「反芻するほどに心に響く」遠い山なみの光 辻井宏仁(放送作家)さんの映画レビュー(感想・評価)
反芻するほどに心に響く
戦後をイメージするとき
朝ドラを思い浮かべてしまうのは
僕だけではないだろう。
明るく朗らかな性格の少女が成長するも
戦争により家族や大切な人を失い
焼野原で過酷な生活を経て
復興する日本で夢を叶えていく…。
そんな展開をデフォルトとしながら
数々の名作が作られてきた。
本作の舞台は戦後の長崎。
広瀬すず演じる悦子は妊娠しており
朝ドラの主人公のような
主人公然としたキャラクターとして
懸命に生きている、
というのが冒頭での印象だったが、
見終わったときに
その印象はガラリと変わった。
母はなぜ長崎を離れてロンドンに来たのか?
この疑問を悦子に投げかける娘ニキの視点で
本作は悦子の語り部により長崎での物語が展開し
やがて衝撃の真実が明らかになる。
“衝撃の真実”により
それまでの物語が一変するため
僕自身、映画館を出た後、
時間をかけて頭の中で物語として
再構築していったのだが
反芻すればするほどに
心が震えるような感動が沸き起こった。
ということで、今回は
作中では明確に描かれなかった
悦子の物語を紐解きながら
本作が挑戦した映画的アプローチを
過去の名作と共に解説していきたい。
続きはnoteにて
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
