金子差入店のレビュー・感想・評価
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かなり重たい社会派映画
この映画で、刑務所や拘置所の収容者に、差し入れや面会の代行をする「差入屋」という商売を、初めて知った。
がちがちの社会派映画で、主人公がかかわる2つの殺人事件も重たく、映画全体として暗い。
丸山隆平は、主役として文句ない演技を披露。
全体に重た過ぎました
序盤から中盤にかけて想像以上に内容が重た過ぎる上に話を詰め込み過ぎていて、観ているのがキツく、また分かり難かったです。
また、そのキツい内容の割には差入店に対する思いが描かれていないので、何でそんなに無理して差入店を続けているのかがイマイチ伝わって来なかったです。
終盤は感動的な方向へ振ってくれたので良かったですが、もう少し序盤に差入店に対する思いを描いてくれていれば入って行き易かったと思います。
また、キャスティングも演技力にバラツキがあり、改めて日本の俳優は層が薄いと思いました。
“身内”という、それぞれの存在。
まず一番に残しておきたい感情としては奥さんの忍耐強さにグッときたということです。どんな夫であっても、決して見捨てない。背中をさすってくれる。喝を入れてくれる。揺るがない愛の強さをもつ人です。
そんな奥さんに支えられて、前科者である夫は、社会の一員としてなんとか働けているのです。もともとこのお店を営んでいた叔父も居てくれてよかったです。叔父は、甥の悶々とした心を、そっと受け止めて、やさしい笑顔で包んでくれるような人です。かつての若い頃の自分と甥を重ねて見ているのかもしれません。親が俺にしてくれたように、自分も同じことをしようと、あの場所に招いたのかもしれません。
奥さんや叔父。身内ほど心強い存在はいないと思う。でも、身内に苦しめられて生きてきた者もいる。その状況から救い上げてくれているのは、自分ではなく、他人。終わった人生の者がこれからの人生を生きる者を救ったり。自分みたいにならないようにと一つの命を終わらせたり。色々な“思い”を見た気がしました。
金子差入店の前にはきれいな花鉢がいくつか飾られています。それを嫌がらせで割る者がいます。「誰だよ…」とブツブツ言いながら夫は片付けていました。エンドロールのあとに流れるシーンでは、夫自身がこの仕事を受け入れ、誇りを持ち、俺は間違ったことはしていない!という確固たるプライドを感じられました。
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私たちがおかしいんじゃないの。世間がおかしいの。あなたがやってることは、すごいことなんだから。
生き辛さと
酷評もありますが、考えさせられるいい映画でした!
他者と自分との境界線を思う
塀の外と内、アクリル板のあちら側とこちら側、ご近所と家族、自分と家族、個人と社会、自分の中の善悪、あらゆる境界線について考えさせてもらえる良作。登場人物の心情がリアルに胸にせまる。俳優がみな適役で素晴らしい。特に丸山隆平と岸谷五朗は彼らの手触りまで伝わってくるようだった。
観る前と後で日常の感じ方が変わる
※核心的なネタバレは含みませんが詳細な感想です※
綺麗事だけで片付けられない、悲しいほど人間味溢れた物語。爽快な勧善懲悪でもお涙頂戴の出来レースでもなく、矛盾ある行動を取ってしまうところがリアルな人間らしくて考えさせられる。
観客に多少の洞察力、想像力、思考力が求められる構成。語られない背景を想像することを楽しめる人(いわゆる考察好き)向けではある。
脇役に関し疑問が残る部分もあるが、登場人物すべての設定を説明するのは無粋だし、2時間でテンポ良く本筋に集中させるには英断だと思った。全て説明するなら連ドラの尺になる。
むしろ、「自分の知らないところにもたくさんの壮絶な人生がある」ということに気づき焦燥することこそ、この映画の本質ではないか。
ベテランから子役まで全体的に演技の質が良く、満足感アリ。北村匠海の怪演は必見。丸山隆平の人間らしさはハマり役だと思う。
世界観について、やや古臭さ?を感じた。構想10年以上とのことなので、その影響もあるかもしれない。そこは目を瞑った方が楽しめる。
リアルな人間らしさとフィクション作品らしさが混在するため、没入感に影響があるかと思う。
万人受けする作品では無いが、観て損は無し。人によって感じ方や刺さり方が変わるので、誰かに話したくなる。
差入屋
「差入屋」。知らない世界だったし知らない人も多いと思うのでそこに着...
「差入屋」。知らない世界だったし知らない人も多いと思うのでそこに着目したのはとても素晴らしいし、終始釘づけでした。
しかし、しかし、、、。
ツッコミどころが多く、登場人物全てが設定浅いのでクエスチョンだらけでした。
丸山君の演技は凄く良かった。真木ようこは設定が悪かったのか、ぼやけて刺さるものは無かった。
北村親子はインパクトこそあったけど、ここの親子関係もこちらが想像するしかなくつまらない。惜しい。
岸谷吾郎と女子高生のペアが一番謎謎謎!
スッキリしないよー。
女子高生の罪を黙認⁈あり得ないよ丸山君!この辺りでもう作品に対して裏切られた感が…。
館内ではすすり泣くお客さんが数名居ましたが、素直に観れなくてごめんなさい、感情移入出来なかったです。
辛口ですがこの世界を知るには良い事だと思いますのでオススメはします!
※ラストのいちごとエンドロールの曲は良い方向に向かってるって事なんですよね?これまた余計な演出と言うかこじ付けとしか…。だってね、植木鉢がね。 最後まで愚痴ってしまいましたが、惜しいんですよ!もっとぎゅっと絞ればホントに満点あげたいです!
⭐︎3.9 / 5.0
見てよかった
何度も見たくなる作品
多くの方に観ていただきたい作品
差入店の温かな家族物語
古川豪監督が差入店の存在とその必要性を知り脚本を書いた作品。確かに調べてみると差入などできない物の方が多く、かつそれぞれの刑務所や拘置所でも細かい決まりがあるようだ。ネット経由でも差入を頼めるところがあった。衣料や雑誌などの値段は高いが差入店経由ならスムーズに届くのだろうと思う。
主人公を演じる丸山隆平は前科あり。どの程度の傷害事件かは分からないが4年くらった。
真木よう子演じる妻は身重であったが「父親は1人しかいない」と出所を待ってくれた。前科があるので普通の仕事は難しいと、おじの寺尾聰から伝授された差入店の仕事を継ぎ真面目に取り組む。しかし息子の幼なじみが不幸な事件で亡くなるとその職業が起因し妻と息子はイジメに遭う、。息子は父を責めることなく自分の弱さからだと涙を流し、妻は「あなたは必要な仕事をしている」とあくまで前向きに夫を支える。ダメな父親にこんな出来た妻と息子がいるなんて、それだけで幸せなんだぞ!と観ている誰もが実感する。
映画はこの幼なじみの殺害事件と女子高生を救う為に鬼親を元ヤクザが殺す事件が絡み、それぞれ差入の代行をする。事件の内容は僅かのカットを差し込むだけだがその画像が衝撃的で悲惨さが伝わるし、北村匠海、根岸季衣、岸谷五朗、川口真奈がそれぞれ凄い演技で存在するので映画を締まった形にしてくれている。
刑務所の面会室でアクリル板を挟み会話するシーンでは相手側の声を聞く方は音声が絞られていた。塀の中と外とでは世界が違うことをさりげなく表現していた。
みっけもんの良作でした、。
人生の栄養分になる映画
封切り翌日に鑑賞。
雨上がりの週末の夜。
長編デビューの監督によるオリジナル脚本。
小さなスクリーンにも関わらず、後ろのほうの席が、まばらに埋まる程度の客入り。
見終わった直後の感想は「久々に映画らしい映画を観た」だった。
それから、日一日と映画によって与えられた養分がじわじわしみてくる感覚を味わっている。
封切りから3日間の客入りが祟り、上映回数は減少しているらしい。
それに反比例するように、ネットで目にする反響は熱を帯びだしている。
「観て損は無い作品」
「観る価値がある作品」
「たくさんの人に、ぜひ観て欲しい作品」
日常的に劇場で映画を鑑賞している目利き層からは
「今のところ、今年度の邦画1位」という評価もチラホラ。
鑑賞当日、外出を見送ろうとしていたけれど。
これから天候は回復するらしいと教えてくれた家族の言葉に背中を押され、封切り早々に出会えた作品。
鑑賞から数日が経つ今、余韻を味わい、考察を楽しみ、口コミの広がりを目で追いながら、作品に関わったキャスト・スタッフの次回作に思いを馳せている。
配信される作品を倍速で楽しむスタイルと劇場のシートに身を預け、等倍速で作品に向き合うスタイル。
それぞれの良さがあるけれど、本作は、ぜひ後者をおすすめしたい。
それでこそ得られる栄養分があるはずだから。
日々を大切に生きようと思える映画
つらい現実や忘れられない過去、凄惨な事件が描かれているにも関わらず、温かな気持ちが残る作品です。余白が多いので観る人によって、また何度か鑑賞することで受け取れるものが違ってくると思います。
私にとっては人生に残る一本になりました。
また、ヒューマンドラマとしてだけでなくサスペンスとしても楽しめる作りになっています。さりげなく散りばめられたヒントで人物考察をするのもお勧めです。考察がお好きな方は観た後にパンフレットを読むことをお勧めします、メインキャストの背景等書かれています。
エンドロールも最後まで見逃して欲しくないです。
主演の丸山隆平さんをはじめ豪華俳優陣のお芝居に惹き込まれます。丸山さんは近年舞台ではシリアスな役を演じられており(特殊詐欺を描いた「パラダイス」や芸能記者役の「ハザカイキ」)、今回はスクリーンでその熱演を見ることができます。差入れ屋として被害者と加害者の狭間で自身の弱さに翻弄され迷いながらも懸命に大切なものを守ろうともがく一人の男として生々しく生きており、表情や声色の繊細なお芝居と、その局面により佇まいや顔つきが変貌していく様が見事です。金子の精神状態が痛いほど伝わってきてつらくなります。
脇を固める俳優陣どなたも見逃せないのですが、特筆すべきは今回銀幕デビューを果たした現役女子高生の川口真奈さんです。台詞量の少ない難しい役どころですが、新人とは思えないお芝居をされています。これからも注目したい俳優さんです。
また、弁護士役の甲本雅裕さんもいい味を出しています。金子とのシーンは内容はシリアスなのですがとても柔らかな空気が漂い、少しホッとさせてくれます。
古川豪監督は長編映画デビュー作とのことで、記念すべき作品を観られたこと嬉しく思います。作品からもインタビューからも、世の中を少しでも良くしたいという思いが根底にあることが伝わってきました。これからも期待しています。
金子差入店の佇まいと映像の質感がどこか懐かしく、温かい余韻が残ります。家族であろうと懸命にもがく金子一家の温もりに触れるためにまた映画館に会いに行きたいです。
細部にまでこだわりの光る良作
無駄を削ぎ落として伝えたいメッセージだけが込められた作品。役者の演技もそれに合わせて、説明的なセリフは省かれて表情筋の動きや声色の僅かな違いで表現されている。どのシーンにも考えられていて、勢いだけで乗り切る部分はない。劇中に覚える違和感でさえも意味があるのではないかと思わせる。
このこだわり抜かれた作品作りはさすが監督が11年間温めていたアイデアだと言うだけのことはある。
ただそれだけに、様々な事件が詰め込まれ、時間内に語りきれない印象があった。余白を楽しむという意味ではそれも正解だと思うが、もう少しそれぞれを掘り下げて観たい感があるのは否めない。
鑑賞後にはパンフレットを読むのをおすすめする。
しかし、作品の一番伝えたいことはエンドロール後の一瞬に表現されている。作中様々な出来事が巻き起こるが、全てはこのシーンのためにある。席を立たずにエンドロール後まで観るのを強く勧めたい。
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