの改変でとても良いと思えたのは、円華の親友・小春がスターキャッチコンテストへ参加する部分である。
原作を読みながら予想していて外れた展開を、映画で描いてくれていたのを勝手に私信のように感じて嬉しかった。
マスクという壁を取り去って直接、とまではいけないけれど誰かと触れ合うというのはやはり良いもの、必要なものだと思わせるシーンで、私も好きです。マスクを取って知らなかった素顔が見えた瞬間のドキッとする感じも良いですね。
円華と小春が和解するところ、お互いマスクを外すところはちょっといいシーンでした。マスクといえば私の好きな天音さんは全編ほとんどマスクでの登場なのですが一箇所だけマスクを取ってニカッと笑うところがあります。ここがかわいいんですね。



