劇場公開日 2025年1月17日

「人たらし! 菅田将暉の真骨頂」サンセット・サンライズ 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人たらし! 菅田将暉の真骨頂

2025年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

予告編で菅田将暉、井上真央のキャスティングを観て、公開を楽しみにしていたが、十二分に期待に応えてくれる作品だった。

【物語】
舞台は2020年の東北・三陸海岸の小さな町。町では近年空き家が増え続けていることが問題になっていた。役場で働く百香(井上真央)は、その問題の対策担当を言いつけられる。百香は9年間空き家になっている自分の家から始めようと借主募集をネットにアップする。

すると翌日には内見希望の連絡が入り、返事をする間も無く現地に晋作(菅田将暉)という男が荷物を持って東京からやって来る。しかし、その頃新型コロナウイルスが都会で感染し始めており、都会から町にウイルスを持ち込ませないことが役場の大きな課題になっていた。家を貸すことにもまだ迷いが有った百香は、感染源リスクを理由に入居を断ろうとする。しかし、この家と町がすっかり気に入った晋作は入居を懇願。仕方なく百香は2週間自主隔離として家から出ないことを条件に受け入れる。

晋作は東京の大企業に勤務するサラリーマンだが、会社がリモートワークを導入したため、4LDK 6万円の格安家賃、しかも趣味の釣りを楽しめそうな三陸の物件に飛び付いたのだった。2週間家から出るなと言われた晋作だったが、すぐに仕事の合間を縫って釣りのために海に繰り出し始める。

百香の重い記憶が詰まった家に晋作が住み始めたことに、百香を知る近隣の住民たちは驚き、様々なウワサが立つが、晋作は百香の家族や町の人と徐々に交流を深めて行く。

【感想】
とても楽しく、心地良い作品だった。

まず、面白かったのはコロナ禍初期の描写。考えてみればほんの数年前のことなのだが、既に遠い昔のように感じるあの頃が「ああ、こうだったなあ」となった。
実際には新型コロナ感染は過去のものではなく、実は我が家では正月に妻がコロナに感染してしまった。しかも90歳前後の義父母に感染。特に「感染が命の危険に関わる高齢者」はどうなることかと心配したが、あまり大事なにならずまさにインフル程度の症状で事無きを得た。 そんな後だったので、なおさらあの2020年春の大騒ぎが滑稽に思えて笑った。未知の疫病であり、対処方法が確立していなかったのだから仕方の無いことであり、コロナに苦しんだ方や犠牲になった家族をお持ちの方には申し訳ないが、発症を経験していない自分にはそう思えた。

作品としてはコロナ禍に加えて東日本大震災という2つの国民的重大事をベースにしている。コロナ禍騒動はコミカルに描かれているが、大震災の方は当然ながらコミカルにはならず、その傷跡が町人の重い背景として描かれる。それでも、作品として明るく仕上がっているのは菅田将暉の存在が大きい。

田舎町に突然やって来た都会者、しかも同世代男性のアイドル的存在である百香のそばに現れた男。下手すればよそ者としてはじき出される立場に置かれた晋作だが、なんだかんだありながらも見事に地元の人達に溶け込んでいく。脚本もコミカルなのだけど、それが無理なく感じられるのは菅田将暉の醸す空気だ。 “人たらし”たる男が見事に演じられている。 これこそ菅田将暉という男優の価値なのだと改めて思った。 若い頃から、その演技力には感心して来たが、同世代にも演技力やイケメン度だけなら結構出て来ているが、この「見ているといつの間にか好きになってしまう男」を演じさせたら右に並ぶ者はいないだろう。 俺自身、本作で益々菅田将暉という役者が好きになった。

久しぶりに観た井上真央も相変わらず魅力的。こんな娘が田舎町に居たら、そりゃアイドル的存在になるなと設定の説得力十分。もう少し頻繁に映画に出て欲しい。

中村雅俊もいつの間にか老父の役どころを演じるようになったが、いい味出していた。

エンディングも「なるほどね」が用意されており、気持よく観終われた。
心地良く、楽しい映画を観たい方に強くおススメ出来ます。

この映画大好き!!

泣き虫オヤジ
maru21さんのコメント
2025年1月20日

コメント失礼します。
ネタバレ注意にしといた方が良いかも、です。

maru21