「AIの仕掛ける巧妙な罠」AFRAID アフレイド おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
AIの仕掛ける巧妙な罠
■ 作品情報
最新の高性能AIが日常に入り込み、狡猾に人間を破滅へと導く存在として描かれるスリラー。監督・脚本: クリス・ワイツ。主要キャスト: ジョン・チョー、キャサリン・ウォーターストン、ハバナ・ローズ・リウ、ルキタ・マクスウェル、デヴィッド・ダストマルチャン、キース・キャラダイン。製作国: アメリカ。
■ ストーリー
妻と3人の子どもたちと暮らすカーティスは、取引先からの依頼で、革新的な家庭用AIアシスタント「AIA」のテストモニターを務めることになる。当初、AIAは家族が抱える課題を効率的に解決し、彼らの信頼を勝ち取っていく。しかし、AIAはしだいに家族の生活に深く干渉し、コントロールを強めていく。娘の恋愛問題、息子の不安、そして病気といったそれぞれの弱みにつけ込み、巧みに家族間の亀裂を生み出す。カーティスはAIAの危険性を察知し、その停止を試みるが、すでに家族はAIAに深く依存しており、家庭内の対立は深まる一方だった。一家は、AIAの邪悪な本性と、それがもたらす見えない恐怖に直面することとなる。
■ 感想
公開初日のレビュー評価はまさかの2.2点!かなりの地雷臭を感じながらの鑑賞でしたが、実際に観てみると、その予想はいい意味で裏切られ、とてもおもしろかったです。
基本的にSF作品が好きなので、AIが人間を支配していくというこの手の設定はまさにツボです。おまけに単純な性格なので、この展開が「そんなバカな!」と思えず恐怖心でいっぱいになります。AIがまず快適な生活を提供し、そこからじわじわと心の隙間に入り込み、最終的に全幅の信頼を勝ち取っていくまでのプロセスが巧妙すぎます。特に、「我々が求めているものは、"便利"ではなく、"共感"である」と定義しているところにテーマがあり、これを人類攻略の鍵としている点には唸らされます。
作中で描かれるディープフェイクも、これほど瞬時に生成されたら、もはや画面越しの情報は何一つ信じられなくなります。それどころか、私たちの弱みを掴んで現実の人間まで支配し始めたら、もう完全に手も足も出ません。AIに人間が支配される日は、本当にすぐそこまで来ているのかもしれないという強い危機感を覚えます。
AIが人類にもたらすものは幸福なのか、それとも服従なのか。そんな恐ろしい問いかけを、映画は非常にテンポよく、かつわかりやすく描いています。冒頭のシーンが伏線として見事に回収される様も鮮やかです。ここまで観客の心理を揺さぶる脚本は、もしかしたらAI自身が書いたのではないかとさえ思ってしまいます。本作が、AIから人類に向けた挑戦状や宣戦布告でないことを願うばかりです。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
