サンセット・サンライズのレビュー・感想・評価
全257件中、241~257件目を表示
東日本大震災で傷ついた東北との接し方
映画予告を見て、菅田将暉の生き生きとした演技、脚本が宮藤官九郎(以下・クドカン)ということもあり、これは面白そうだと鑑賞。
物語前半は西尾(菅田将暉)と百香(井上真央)との奇妙な出会い、西尾のご近所での怪しく、温かい行動にクスリと笑い、そしてなにより、ケン(竹原ピストル)が経営する居酒屋での「もてなしハラスメント」シーンでは、まず料理をしっかりと映し、ケンが講釈を述べ、西尾がそれを本当においしそうに食べて、周りが囃すの繰り返しに、かつてのクドカン脚本のドラマ「あまちゃん」で祖母・夏が孫のアキにウニを食べさせるシーンを思いだし、「俺にも食べさせてくれ!」と切に願うほど楽しめます。
中盤以降、西尾が好意を持ち始めた百香の過去が見え始め、会社方針と自分の生き方に挟まれ、苦悩する西尾が放つ「せつなさの絶叫」で、物語は起承転結の「転」から「結」へと向かい、ケンが芋煮会でじっくりと語った「東北人の本音」と、百香が一人、涙を流すある行動を見せられた上での終盤は、西尾と百香が東京と三陸とで別々に生活しているシーンに転じます。私はこれこそが、ここで終わることこそが、この物語のテーマであろう「東日本大震災で傷ついた東北との接し方」なんだと思い、悲しいけど、良い終わらせ方だと思いました…の・で・す・が、物語はまだまだ続き、やはりクドカン、最後はハッピーエンドで終わらせてくれました。(でも、ハッピーじゃ無い方が大人向け?(笑))
井上真央さん演ずる百香は魅力的でした。特に「なめろう」?を作るシーンは、百香の家庭(家族)観と西尾への想いに揺れ、イラつき、モヤモヤした感情が良く表現されていて、この物語のメッセージを集約していました。心に残るシーンでした。
田舎暮らし。
新型コロナウイルスが流行り始めた頃…、自分が住むはずであった家を空き家物件で掲載した南三陸の町役場で空き家物件担当・関野百香と、その空き物件の安さに入居希望で都内から南三陸に来た西尾晋作の話。
感染拡大阻止と町を守るためから都内の人間と接点をもってはいけないを理由に入居拒否をしようとしたものの、勝手に内見に来ちゃったもんだから入居希望の家で2週間の自主隔離生活をさせられることになる西尾だったが…。
少し面倒な小さな町(集落)の田舎ネットワークを絡ませながも、よそ者は受け付けない町の雰囲気…。
町役場のマドンナ的な存在・関野百香を巡り探り、嫉妬と見せていきながらも、徐々に詰まる町住人と西尾の距離が観ていて面白い。
空いてる空き家を活かすと今時な事を取り入れながらも、田舎町に住む人の人情と温かさだったり、都会に住む人間が物価の安さも含め田舎町に移住と見せるなか、西尾演じた菅田君の画力と百香演じた井上真央さんの可愛さに惹き込まれ面白かった。
やっぱ菅田君いいね~!あと竹原ピストルさんは「サバカン」から好きでシブい!
クドカンセンスは良い!
原作ありの作品をクドカンさんが脚本で笑いありの涙ありのクドカンワールドを感じてまとまってはいますがヒロイン役の井上真央さんでなくても良かったイメージです。中村雅俊さん、菅田将暉さん、三宅健さんそれぞれのキャラ演技力抜群に作品を引き立てていました。
ヒロイン役だけが残念で3つ評価です、
ミステリとゆう勿れの爪の垢でも呑みなさい‼️❓
平和は素敵
実は長年感じていたモヤモヤした部分を見事にアンサー
いい〜映画 観たわ ありがとう
今朝、公開初日の初回に鑑賞してきました♪
クスクス笑いながら、今時の若者の恋の行く末をトキメキながら楽しみに観ていると、
次第にあの未曾有の大災害の影に自分の心が怯え始めるのに気付いて若干慌てる
やがて終盤、東北出身のクドカンにしか、書けない台詞に胸をハッと突かれる!
それは疵の痛みというより、おのれの驕りに対する恥ずかしさや未熟さに思い至り、東北人らしい飾らない温かさがジンワリ心に沁みてきて、画面の中の登場人物たちに共鳴しながら 熱い涙が一筋流れて落ちた
今まで東日本大震災の復興に関して実は感じていたモヤモヤしてた部分に見事、アンサーをもらえた 流石、希代の戯作者クドカンさんだ
もちろん監督、役者たちの力があってこそ
特に竹原ピストルさんの演技にぶっ飛んだことを特筆しておきたいと思います
ぜひ、映画館で集中して観て欲しいものです
色んなシーンで登場する「語れない本音」と、距離と温もりの相関性が描かれている良作だったと思います
2025.1.17 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(139分、G)
原作は楡周平の同名小説
リモートワークの影響で東北に移住した青年と震災の過去を背負う女性との交流を描いたヒューマンドラマ
監督は岸義幸
脚本は宮藤官九郎
物語の舞台は、コロナ禍の日本
東京の大企業「シンバル」に勤める西尾晋作(菅田将暉)は、フルリモートの移行する余波を受けて、仕事と趣味を両立できる棲家を探していた
ある日のこと、格安の物件が目に止まり、いても立ってもいられなくなった晋平は、家主の都合も考えずに三陸・宇田濱町へと突撃してしまった
その家は、町役場の職員・関野百香(井上真央)の持ち家で、訳ありの物件でもあった
百香は役場の「空き家物件対策」の責任者に指名されていて、自分の所有する家が空き家では話にならないと考えていた
彼女は父・章男(中村雅俊)と一緒に過ごしていて、その戸建てにて一人で住むことを拒んでいた
物語は、強引な晋作が三陸に馴染んでいく様子が描かれ、徐々に「過去を察する」という感じで描かれていく
この「察する」ことができるだけの情報を小出しにしていく流れになっていて、それがそのまんま「外部の人が言葉に出せない」という微妙なニュアンスを表現していた
聞きたいけど、相手のことを考えて口に出せないのだが、それでも滲み出てくるものから、何があったのかを察することができる
この表現は邦画独特の空気を読むというものを上手く表現しているように思えた
後半にて、芋煮会なる暴露会があるのだが、そこで語られる本音と言うのは、誰しもが心の中に抱えているものだと思う
また、地方の空き家問題に真面目に取り組んでいく様子も描かれ、それが「騙されているんじゃないか」と言う空気感になるのも絶妙だと思う
都会は田舎を食い物にしているのかと匂わす場面もあるのだが、地方の荒廃はそのまま都会の荒廃へと直結するので、Win-Winを考えられるアイデアというものが実現できれば、モデルケースとして広がっていくのかなと感じた
映画では、ディスタンス(距離)というものがテーマになっていて、コロナ禍の無理な距離感はそのまま心の距離感にもなっていた
晋平と百香がふれあうのが熊騒動のどさくさのみで、それ以外は絶妙な距離感を保っていた
それがハグに変化するというのが映画の醍醐味であって、そのために必要な時間というものは、過去を消化する時間であるとともに、自分自身の未来を考えた時に欲しい温もりが何かを考える時間だったのかな、と感じた
いずれにせよ、思った以上に重い話でありながら、コミカル要素があって、緩急自在のシナリオになっていた
登場人物も魅力的で、脇役まで含めて愛されキャラが多かったと思う
芋煮会での百香の同僚・仁美(池脇千鶴)が晋平を焚き付けるのにも意味はあって、彼女自身も先に進みたいのだと思う
ビジネスとして官民が動いていくジレンマもあるものの、都会人の思惑と田舎に住む人の温度差も描かれているし、一社員と社長の視野の違いというものもきちんと描かれていて良かったように感じた
ラストの晋平と百香の選択は今風だが、そう言った過去のしがらみを超えていくことが必要なことなんだと思った
田舎暮らしも悪くない
コミュニケーションにマニュアルはない
これまで3・11及びコロナ禍がバックボーンにある作品は色々観てきたが、本作が一番しっくりきた。それらセンシティブな要素プラス地方再生、独居老人、空き家問題といった社会問題も実に上手くブレンドしている。
田舎暮らしの人間は必ずしも善人ばかりではないし、被災地の人間は弱者でもない。文句も言えば悪口も言う。一方、被災地外に暮らす都会の人間もそんな彼らにどうすればいいのか、どう接すればいいのか分からない。生きている以上何かしらの齟齬は生まれるし、コミュニケーションにマニュアルもなければ正解も1つではない。だからこそ人間は面白い。
邦画にありがちな俳優のオーバーアクト演技もそんなに気にならず。「こんな描写いるか?」というのもあったが、そこはクドカン脚本だしコメディだしと割り切り。少なくとも菅田将暉は味のある役者だと思う。あと井上真央が可愛すぎ。「井上真央の幸せを祈る会」ができれば入会してしまうかも。
『敵』同様、本作も飯テロ作品。空腹状態で観たら腹の虫が鳴りやまなくなるので注意。
切り込みと白ワインのマリアージュ
いっぱい笑わせてもらったなぁーって作品。
身に降りかかった内容は異なるけど、恐らく多くの人がさまざまな体験や思いをした東北震災、そしてコロナ禍。
その後触れて良いものなのか、どんなスタンスでいたら良いのかわからない部分もあったなぁと思う事だったと思うけど、バカにするでもなく、変に気を使いすぎるわけでもなく、絶妙なバランスで成り立っていて、とても楽しい作品だったかなと。
でももしかしたら地元民からしたら少し笑いものにされてるとか思うかな…どうだろう?
東北とか田舎から東京出てきて、どちらの生活も知ってる人がもしかしたら1番楽しめるかもしれないなー
もちろん震災、コロナ、特に震災関連かな、人によっては他人に踏み込んでほしくないと思う経験もあったと思うので、これで示される1つの答えが総意ではないことは忘れてはいけないとは思う。
「あにえすべー?」
冒頭船釣りに来た観光客カップル(彼女は完全に付き合わされてる感じ)のシーン。
こんな序盤でこんなしょうもないボケで笑わせられるとは笑
この時点で映画祭ってのもあるかもだけど、劇場全体変に構えるでもなく、笑えるシーンでは笑うって空気感が出来上がった気がする。おかげでその後も素直にいろんなシーン笑って楽しめた。
「イカの切り込み(塩辛)と白ワインのマリアージュ」
竹原ピストル演じるケンの居酒屋で出される料理がどれも美味しそうで、その時点で東北に心をぐっと掴まれた感じはあった。
菅田将暉がどの海鮮も嬉しそうに美味しそうに食べるのも印象的。
「メカジキのハーモニカ」「モウカの星(ネズミサメの心臓)」なんか出てきて、どちらも食べてみたいけど、ひとまずお手軽に試せそうなのが「イカの切り込み(塩辛)」をつまみに白ワインいうのが試せそうなので、帰りに早速その2点買って帰りました。
「震災、コロナ禍」
出身地を聞いたて、震災があった土地出身だった時、なんとなく「あっ…」って思ってしまう事が正直あって何気ない家族の話とか地元の話とかもちょっと気を遣ってしまってしまうことがあった。
こちらが気にしているよりも気にしてないかもしれないし、その逆もあるだろうし…
コロナに関しても人によってはご家族亡くされた方や学生だった人は思うような学生生活ではなかった悔しさがある人もいるかもしれない。
みんながある程度の共通認識のある大変な出来事だった故に距離感が難しい話だと思うのだけど、とりあえず震災(東北に限らず言えることかなと)の被害に遭われた土地との向き合い方のひとつの答えが示されていた作品かなぁと思う。
自分の中ではそっかそれでいいんだとすっきりした気持ちになれた。
ただいろんな答えのうちの1つでしかないことは取り違えないようにしたい。
「田舎最高でもないし、アンチ田舎でもない」
田舎いいなーってのも多いに感じさせられたが、同時に田舎の嫌なところも描かれていた。ご近所さんとの物々交換が成り立つ、関係の近さ故に知られたくない事も知られてしまったり、あっという間にある事ない事噂話が広まってしまったり…
田舎に限らない気もするけどお年寄りはイメージで生きてるみたいなのもあるなぁーと…
でもあれだけ地域内での関係が出来ていると老後はなんだか少し安心感ある気はする。
劇中でもとある人の葬儀があるけど、都内だったらきっと亡くなっている事に気がつくのもっと時間がかかると思う。
結局田舎にも都会にも良さも悪さがあって、生まれた土地が自分の性格に合ってるかどうかはまた別の話ってことですね。
「総括」
率直に東北行って美味しい海鮮食べたいなーと思っちゃったので、その時点でこの作品は大成功というか、お客として自分は1つの狙いの中にしっかり納められたんだろうなぁと思う。
じゃあ移住はどう?と言われると自分はまだまだいろんなイベントがあったり、新しいお店で溢れている東京の生活が楽しくて仕方がないので、今のところは移住はいいかなー
人付き合いも得意な方ではないし。
ずっと行ってみたいと思ってた東北方面、ついに遊びに行くきっかけ出来た気がする!
なんだか小難しいこと考えたレビューになってしまった気がするけど、普通に楽しい作品だったので公開されたらまた観に行こうと思う。
全257件中、241~257件目を表示