金子差入店のレビュー・感想・評価
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金子差入店(映画の記憶2025/5/17)
非常に重めなヒューマンドラマですな。
ストーリーの流れはどんどん引き込まれる感じに作られてる。加害者家族と被害者家族と挟まれるのは精神的にくるわ。
名取裕子は演技が昭和だな。自分は嫌いじゃないけど、80年代のドラマっぽかった。
真木よう子非常にいい。脚本作った人流石にあの奥さんは出来過ぎな奥さん像よと言いたくなる役を見事に表現したのは流石です。
北村匠海は目も演技できるんだね。あの役は難しいだろうに。
結構泣ける感じではあるが、精神的に挟まれてるから泣くには至らず。
でもそれも含めて色々と考えさせられる良い映画。
(個人的評価6.5点/10点中)
「おくりびと」から17年。新たな知られざるお仕事映画の誕生!
おくりびとで助監督を務めた古川豪さんの脚本そして初監督作品だという。構想から公開まで10年以上かけた作品とのこと。
思いを込めたデビュー作なのだろう。僕の苦手な誇張された感情表現もなく、しかしとても重たいさまざまな登場人物の感情を丁寧に描写映画であった。この映画での脇役岸谷五朗と川口真奈のエピソード回収場面は素晴らしく、泣かされてしまった。
古川監督が助監督を務めた「おくりびと」、調べてみたら2008年公開。そんなに前だったかな。
納棺師という職業について、初めて多くの人が知ることになった映画だった。単に棺に納める仕事ということにとどまらない職業の持つ意味や、倫理観、働く人の誇りと美意識。そう言ったものを見事に伝えた「お仕事映画」の最高峰の一つだと思う。
おそらく古川監督は助監督を務めた「おくりびと」からヒントを得て構想し、本作の主要モチーフ「差入れ屋」という仕事を発見し、10年以上かけて構想を深めたのだろう。
刑務所に差し入れができるのはなんとなく知っていたが、それを代行する仕事というのは聞いたことがなかった。収監された犯罪者に会えるのはおそらく家族や弁護士や、なんらかの関係者だけのはずだ。
その中で、なんらかの事情で面会できない、あるいはしない、家族の代わりに差し入れをする人というのは、物の差し入れをするだけではない、家族や関係者、そして当の犯罪者のケアに関わる人であるという監督の見立てはとても素晴らしく意義ある啓蒙でもあると思った。
物の差し入れだけでなく手紙の代読も許されているとのことだから、心の交流の代理人でもあることが映画の中でも描かれる。
さまざまな関係者が重層的に描かれる脚本の整理も素晴らしい。ただ、主人公が元服役囚であるという設定、また途中で描かれる殺人事件の被害者と関係がありつつ、加害者の家族の仕事を受けるという設定は、この映画のドラマ性を高めている一方で、本作で多くの人が知ることになる差し入れ屋という職業への掘り下げを浅くしてしまったような気がしている。
経験した人がとても少なく、まだ知られていない仕事であるだけに、その職業の持つ意味や意義、独自の職業倫理といったものがあるはずで、その辺りを掘り下げて欲しかったと感じた。
寺尾聰演じるおじさんがその職業の主人公の師匠でありメンターのはずなのだが、同居しているにも関わらず、主人公に対して十分な継承が行われていないようだった。
その継承が行われた上で、この職業の意味と持つべき倫理を身につけた主人公が、その倫理を超える決断をするという描写があったら、差し入れ屋について深く知ると同時に、その職業倫理の難しい壁を主人公が職を失う覚悟をしてまで、守ろうとする、あるいは越えようとするという大きな成長物語にもなった気がする。
10年以上もかけた監督の素晴らしいお仕事に敬意を感じた作品だから、こんな感想はなんか素人の身勝手な意見でおり、勝手な願望だ。
とにかく、主人公だけでなく周辺の人物の描写が見事で、相当な取材をされた脚本でもあるのだと思う。感情が揺さぶられる映画である。
普段接することのない世界
差し入れ屋の存在は知っていましたが、手紙も代理で差し入れ屋の人に頼めるのかな?(それは創作?)
普段接することのなかなかない世界の話で、着眼点はとてもいいと思った。
ストーリーは、弁護士の守秘義務が一番気になった。題材はとてもいいので、脚本がもっと良かったらとは思ってしまった。エンドロールの後に少しだけ映像があった。
とはいえ、色々考えさせられる映画ではあった。
塀の中とこちらの世界は紙一重であり、同じ世界に存在しているもの。もしかしたら、何かの歯車が狂って塀の中との縁が誰しもできないとは言えない。
恋愛要素がない映画を観たかったので、それは良かった。
SUPER EIGHTの丸山さんは思いの外演技がうまくてびっくりした。難しい役を上手く演じられていたと思う。
やり切れなさが詰まった話
魂のぶつかり合い
物語の最初から最後まで人間の悲しみ、哀れみ、喜びがぶつかり合って、交差する話でした。
悲劇的な事件を軸にその事件に関わる被害者、加害者、警察や弁護士、検察を描いた物語は数多いですが、拘置所への差入店という今まで描かれなかった視点から、ある2つの違う事件に翻弄されていく家族を描きます。
出演する俳優陣は皆、演技派の方々で豪華メンバーです。なので、各々の魂の叫びを見事に演じきって、ぶつけ合っているように思いました。
その中でも寺尾聰さんは、イケじいじですね。存在感がえげつないですし、真木よう子さんの演技力はさすがです。
物語は2つの異なる事件に関わることになった差入店の家族が翻弄され、その中で改めて絆に気づいていく話。
2つの事件は1つは起きた背景・原因に周囲の人が気づきながらもある少女を守るものに対して、もう1つの事件は背景・原因の真相はもはや犯人個人にしか理解できないもの。この2つの事件がコントラストを描くことで差入店の主人公と家族の揺れ動く姿が描かれています。
そして、みんなが自分自身の居場所を必死で探し、守っている、、だからぶつかり合うと激しく反応する。だから居場所があることが人としてとても大事なんだと思いました。
ラストの1つの事件の犯人役の岸谷五郎さんと主人公役の丸山隆平さん、高校生役の川口真奈さんの拘置所の謁見室のシーンは圧巻ですよ。
出てくる役者が全部いい! 珠玉の演技のぶつかり合いからまったく目が離せない
そもそも「差入屋」なんていう商売があることを、これまで生きてきてついぞ知らなかったが、「犯罪者への支援」という側面だけに焦点を当て、犯罪者であっても基本的人権を有するといったことは全く無視して、偏見を持って白い目を向ける人々が決して少なくないことは想像に難くない。
絶望の淵に立つ人に手を差し伸べる救済は間違っているのだろうか?「被害者家族の気持ちになれ」的なことをよく耳にするがいきなり加害者家族にさせられた方の気持ちはどうなのか?坊主憎けりゃ袈裟まで憎いみたいな反応が多すぎないか?
正義とはいったい何なのか?権利を履き違え声高に度を越した要求をすることは正義なのか悪なのか?
善意と悪意の境界線がどんどん曖昧になっている時代。
そこに「家族」の問題が絡むとより自体は複雑になる。子どもに一生懸命教育の機会を与えようとしているだけの親に「教育虐待」ということばを投げかける人もいる。自分の子どもを守ろうとすることが他人の目には脅威に映ることもある。
そう言えば小学校に大人が乗り込んで行った事件の記憶もまだ新しい。
何か一つの価値観で決めつけるのではなく、余白のあるものの見方・考え方で柔軟に対応していくことの難しさと大切さを教えてくれる作品だ。
なお、自分は当初、真木よう子目当てで行ったのだが、観ていると出てくる役者が全部いい! 珠玉の演技のぶつかり合いからまったく目が離せない。
少し変われたら見方は変わる。
刑務所や拘置所に収容される人へ差し入れ代行をする金子差入店・金子真司に起こる話。
小学生の息子・和真の幼なじみカリンが1人塾へ行ったきり帰って来ず、翌日河川敷で殺害され見つかる、…数日が過ぎた頃カリンを殺した犯人は捕まり、それから少し経ち犯人の母から殺人犯である息子へ差入れをして欲しいと依頼され受けることになるが…。
刑務所、拘置所、留置所に差入れする代行ってあるんですね。本作観て知りました。
この作品と同様差入れ屋をやってる事でホント恨まれたり、…確かにありそうですね。
小さい頃から見てる息子の幼なじみの女の子の死、それだけでもショックなのに犯人母から犯人への差入れ依頼、仕事と割り切っても割り切れない金子真司の苦悩、この仕事をしてる事で小学校の友達、近所のママ友からの見られ方が何とも悲しいしイラッとしたかも。
あの傷ついた女子高生の彼女の表情が明るくなった時は泣けた。
惜しい
結末が中途半端だったね
東京拘置所とその周辺を舞台に元受刑者の主人公が面会や差し入れを仕事...
命の差し入れ
幼女を殺害した小島が語る二割の働かない蟻の話。どんな社会でも必ずルールからはみ出す人間は存在して、そんな人間は生きる価値はないのかと問いかけてくる。
真司の母容子はどうしようもない母親で真司は忌み嫌うが妻の美和子や叔父の星田は生きているだけでもありがたいとして彼女をかばう。
美和子の両親はすでに他界しているのだろう。生きてる間しか親孝行できないからと何かと容子に気遣う。星田も今自分が甥の家族と暮らせるのは真司を生んでくれた容子のおかげだとそこだけは感謝しているという。
元ヤクザの横川は出所したそばから殺人を犯し再び刑務所に戻ってしまう。もはや人生は終わった、こんな自分は生きる価値はないとして独房で首を吊ろうとする。そんな彼に毎日のように面会に訪れる佐知。彼は自分を救ってくれた。真司が機転を利かせたおかげで面会を果たせた彼女は横川に生きてくれと何度も呼びかける。真司は命を差し入れしたのだ。
残虐な殺人を犯しなんの悪びれる様子もない小島との面会は真司には応えた。なぜこんな人間が存在するのか、こんな人間に生きる価値があるのか、できるなら自分の手で殺してやりたいとまで真司は思った。
小島との面会で精神的に追い詰められた真司にさらに息子のいじめの問題が追い打ちをかける。彼は息子を愛するあまり学校でトラブルを起こす。かつて激高しやすいその性格から過ちを犯したころの記憶がよみがえる。
こんなどうしようもない自分を妻の美和子は見捨てなかった。彼が立ち直れたのは家族の存在があったからこそだった。美和子や星田があんなどうしようもない母容子をかばう気持ちがわかった気がした。人はそこに存在してるだけで価値がある。生きる価値のない人間なんてこの世には存在しない。たとえ残虐な殺人を犯した人間であろうとも。
本作は問いかける。生きる価値のない人間なんてはたしてこの世にいるのかと。今の社会は何かと生産性だの人間の価値を数字で推し量ろうとする時代。障害者や犯罪者のような存在は社会のお荷物として何かと排除対象とされてしまう。しかし二割の蟻のようにそれらを排除してもまた新たに排除対象は生まれてくるだろう。排除対象などと考えている限りは。二割の蟻を排除し続ければやがて蟻はすべていなくなってしまうかもしれない。
人間は生きてるだけで誰かの心の支えとなっている。誰かを支えとして生きているその人はまた誰かの支えになっている。誰かは必ず誰かの支えになっているから存在してるだけで価値があるのだと本作は訴える。生きているだけで価値があると本作はそう訴えている。
本作を鑑賞して相模原事件で犠牲になった寝たきりの障害者の子供を持つ母親がただ生きていてほしかったと涙ながらに話していたことが思い出された。
本作はあえて小島のような誰が見ても忌み嫌う存在を観客の目の前に提示してこんな人間でも生きる価値はあるのかと問いかける点が秀逸だった。
地元に近い大阪都島区には大阪拘置所がある。元首相銃撃事件の犯人や和歌山カレー事件の犯人として収監されてる人物がいる拘置所のすぐ隣には普通の住宅地やら高層マンションが立ち並んでいる。
その高くそびえたつ拘置所の壁を隔てて全く異なる空間が広がっている。そしてそのそばには本作で描かれたような差し入れ店の丸の家がある。その外観はやはり本作のような普通の日用雑貨店の佇まいだ。
昔からこういう差し入れ店があるのは知っていたが、刑務所によって差し入れの規則は細かな点で異なるという。
差し入れを代行する商売があるのは理解できるが、弁護士でもないのに受刑者との面会を親族から依頼されて行うというのは現実にありうるんだろうか。特別な事例で関係者のみが認められるケースがあるにしても商売として継続的に行えるとはとても思えないし、また弁護士のような高額報酬も得られないのに生涯守秘義務を負うとか凶悪犯罪者との面会などストレスの大きな仕事を一般人にやらせるだろうか。そういう点で本作のリアリティラインをどこにひけばいいかわからなくなってしまった。
おそらく内容的には差入店に着想を得た監督によるかなりの部分創作がなされた作品なのだろう。そのせいか劇中での差入店を営む主人公たちへの周囲の偏見などはあえて物語性を高めるためなのか無理に作られた感じがする。ご近所さんは主人公の真司に前科があるのは知らなさそうだし、逆に収監された小島がなぜ真司の前科を知っていたのか。あの弁護士が喋るはずはないし刑務官が喋ったとしか思えないが、その辺も少し脚本が甘い気がする。刑務官を買収してるシーンなどあれは問題にならないのだろうか。
などなどいろいろと疑問に思うことが多い映画ではあるがそれを抜きにしても人間ドラマとしてはそのこめられたメッセージといい、役者陣の素晴らしい演技といい、総合的にみて良い作品だった。
作品ラストのラスト、壊された植木鉢を淡々と掃除する真司の姿は、たとえ小島のような人間でも受け入れた彼の心情を表したのものであろう。
社会派作品でした。そこそこ良いです。だが 一部違和感あった。あくまで個人的
本作 男性俳優陣 丸山隆平 岸谷五朗 寺尾聰 北村匠海 甲本雅裕 の表情 演技が良かった。魅せられた。
社会派作品で そこそこ 雰囲気も良い。
社会派だけども ある程度はリラックスして観れる好作品。純然たるフィクションだから。
有料パンフ🈶登場家族の人物相関図 背景だけでも 買って良しパンフ。コラムも短いしGOOD👍
ただし リアル 事実 拘置 留置 刑務所には触れてない模様 そこは残念
まあ本作見るような知性派精鋭にとって
刑務所
拘置所 死刑囚 未決
留置所 の違いは 織り込み済みだろうから・・
エンドクレジット【有料パンフにも載ってる】の 撮影協力 あるいは 協力
に 法務省関係 東武線五反野の東京拘置所 が 載ってないのは 載せられない協力はしない
外から撮るのは仕方がない ということか❓見落とし❓ですかねぇ
あっ 『現金やり取り』出てる。から認めるわけいかんか❓旅館の給仕する方女性への心付けじゃ無いんだから
まあ 昭和の役人は 北から南まで 裏金 不正金受領当たり前だったからな 『昭和の役人 政治家』は間違いなく全員
令和の常識から見れば 不正大国。上から末端まで 例外は無い。正確には 明治,大正,昭和。
なんか 深い家族の絆 言いたいみたいだけども そこは俺的にはどうでも良かった。
いちおう シロウトでは無いから
クライムサスペンス的に観た←老害の一方的独善と言います。 ヒューマン・サスペンスとのこと。
まあ 雰囲気も展開も良いですよ。
ただ 飛躍が多かった。個人的見立て
んな犯罪 事例知らんし なんか差し入れも違和感。その他 強引感 弱すぎ甘すぎだろ感 感じた。←個人的ですよ。
あと 『差入屋❗️』は無いだろう 『差入屋さん⭕️』ですよ。それから職・差・的な表現 特に 『通夜の前の日』会話
なぜ忌避されるのか❓合点が行かなかった俺的に。スクリーンで確認を。
あと もう完全分解されてるから ネタバレにはならんけど 少し🤏だけ 2004「半落ち」成分入ってるかもな
偶然にも寺尾聰❗️
結構『半落ち←泣いた😢😭』んだけど 基本全く違うストーリーだし 流石に免疫ができてるので 涙腺動かず。
20年後の俺は劣化しただけでなく 冷淡 乾燥してた。あっ 似てるのはほんのほんの少し🤏だけな・・・
でも 『実は・・・だった。って』プロット 日本人大好き❤だよねぇ。俺も結構😍好き
『ヤムに止まれず』ってやつ大好き❤←映画館のスクリーンで確認してね。
それから俺ぐらいロクでもない人だと 息子の同級生っていうてもなぁ 正直、ザ他人‼️←ホントに😱ロクでも無いですね。
丸山隆平さんが 知らなかったけど 演技的には好演は相違ない。是非どうぞ
レイトショーなのでお客様少なかったがもっと入っても良い作品。疑問点❓も含め 是非観て。
剃り残しの様な口髭は必要?
刑務所や拘置所に収容された人への差し入れを面会代行する差入屋を営んでいた金子真司は、ある日、息子の幼なじみの小学生の女の子が行方不明となり、その後殺害され遺体で発見された事件が発生した。金子一家もショックを受けてた時に、容疑者の母親が、差し入れをしたい、と店を訪ねてきた。金子は仕事として容疑者と面談したが、なめた態度に怒りが増していった。そんなある日、金子は一人の女子高生が毎日のように拘置所を訪れ、自分の母親を殺した男との面会を求めていた。この2つの事件と向き合う中で、金子の過去の暴力事件が周囲に知られ、息子がイジメを受け・・・さてどうなる、という話。
金子真司役を丸山隆平が演じているが、スーパーエイトに全く興味なく、彼の演技もほとんど観た事が無かったし、今回も特に印象には残らなかった。息子がイジメを受けたと言っても学校に乗り込み担任教師に手を出しちゃいけないね。
そういう役なんだろうけど、あんな短気じゃ家族が気の毒だ。
それと、拘置所に入ってた時ならまだしも、差入屋になってからはあの変な剃り残しの口髭は演出として必要?綺麗に剃った方が真面目そうで良いと思うんだけど。
唯一、息子が強くなくてごめんと謝った時に泣きながら抱きしめたシーンは良かった。
拘置所の職員が賄賂を受け取ったり、差入屋を上から目線で呼び捨てにしたり、感じ悪かった。事実も有るのかも知れないが、法務関係者は認めたく無いだろう。
真木よう子は本作でも素晴らしかった。怒りを押し殺した背中の演技が流石だと思った。
寺尾聰、岸谷五朗、北村匠海、根岸季衣らも味のあるさすがの演技を観せてくれた。
拘置所に来る謎の女子高生・二ノ宮佐知役の川口真奈は目力が有って喋らなくても存在感あったし、最後にみせてくれた笑顔は可愛かった。
「言葉」や「優しさ」の持っている可能性!
それでも生きていく
綺麗にまとまりすぎてる
期待度◎鑑賞後の満足度◎ “おかしいのは世の中の方よ”まさに正論。やっぱり女は強い。男はすぐ粉動されるからダメだね。それだからドラマになるわけだけれども。「差入れ屋」を取り上げたアイデアの勝利。
①最初に思ったのは“真木よう子、鼻いじった(整形した)?顔、ビミョーに変わってない?”ということ。「整形疑惑の芸能人」を扱ったYouTube の見すぎかも知れないけれども。
しかし、観ているうちに気にならなくなった。「差入れ屋」という稼業をしている一家のぶれないオカミサンとして背景に溶け込んでいるようで要所要所で存在感を発揮する。やはり並みの女優ではない。
②かなり凄惨な事件を扱いながらも陰惨な印象が残らないのは善悪どちらにも偏って肩入れしない脚本と演出のお陰だと思う。
③差入れする相手である収監者にこんなに肩入れしてたら商売にならないとは思うけれど、映画にする為には少し話を膨らませないとね。
④本作には色んな母親が出てくる。名取裕子の男にだらしない自堕落な母親役には少々驚いた。若い頃はすました役柄が多かっただけに。でもそこは年の功か。見事に違和感なく演じていた。ラスト、こんな母親でも少し母性は残っていたのを寺尾聰の台詞で間接的に語ったのが良かった。会わずにアパートのノブにイチゴの入ったビニール袋を掛けただけにしたのも良い。上の台詞を直接本人の口から言わせたりアパートの入り口で会ったりしたら雰囲気ぶち壊しになっただろう。余韻ある語り口はどんな映画でも宜し。
殺された女の子の母親。演じたのがあまり顔馴染みのない女優のさんだと思っていたらNHK朝の連続小説『風のハルカ』のヒロインの子だったとは。当時毎回観てたのに。面影全くなし(私が忘れてただけなのかも知れないけど…)。役に戻ると、この母親も被害者なのでこんなことを書くと冷たいようだが、私は子供がいないけれども、もし父親ならこんな小さい娘を夕方一人で塾へなんか行かせずに必ず付いていくか送り迎えするけれどもね(いくら日本が表面安全な国でも)。リアクションが被害者の母親が取りそうな範囲を出ていなくて、この母親役が一番平凡。
“ああ、この子そのうち通り魔が何かに襲られて死ぬんだろうなァ”と最初からわかってしまうところが、最初からそういう意図だったのか、それとも脚本と演出の弱さなのか。
娘に客を取らせていた信じられない毒親を通り越して鬼畜のような母親。多分悪いとも罪の意識もなさそうだから殺されても当然ぐらいだけれども知らない女優さんだけれども殺され方も含めてインパクト大。でも実際にこんな父親(こちらはどちらかというと性的虐待の方だけど)・母親がいるから絵空事ではない。
どんな映画のどんな役柄でも安定感抜群の根岸季衣扮する母親。最も難役であろう(だからこその配役だろうけど)。
息子に罵倒されても何も言わず固まっている姿に始まり、マスコミへの対応の二面性。完全武装して金子差入屋に来て“他人の子供を殺めるなんて”と泣き崩れて可哀相な母親の姿を見せたと思ったら(帰り笑顔だったところを見ると、可愛いのは自分の子供だけで殺された子供のことは何とも思っていないらしい)、“差入れをするのは当然の権利です”という言葉尻をとらえて「権利」ということばを盾に急に攻撃的に豹変する姿(こういう人居るけど)。最初は人目を気にして完全武装して金子差入店を訪れたのに、最後にあった時はキレイなベベ着て化粧までして平然と顔をさらしている。かなりエキセントリックは な性格で息子がああなったのも貴女のせいじゃないの?と言いたくなる。表面は辺りいっぺんの台詞だけなのに佇まいだけでそんな母親像を活写する流石は根岸季衣。
⑤北村匠海。『君の心臓を食べたい』の時は“わあっ、ヘタクソ!!”と思ったし、『とんび』『悪い夏』の時もも一つだったのに、NHK朝の連続小説『あんぱん』を観ていたら知らぬ間に上手くなってると思っていたら、本作でも微妙な顔・首の動きと目の演技とで最初は北村匠海とはわからないほど役になりきっていて、役者ってある時期を境に化けるもんだな、とつくづく思った。
“貴方の価値観で僕をはからないでください(だったかな?)”という台詞自体はこれまた正論だけれども、彼自身の価値観にはモチロン共感も共鳴も出来ないけれども、最後に(観客にとっても)不思議だった右目の秘密がわかったとき少し彼の内面が覗けた気がした。
ただ、何故殺人を犯したのかとの金子の質問に対して「働きアリの法則性」を持ち出して来たのか、がよくわからない。彼が犯した犯罪の説明にはならないと思うのだが…それが偏向した思想の流れから産み出されたものだとしても。
⑥岸谷五朗。最初に登場したときの、如何にもその筋の人らしい目の演技が凄い。
ただ、初めて口を開いたときキレイな標準語だったのに少し違和感。エリートヤクザだったのかな。
A)極道であること B)二ノ宮佐知が何回門前払いされても面会申請を続けたこと C)二ノ宮佐知がずっと口を利かなかったこと、これらが真相に辿り着くのを難しくした筋立ては中々良かったが、真相がどこかで観たか聞いたかしたものと変わりがなかったので正直衝撃度にかける。
ただ、母親が死んだとき二ノ宮佐知がうっすらと微笑んだところが本作で最も怖く又最も心動かされるショットだったかも知れない。
このエピソードが本作で最も作り物臭いし、岸谷五朗扮するヤーサンが唐突に良い人になるのもやや不自然だけれども、片や人生の大半を世間の日陰者で過ごしてきた人間が一生に一度人の為に自分を犠牲にしたことと、何不自由なく生きてきて(親からの偏った育て方があったにせよ)偏った価値観をとらわれて大量殺人を犯した若者とを対比させたいための作劇なのかも知れない。
また、本作を貫く主題から考えると“世間”というものが作り出した「モンスター」という意味付けもあったのかも。
二ノ宮佐知が自白しないことも、金子が真相を知りながら警察に告げないことも通常の考え方したら(良識ってヤツ?)罪だけれども、彼女が母親にされたこと、人生が始まったばかりであること、を考えるとこれはこれでで良かったのかもと思わせてくれる。
二ノ宮佐知も、自分が本当のことを言えば、自分を守ってくれた大人達(金子は彼女とヤーサンの前で“墓場まで持っていく”とまで言ってくれた、ヤーサンの耳には“言って!”“ごめんなさい”という最後の叫びが届いたのかどうか…)に多大な迷惑をかけること、想いを踏みにじることを理解したのだと考えたい。
⑦
⑧最後の最後、割られた鉢植えと黙って片付ける金子の下半身だけの姿を写して、変わらず狭量で陰湿な「世間」というものと、それに負けずに差入れ屋を続ける金子の意思のようなもの、金子差入店の日常は変わらない、ことを一瞬のシーンで物語たって見せる良いラストだったと思う。
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