「忍者アクションはべらぼうに良い……」アンダーニンジャ 健部伸明さんの映画レビュー(感想・評価)
忍者アクションはべらぼうに良い……
『めぞん一刻』を思わせるアパート編と、激闘の学園潜入編(ラブコメあり)のバランスはよかった。
豪快お色気な川戸愛(木南晴夏)が六本木朱美、謎の悲哀サラリーマン大野(ムロツヨシ)が四谷さん、雲隠九郎(山﨑賢人)が五代君てな感じ(未亡人美人管理人はいない)。
何も知らないヒロイン野口彩花(浜辺美波)や、イジメで登校拒否だった瑛太(坂口涼太郎)が九郎の影響で再び登校できるようになるくだりは、ほのぼのスラップスティックで心地よい。
小説家・吉田昭和(佐藤二朗)は、福田組では珍しく無用なアドリブが少なくて見やすい。むしろ編集者・鈴木(白石麻衣)の理不尽なツッコミで、可哀そうになる。その鈴木が、奇怪な殺し屋相手にアクロバティックに大立ち回りするさまも見事。
蜂谷紫音(宮世琉弥)の、標的以外にも窓ガラスを割る手裏剣の理に唸らされる。
しかし何と言っても山田美月(山本千尋)の笑顔の怪演と、九郎を凌ぐまでの肉弾戦での余裕の体さばきである。さすが世界ジュニア武術選手権大会金メダリスト。『キングダム2』の羌象役でも光ってはいたが、今回はさらに大きな爪跡を残した。今後も注目したい役者だ。
……と、見たことがない殺陣の活劇部分の手柄は、アクション監督の田渕景也にある。
問題は福田雄一監督による台本。特にエンディングまわりから「ん? これでいいのか?」となってしまった。気になって花沢健吾の原作をざっと確認したが、大筋は原作にそっている。であるが……なのである。ともかく、すっきりしない。もうちょっと納得できて魅せる落としどころがあったのではないか?
まあCreepy Nutsの「doppelgänger」は作品に合ってて癖になるし、続編ができたら観には行くけどね。