「企画の段階から、この素材で遊ぼうと考えているのはテレビ局制作だからかもしれません」アンダーニンジャ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
企画の段階から、この素材で遊ぼうと考えているのはテレビ局制作だからかもしれません
2025.1.25 イオンシネマ京都桂川
2025年の日本映画(123分、G)
原作は花澤健吾の同名漫画(講談社)
地下に潜伏する忍者組織と戦う現代忍者を描いたアクション映画
監督&脚本は福田雄一
物語の舞台は、日本のどこかの都市(練摩区)
忍者組織「NIN」の下忍である雲隠九郎(山﨑賢人)は、やることがなく暇を持て余していた
現代の忍者は「NIN」という組織から仕事を充てがわれていたが、下忍にまで仕事が回っては来なかった
九郎は安アパートに住み、隣人の大野(ムロツヨシ)の冷蔵庫を拝借したり、川戸(木南春夏)の無理なお願いに付き合わされていた
ある日のこと、九郎は中忍の加藤(間宮祥太朗)から本部の命令を受け取ることになった
それは、講談高校に潜入し、そこに潜伏している「UN」の目的を探るというものだった
用意された制服と、透明になるパーカーを受け取った九郎は、高校生のフリをして潜入することになったのである
物語は、潜入した矢先から高校の主事(平田満)が絡んできて、さらに怪しい感じの生徒がたくさん登場する
メインは偶然絡むことになった彩花(浜辺美波)なのだが、ストーリーを進めると言うよりは、九郎が情報を得るための道具になっていた
ヒロインっぽさというのはあまり感じられず、使い捨て感が凄いのだが、ラストまで絡んでくるところは原作のテイストなのかもしれない
誰かを守るというよりは、敵の思惑を防ぐという守備型アクションになっていて、敵の方が何枚も上という感じに描かれていた
秘密兵器の「遁」の存在も「実は透明化していて居場所がわからない」という設定を完全無視していて、宇宙服で一人で向かって制御を奪われるなど、技術力以外のところに問題があるように思える
原作未読なので仕方ないのだが、敵の組織の名前がタイトルになっている意味がわからず、てっきり「UN」こそが正義で、「NIN」が腐敗しているなどの展開があるのかなとか思っていた
九郎は実は「UN」のメンバーで、「NIN」に協力しているように見えて、「UN」を手助けしているなどの仕掛けがあったりするのかなとか考えていたが、まったく関係なかったのは原作にそのテイストがないからなのだろう
いずれにせよ、福田雄一テイストが不要な作品で、それを楽しむ層よりも忍者の本格アクションを観たい人のほうが多いような気もする
海外に向けて売り出すことも可能だと思うが、あのギャグパートは諸外国では意味不明に思えるように思える
何度も繰り返すとか、ウケるまで続けるというシュールさはテレビのバラエティではOKでも、映画ではナンセンスだろう
ああ言ったシーンを入れるぐらいなら、遁での制圧戦をもっと規模を大きく描くなどの必要な描写に力を入れた方がマシだったのではないだろうか