「元気です。元気ですか?」金子差入店 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
元気です。元気ですか?
期待しなかったと言えば噓になるが、でもこれほどいい映画だとは思っていなかった。とにかく、丸山の演技が板についている。熱量がありながらも空回りしない安定感があった。それは、彼自身(と彼の演じた役金子にも)に人間に対する愛と信頼があるのが伝わってくるからだろう。また、若干の想像の余地(例えば植木鉢とか)を残す場面もあるが、まるで、世の中っていうのは必ずしも正義を受け入れているわけでないし、一度失敗したものには冷たいし、理解しきれない物事や解決しきれない有耶無耶もあって、それら全部ひっくるめて世間というものは成り立っているのだと遠回しに示唆してくる感じがいい。
岸谷五朗の役は多少ステレオタイプではあるけれど、彼に関わった少女の存在と行動は、とても心揺さぶられた。世間は冷たいものでもあるけれど、温かいところもある。それに気付くのは、自分自身の心がけ次第だと背中で見せてくる丸山(金子)がとても印象深かった。
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