「正しい選択で駆けろ」ソニック × シャドウ TOKYO MISSION 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
正しい選択で駆けろ
『マリオ』『マインクラフト』とゲームの映画化にヒットが続く中、こちらは快速で3作目。
前作を見直しといて良かった。最後のポストクレジットシーン、忘れてたもん。
前作のポストクレジットシーンで登場した、ソニック似の謎のキャラ。
『ソニック』のゲームはやった事ないので知らないが、原作ゲームやファンからはソニックに次ぐ人気のキャラ。ダークヒーロー、シャドウ。
東京を舞台に、壮絶な超音速バトルが繰り広げられる…!
…のだが、ちょっと待って。言いたい事が二つ。
まず、せっかく今回生まれ故郷の日本にやって来たのに、昨年末、日本では全くヒットも話題にもならず。公開された事を知らない人も多いのでは…?
今回だけに限った事ではないが、大ヒット人気シリーズと謳っているが、結局ウケているのはアメリカやその他の国々であって、日本ではシリーズを通してほとんどヒットしていない。
『マリオ』と何が違う…? 話題性や人気…? ソニックだって人気あるだろうに…。
日本生まれで、せっかく今回日本を意識してくれたのに、日本の観客はそっぽ向き。ハリウッドも落胆しているかもしれない。
それから、“TOKYO MISSION”ってサブタイトルが付けられているけど、もっと全編通して日本が舞台になると思ったら、序盤ちょっとだけ。
そもそもの原題は“ソニック・ザ・ヘッジホッグ3”。“TOKYO”の文字なんて一つも無い。
堂々とサブタイトルにするくらい東京でミッションなんて繰り広げられた…? ただ事件勃発ってだけ。
ハリウッドが描く如何にもなネオンギラギラのジャパン描写と、どう見たって日本人には見えないエキストラ。英語やカタコト日本語が飛び交うエキゾチック・ジャパン!
配給会社よ、これでどうして恥ずかしげもなくこんなサブタイトル付けた…?
製作会社よ、日本を意識してくれたのは嬉しいが、もっと日本を舞台にして欲しかったよ…。
だから日本の観客はそっぽ向いたのかな…?
宣伝や舞台設定には難あるが、作品自体は今回も安心安定の走行。
トムとマディ夫妻、前作で登場し仲間となったテイルスとナックルズらと共に、“家族”として穏やかに暮らすソニック。
突然、GUNから出動要請。東京へ。
渋谷のスクランブル交差点に現れた赤と黒のハリネズミ、シャドウ。
ソニックとテイルスとナックルズの3人で立ち向かうが、シャドウの圧倒的なパワーとスピードに、3人がかりでも全く歯が立たず…。
シャドウの目的。ある復讐。思わぬ人物と組む。
追うソニックら。またまた登場のアイツの思惑も…。
GUNの秘密兵器も絡み、文字通り地球規模の危機が…!
前作もそうだったが、序盤でトムがソニックに言う格言がキーとなる。今回は、“正しい選択”。
中盤、トムが重体に。怒りに任せてソニックは、封印した筈のマスターエメラルドを使ってパワーアップし、シャドウを倒そうとする。それは正しい選択なのか…?
シャドウを追い詰めたソニック。怒りのままシャドウの息の根を止めるか、それとも…? 選択迫られる。
シャドウもそう。彼の目的。
半世紀以上も前に地球へ落下。GUNに捕らえられ、そのパワーとスピードを研究に使われる。
そんな時出会ったのが、研究所所長の娘マリア。親交を深め、シャドウの孤独な心の唯一の癒しとなるが…
シャドウの力を危険視したGUNがシャドウを抹消しようとする。気付いた所長が逃がそうとするが、その際マリアが…。
マリアの復讐。GUNを潰す。
だが、それはマリアが望んでいる事なのか…? 正しい選択なのか…?
娘を奪われた研究所の所長も同じなのだが、彼がクセ者。
GUNへの復讐以上の大きな企み。シャドウの復讐心を利用して。
利用したのはシャドウだけじゃない。あのロボトニックが開発したメカニックも利用。
生きていたロボトニック。が、ソニックに2度も敗北し、堕落し、昼メロ見ながらお菓子を食べ、ぶよぶよ体型に。
自分のメカニックが利用された事を知り、不本意ながらも(ソニックらも不本意ながらも)組む。
対峙してびっくり。顔も天才的頭脳もそっくり。何と、ロボトニックの祖父、ジェラルドであった…!
思わぬ家族との再会に、さすがのロボトニックも感激。ソニックらを裏切り、祖父と組む。
天才的マッドサイエンティストと同じくその祖父。一見目的は同じように見えて、正確には違う。
祖父の本当の目的を知り、ロボトニックは…。彼も選択迫られる。
各々の“正しい選択”は地球の危機を救えるか…?
スピードのソニック、頭脳のテイルス、パワーのナックルズ。
自意識過剰なソニック、真面目なテイルス、熱血なナックルズ。
能力も性格も違うが、絶妙なバランスの“チーム・ソニック”。彼らの活躍がたっぷりと描かれる。
トムとマディは出番は減ったが、一応見せ場は設けられ、特にトムはソニックの精神的支えに。
ナイスキャラのマディの姉レイチェルと偽婚約者ランダルは“ホログラム”として登場。本人ではないが、演者はちゃっかり出演。
新キャラ、シャドウ。今回のヴィランだが、ナックルズ同様ただの悪役に非ず。先述のバックボーンにより感情移入出来るキャラとなっている。オリジナル=キアヌ・リーヴス、吹替=森川智之の声もクール。
新キャラがもう一人。ロボトニックの祖父、ジェラルド。演じるは勿論、ジム・キャリー。
私がこのシリーズが好きな理由の一つに、ジム・キャリーの存在。
2010年代は目立った活躍無かったが、1作目でこれぞ“ジム・キャリー劇場”とでも言うべきハイテンション・コメディ演技。このロボトニック役で完全に本来の調子を取り戻した。
前作後、引退をほのめかす発言をし、今回降板するかと心配したが、嬉しい事に続投。引退発言を撤回するほど今のジムにもお気に入りの役なのだろう。
しかも今回は、ロボトニックとジェラルドの一人二役。顔芸、歌って踊って、両者の個性もメリハリ付けて、期待に違わず。今回もたっぷり笑わせ魅せてくれました。
ロボトニックを愛する(?)部下のストーンも勿論。彼とロボトニックとジェラルドの関係が、見ている昼メロの三角関係クリソツ(笑)
超音速バトルはいつもの事ながら、今回はそのスケールとアクション。
1作目の街中チェイスバトル、2作目の巨大ロボバトルと段々スケールアップしていき、今回は地球を飛び出してスペースバトル!
マスターエメラルドでパワーアップしたソニックとシャドウのバトルは、まるでスーパーサ○ヤ人級! アクションも迫力満点。って言うか、原作ゲームもこうなの…!?
宇宙から地球を狙うGUN開発の…いや、実はジェラルドが巧みにGUNに造らせた巨大ステーション。
発射されるレーザーは地球を焼き尽くす威力。
ジェラルドの目的がこれ。娘を殺したGUNのみならず、愚かな人類や地球そのものを滅ぼす。
意外にもロボトニックがこれに抗う。ロボトニックは人類や地球を抹消したいのではなく、支配して自分の天才ぶりを示したい。支配する人類や地球が無くなったらそれが出来ない。
シリーズも3作目になると、名物ヴィランにも良心が。
ロボトニックvsジェラルド。つまりそれは、ジム・キャリーvsジム・キャリー!
マスターエメラルドの使用を巡ってテイルスとナックルズと対立したが、最後はやはり。チーム・ソニック!
ソニックとシャドウも“正しい選択”で和解。
ジェラルドの野望の阻止、巨大ステーションの攻撃から地球を守れ!
仲間が、敵対していた者同士が、共に立ち向かう。王道展開。
やはり日本生まれ。少年漫画的エキサイティングさ。
危機を回避し、平和は守られた。
ソニック、テイルス、ナックルズ、トムとマディ、家族の平穏な日々も再び。
が、戦いで犠牲も…。ロボトニックは…? シャドウは…?
だが、ポストクレジットシーンで…。
ポストクレジットシーンはもう一つ。
突如ソニックを襲撃したメカソニック…?
それを撃退したハンマーを持ったピンクの女の子ハリネズミ。
何者…?
ちと調べたら、なるほど、そういうキャラか。
さすがは人気ゲーム、キャラの宝庫。
2027年公開予定、第4作も決定。
今回と同じく、第4作を見る時にまた本作も見直そう。
まだまだ超快速で走るぜ!