熊座の淡き星影のレビュー・感想・評価
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ドラマチックに凝縮されたヴィスコンティの作劇術に佇むカルディナーレの妖美な存在感
ヴィスコンティ監督の期待を上回る中期の傑作。その圧縮されたドラマ展開に引き込まれる。タイトルバックのドライブシーンの大胆さから、舞台を姉弟の生家に移しての過去と現在の真実追求の語りの見事さ。二人は本当に只ならぬ関係にあるのか、それともあったのかのミステリーを軸に、家族間にある愛憎の人間の本能を白熱した会話と精神上の葛藤で描き切ったヴィスコンティの演出力は絶品。全く無意味で無駄なところがない、それだけ凝縮されたドラマ作りの熱量に圧倒される。クラウディア・カルディナーレ、ジャン・ソレルの姉弟役が演技の上で優れ、特にカルディナーレの演技は、「ブーベの恋人」と双璧になる最良と思われる。
就職してから仕事に追われて殆ど劇場鑑賞しなくなってしまったが、今日で漸く300本を数える。現時点でのベストテンを選出してみる。
第一位 わが谷は緑なりき ジョン・フォード
第二位 黄金狂時代 チャールズ・チャップリン
第三位 自転車泥棒 ビットリオ・デ・シーカ
第四位 ベニスに死す ルキノ・ヴィスコンティ
第五位 8 1/2 フェデリコ・フェリーニ
第六位 大いなる幻影 ジャン・ルノワール
第七位 イタリア麦の帽子 ルネ・クレール
第八位 モヒカン族の最後 モーリス・トゥールヌール
第九位 ミュリエル アラン・レネ
第十位 誓いの休暇 グリゴーリ・チュフライ
次点は、アーサー・バロンの「ジェレミー」 ルイ・マルの「鬼火」 チャールズ・チャップリンの「キッド」 ジャン・ルノワールの「ゲームの規則」 イングマル・ベルイマンの「野いちご」 エリック・シャレルの「会議は踊る」 ジョン・フォードの「駅馬車」 ジャック・フェーデの「ミモザ館」 カール・テホ・ドライヤーの「奇跡」 ルキノ・ヴィスコンティの「揺れる大地」「若者のすべて」 フェデリコ・フェリーニの「道」「アマルコルド」 ルイ・マルの「死刑台のエレベーター」、そして、わが映画体験のオリジンであるグリゴリー・コージンツェフの「ハムレット」
1986年1月24日 大井ロマン
10代の頃は生意気に作品の良し悪しを評価することに拘って、自分の好みに合わない作品を見下す傾向があった。それでは本当の意味で映画を楽しめないと教えてくれたのが、18歳の時に観たジャン・ルノワール監督の「大いなる幻影」だった。この初見の時、それまで経験のない無感動に襲われて、これはどうしたものかとその本質に辿り着けないでいた。しかし、幸運にも翌年にテレビではあったが、「大いなる幻影」の完全版を再見出来て、この時は感涙に咽ぶくらいに感動してしまった。映画に限らず芸術作品の良し悪しを、一人の人間の経験や資質や思考だけで判断することが困難なのは理の当然であり、むしろ映画鑑賞の良さは、様々な作品に触れることで自分自身を知ることにあるという事に気付かされた。ジャン・ルノワール監督は、私に限界があることを教えてくれた恩人でもある。それを承知した上で言えることは、なるべく若い内に、まだ感性が固まらない純真な時までに、より良い映画を沢山鑑賞することが肝心です。自分としては、充分満足したものではないが、上記の作品からより良い感動を貰ったことに感謝する心境にあり、それは今も変わらず、これからも、色んな映画の美点を記録したいと思っている。
ギリシア悲劇「エレクトラ」に擬えた禁断の愛を描いた物語。
実の母親の精神の病気のせいで、父親の兄弟たちは会いにもきてくれない。弟は夜こっそりと現れサンドラと抱き合う・・・弟の頬を摺り寄せ、いまにもサンドラを愛撫しようかという様子。なんとか夫との仲を割こうとする様子がありありと、まずはサンドラの初恋の相手を示唆し、夫に疑念と嫉妬を植え付ける。苦悩する夫。NYで君を待っていると書置きを残し一足先に帰ってしまう。弟は弟で、一緒にここに残ろうと説得する。
狂言自殺をネタにサンドラとともに寄宿舎行きを拒否したという経緯もあり、何かと自殺するという弟の嘘を見抜く彼女だったが、その後のジャンニの苦悩シーンが真に迫るものでした。あぁ、ほんとうに自殺しちゃった・・・
艶。
二本立ての二本目、少し寝ましたが、筋は追えました。
サンドラ役のクラウディアに艶があり過ぎて、そりゃ旦那も弟も虜になるだろって。
サンドラの存在感が大きくて、プロットがあまり印象に残りませんでした。
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