「子供の心が殺されないために」遠い山なみの光 ふださんの映画レビュー(感想・評価)
子供の心が殺されないために
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世の中の支配的な価値観、頭で考えた「正しさ」に翻弄されて結局あまり幸せになれなかった人たちの話、と見た。
戦後という激変期、開明的なアメリカに(イギリスに)行けば、正しい価値観のもとでより良い生活ができるはず。その正しさのためには子供の無邪気な欲求を犠牲にする。
最初の娘は「正しい」道に進ませたはずが自ら死を選んだ。詳細は語られていないが、おそらくは子供らしいあり方を押し殺されたのだろう。
この話は世代を超えて繰り返す構造が示されている。
親世代に対して「変わらなければ」と言うも、のちに自分自身も娘に同じことを言われる。
その親世代は子弟たちを正しさのために死地に送り出したのだろうし、娘はそもそも子を持つこと自体に否定的。
子供の欲求は一貫して足元にまとわりつく邪魔者と扱われている。その時代の支配的な価値観、頭で考える正しさの犠牲となっている。
そのような正しさを、目指すべき遠くの山の頂のように憧れるのは人の性であって、この先も繰り返される物語なのかもしれない。であるならば、せめて子供の心を殺さない方法を見出したい。
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