アット・ザ・ベンチのレビュー・感想・評価
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仲野太賀のにやけ顔
久しぶりに映画をみて笑った。
ポスタービジュアルをみて、これは『ナイト・オン・ザ・プラネット』じゃんと思っていたが、案の定で、ジム・ジャームッシュ好きには堪らない作品だった。そして『ナイト・オン・ザ・プラネット』と同様、役者のよさが十全に現れている。
第2編で何回笑ったか分からないし、岡山天音の挟まれ具合と岸井ゆきのの愛すべき面倒くささが絶妙すぎた。私もあのベンチでスーパーのお寿司を食べるのはあり得ないと思いつつ、多分買ってこられたら一緒に食べるし、それでいいと思う。
本作の最大の功績は、広瀬すずの横顔をどこから狙うのがいいか、答えが導き出された点であろう。そして切り返しショットで浮かぶ仲野大賀のにやけ顔に、今、最高に楽しいんだろうなと私もにやついてしまった。
最高のオムニバス映画
ベンチを舞台にした、4人の脚本家による基本会話劇のオムニバス映画。
ひとつのベンチで脚本家によってこんなに色が変わるのがおもしろい。そして作品ep1-5まで役者陣が豪華すぎた。
特にep1と2は最高だった。
仲野太賀×広瀬すずの化学反応がこんなに良いとは思わなかった。幼馴染の絶妙な距離感や探り合いが甘酸っぱくて、応援したくなる男女を見事に会話劇で演じていた。
私も夕焼けのベンチであんな会話をしたい人生だった…笑 そして夕陽に照らされる広瀬すずの横顔の美しさと、優しい仲野太賀の笑顔の尊さよ…。
ただ個人的にep5は蛇足に感じた。あの絶妙な距離感で想像にお任せで終わらせて欲しかった。
ep2は私の好みのどこかバカリズム感がある、細かいけどわかるーと思わせられるカップルの会話劇。いやー岸井ゆきの×岡山天音良かったー。会話のリズム感も良いし、何度も笑ってしまった。最後にトドメで荒川良々さん出してくるの卑怯すぎる(褒めてる)
ep3は今田美桜×森七菜の姉妹の怒鳴り合いの喧嘩。今田美桜こういう役初めて見た。喉大丈夫!?って思うぐらい始終怒鳴り叫んでてすごかった笑
今田美桜演じる姉の行動は、妹と同じで私は理解できなかったけれど、あの姉妹の感じはすごくよくわかる。私がああなった時、私の妹は来てくれるだろうかなんて考えてしまった。
ep4はちょっと今までが良すぎたため、見劣りしてしまった。途中までは面白かったけれど最後が微妙すぎた。草彅剛×吉岡里帆×神木隆之介ってすごい組み合わせだっただけに、ラストあれは勿体なさすぎないか?
ep4が少し微妙だったけれど、全体的にはとても満足感の高いオムニバス作品だった。
場の記憶
何の変哲もない、日常の風景の中にある「場」。
そんな日常の「場」にも、そこに生きた人の記憶が積み重なっている。
この映画では、河川敷にポツリと1つだけ取り残されたベンチを舞台に4組の人間(1組は宇宙人か)の物語が紡がれていくわけだが、このベンチは単なる物体というよりは、「場」であると思った。
学生時代、教官のアシスタントとして後輩学生達が公園を設計する実習を指導したことがある。ベンチというのは、人に使われるかどうかが非常に重要なアイテムで、その配置や設計には非常に入念な検討が必要なのだ(ちなみに、そっち方面とは全然関係ない仕事をしている)。
この映画のベンチは、非常に奇妙な配置である。なぜこんな場所に1つだけ?およそ人に使ってもらえるような配置ではない。目の前には遊具などがあって、どうやら3つあったうち2つが撤去されて1つだけ残ったらしい。しかし変だ・・・
この「場」に強烈な記憶を刻みつけていくのは・・・
ベンチの上で会話する幼なじみの男女。
別れ話をするカップルと変なおじさん。
男に狂ってしまった狂乱の姉と、姉を案じる妹。
ベンチになった宇宙人の父を助けようとする宇宙人兄妹(役?)の男女。
と、宇宙人??
変だが地味な「場」。そこを味わい深い場に変えてしまうにはアクの強い演者と演出が必要なんだろうと思うんだが、この作品は、間にそれを挟み込んで、最初と最後を優しく包み込んだ形。日常→ちょっと変わった日常→異常→超常現象?→日常という流れというか。
個人的には、ちょっと変わった日常のカップルがいい。岸井ゆきのってナチュラルにどこか滑稽な人を演じることができて怖いんだけどクスッと笑える。やっぱり凄いんですけど。
あーでもこのベンチで「スーパーの寿司」を食うセンスはズレてる。それはないわ。
その後の宇宙人兄妹のアイデアは良く思いついたなと感心した。視点がベンチ目線に変わったので「なんかあるかも?」と思っていたけど、宇宙語で話すとは、ヤラレタ。
結局、このベンチは本当は何だったのかは、謎のまま、幼なじみは仲良く収まって、ベンチは撤去される。この場の記憶は失われていく。
最後に2人が長生きして死んだウサギのことを笑って話すのが何故か印象に残った。実体がなくなっても、人の心の中には記憶は残るっていう意味なのか。
ちょっと考えすぎかもしれない。
ちょっと不思議な短編集だった。
タイトルなし(ネタバレ)
初めて短編作品を詰め込んだ映画を観ました。
すずちゃんとたいがくんのお話がなんか好きだったな。
どのお話も自然だし絵もきれいすぎない感じが良かった。
全部アドリブなのでは??と思うくらい自然にぽんぽん言葉が出てくる感じ?役ではなく本人たちの、俳優さん方が普通に話してるのを撮ってるような、それを盗み聞きしてしまってる感じが面白かった笑
でも、やっぱり同じ画角で撮ってると見てて疲れてきちゃうんだよね。なんだろ。なんでかわかんないけど。多分見慣れてないだけだと思う。
あとは、今田美桜ちゃんずっと裏声でそういう役なのもわかるけど耳が痛くてちょっと苦しく感じてしまった。聴覚過敏には刺激が強すぎたかもしれない笑笑
岡山天音くんがやっぱ好きだー!!ってなった。
2番目の天音くんのお話もだいぶ面白くて好きだった。
宇宙人のは理解が追いつかなくて、文字も目が悪くて少し小さかったから見えにくかったり読むのが遅いからもう少し長く表示してほしかったかも(泣)
お話としてはフィクションの中でフィクションを描いてるのが不思議でいい意味で変わってる面白い作品だなぁと思った。
全話、クスって笑えるところがあるのが良きとこでした!
会話劇
【”人間の生活が垣間見える場所。”河原の微妙な位置にあるオンボロベンチに座る様々な人たちの会話が絶妙に面白い作品。若手有名演技派俳優の方々が、超長台詞を見事にこなしていて、流石だなあとも思った作品。】
<Caution!内容に触れています。未観賞の方は鑑賞後にお読みください。>
ー 奥山由之監督は、MVやCM、カメラマンとして実績がある方のようだが、このオムニバス作品を観ると、映像センス、会話劇のセンスが巧い人だと思ったな。
特にどこか可笑しい会話劇かな。
幼馴染の男女(広瀬すず、仲野太賀)の、相手への恋愛感情を持ちながらの明るい会話劇や、姉妹(今田美桜、森七菜)の家出してホームレスのような生活を送っている姉を心配する妹との、ハゲシイ会話劇。
更には、恋人同士(岸井ゆきの、岡山天音)の”バイクに乗らないのに、いつもライダーの様な格好をしている男”に対しての、”潔癖症ではないのに潔癖症と思われている女”の長年同棲している間に積もり積もった男に対し思っているチョッとした嫌な事を”あまり高級ではない回らない寿司が、ドンドン溜まって行く。”という例えで交わす会話と、その会話を自分が昼食を摂りたいベンチに座れないオジサン(荒川良々)が後方からネットリした顔つきで聞いている表情や、途中から男女の会話に参戦してくる姿は、可笑しかったな。
市役所員と思われる男女(草薙剛、吉岡里帆)のベンチ撤去のための計測シーンも、マサカノ展開が可笑しく、そこに撮影監督(神木隆之介)が入って来るシーンや、その後のマサカノ宇宙人展開も、クスクス物でありました。ー
<今作は、どの編も、若手有名俳優の芝居合戦の様な所もありながら、演者さん達が楽しそうに役をこなしている姿も良き作品であると思いました。
それにしても、皆さん、超長台詞を見事にこなしていて、流石だなあとも思った作品でした。>
<2025年2月16日 刈谷日劇にて観賞>
ベンチ視点で色んな愛が観れる映画
ベンチ視点から観る5章構成の映画でした。
それぞれの話で脚本を担当されている方が違い、見せ方や話のテンポは異なりますがどれも個性的で面白く感じました。
1章
お互い意識しつつもなかなか切り出せない男女間の話
凄く自然な会話で演技に思えませんでした。
本当にベンチ越しに昔馴染みの男女の会話を聞いている様で 話のテンポや間の取り方や上手いなぁと感じました。
見ていて好感がもてるキャラクターで気持ちの良いやりとりが見ていて微笑ましかったですね。
素直にこの2人は上手くいって欲しいな、と思える温かい内容でした。
2章
男女の別れ話から始まる話
コメディ色が強く個人的には1番好きな話でした。ちょっとズレた彼氏さんとそんな彼氏に不満を抱く彼女さんの話です。
彼女さんが彼氏さんへの不満を寿司に例えて話をしているんですが例え方が絶妙で同調出来て笑えました。
後半に脇で話を聞いていた変わったおじさんが別れ話に参加してくるんですがそこから話の展開が本当に面白かったですね。
変わったオジサンもどこかズレてるんですが彼女さんの話の真意はきっちり抑えてるので歯車が噛み合っていないのに話が噛み合ってしまっていてめちゃ面白かったですね。
この脚本担当の人の作品をもっと見てみたいと思いました。
別れ話で悲しい話かと思いきやユーモアたっぷりの笑える話でした。
凄く気に入りました。
3章
姉妹間の家族愛を描いた話
ヒステリックな姉妹喧嘩から始まる話でした。
彼氏に入れ込んで故郷から出て行ったお姉さんと姉を心配して追いかけてきた妹さんの話です。
2人の演技や撮り方も上手く口論の白熱っぷりが際立っていました。
真面目だったお姉さんが男に入れ込んでしまい、辛い思いをしているのが見ていれなくて妹さんがお姉さんを諭すんですがなかなかわかってもらえない。
変わってしまったお姉さんでしたが、お姉さんの事を本当に理解してる妹さんだからお姉さんも心を動かされて和解に至ります。
姉妹間の思い出、家族の愛はいいもんだなぁと心が震わされる話でした。
2人の演技が本当に素晴らしい、と思う話でした。
4章
実はSFだった話
ちょっと他の話に比べると異色な感じでしたね。
こういうのも斬新で他の話にはない物があるので、これはこれで良かったのかな、という気もします。
剛くんの演技が久しぶりに見れたのでそれが嬉しかったかな。
5章
1章の後日談の話
1章の男女のその後の話です。
距離感も近まり1章以上に自然な距離になっていて見ていて大変気持ちよかったですね。
大団円という感じがして〆の話としてもよく出来ていました。
見て良かったな、という終わり方で満足して映画館を出れました。
どの話も共通しているのはベンチ視点で男女間や家族間の愛を描いている事かなぁと思います。
作品ごとにテイストは違いますがどれも面白く、よく出来た話でした。
出演されてる人達の演技力のレベルの高さを本当に感じる映画でした。
上映館少ないですがこれはいい映画だと思います。
もっと流行ってほしい、これを切に願います!
今年の活躍が楽しみな俳優たちの競演
観たかった作品だが、上映館も少なく、年が明けやっと行きつけの映画館で始まり駆けつけた。オムニバスの映画でしかもベンチをモチーフにした5作の会話劇。賛否両論渦巻くでしょうが、私はかなり楽しめました。映像監督の奥山さんのことはよく知りませんが、独特の定点観測カメラに出てくる俳優たちが自由闊達に話し続ける。ほとんど長回しなのに皆、凄いなぁ、と感嘆してました。特に岸井ゆきの寿司になぞらえた話の可笑しさと今田美桜の飛んじまってるど迫力の演技は秀逸。もちろん広瀬すず、仲野太賀の会話劇は微笑ましく好感が持てる。宇宙人の話は意表を突きすぎてどうしてよいかわからなくなるが、それもまた良かった。
主役級の役者がこれだけ登場。一本の映画ではあり得ない。これがオムニバスのなせる技なのか?いつか日本映画の実験的作品として評価される日が来るかも知れませんね、。
舞台劇でみたいかなぁ
関連性のあるオムニバス。全5編。
今まで公演だったところに
取り残されたようにある古ベンチを
絡めた人間模様のストーリー。
ただのベンチが主役になって繰り広げられる
ストーリーがこれほどに面白くみせてくれる
なんて、素晴らしい作り手演じ手の皆さん
だったと思います。
会話劇なので、脚本の素晴らしさが際立つ
1本となっています。
会話の呼吸、タイミング、間、、、などが
まぁ見事でした。
個人的にはEp2が大好きでこれだけを繰り返し
観たいほどです。まぁ笑います。
オムニバスではありますが、
しっかりとスッキリ終わらせてくれるので
1本の作品をみたなぁって気持ちになれます。
このあたりも上手ですね。
で、これは好みですが・・・
映像作品でつくるべきだったのかなぁ?って
思いました。
映像作品としての良さってどこなんだろう?
ってとこがちょっとわからなかったです。
とっても面白いのですが・・・。
僕は今作を舞台劇で観たいって思いました。
東よりのコント?
アウトドア、様々な光を知る。
今旬の俳優たちが集合、演技と脚本が面白いオムニバス。 やってる俳優が実に生き生きと演技していて楽しそうで、観てて心地よい、第4話以外は!
川沿いの ベンチを舞台にしたオムニバス会話劇。
今旬の役者陣によるノッテ演じているのが観ていて心地よい。
1・5話の広瀬すず・仲野太賀の、セリフの端橋と演技だけで観客に想像させる展開が実にうまくて、感動する。
個人的には2話、岸井ゆきの・岡山天音・荒川良々3人のセッションが一番好き。
特に変な言いがかりの岸井に、いちいち素直に対応する岡山が実にいい。
観ていて楽しい。心地いい。
しかし、4話の悪ふざけと言うかコントと言うか…が全く面白くない。
只々だらだらと訳が分からないことを言い合う酷い脚本。
せっかくの俳優3人集まったのに、笑えない低質コントなのが実にもったいない。
神木君なんてほとんど出番なし、もっと演技が観たかった!
ちゃんとしたホンで、ガッツリ演じさせてほしかった。
脚本家それぞれの持ち味が楽しめる作品
バラバラのエピソードを重ねながらも、ゆるやかな継続性を持たせて、首尾一貫で締めくくるという構成。
とても好みの映画だった。
ベンチのロケーションがまた絶妙。
目の前に広がる風景を見ると、ゆっくりと景色を愛でるために置かれた訳ではなさそうだし、設定の「取り残された」感が、納得できる半端さ。
けれど、傾いてオレンジ色が強くなった日差しに、何とも言えない寂寥感やほんのりとした温もりを感じて、特別にステキな場所にも見えてくる。
どのエピソードも、それぞれ脚本された方々の持ち味が出ていて、とてもとても面白かった。
エピソード1の生方美久は、やっぱりセリフ選びがとても自然で、広瀬すずは素でしゃべってるのではないかと思わされるほど。
エピソード2の蓮見翔も、そこを突っつくかというセンスがさすが。
エピソード3も、はじめから根本宗子っぽさ全開で、それに完全にフィットしてる今田美桜が圧巻。
エピソード4は、「転」の部分を監督自らが担い、お遊びも楽しみつつ…という感じ。
そして、エピソード5で、再びの生方美久。ワンシチュエーションで、ほぼ動きもない中、普通のセリフの積み重ねで、観ているこちらの頭の中をフル回転で揺さぶってくる見事さ。
とにかく、いいバランスで楽しかった。
色々と味わえてお得感もあり、配信になったら、お酒でも飲みながら、また楽しみたいと思った。
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