「後悔は解決しないもの」遠い山なみの光 chiliさんの映画レビュー(感想・評価)
後悔は解決しないもの
原作を読んでいたので、どうやって映像化するのか気になっていました。わかりにくい、という感想の方もいらっしゃいますが、原作の方がわかりにくかったです。笑
説明が不十分で、ストレスの溜まる価値観のズレ、翻訳が元になっているかすかな違和感、未解決の謎。でもそれが全て演出だと思うのです。
何故なら、これは語り手である悦子の、無意識の嘘を映像化したものだから。こうであれば、こうであったかもしれない、こうでないと現実に耐えられない、という心象風景なのだと思います。そして悦子以外に鑑賞者に語りかける者はいませんから、こちらは翻弄されて当然なのです。
時代に引き裂かれ、戦争に引き裂かれ、自分を騙すしかなかったほどの苦しみを少しでも理解しようとするこちら側の努力の必要な作品です。
80年代のイギリスの映像は手触りが伝わってくるほど美しいリアリティがありました。ニキのニットが可愛いなぁ、お庭が素敵だなぁ、美味しそうなポテトだなぁと。
対して戦後の長崎の禍々しく鮮やか過ぎる夕陽、バラックに不似合いな調度品、異常に外国に憧れる台詞。これは悦子がもうひとりの自分を作り出して見ていたファンタジーなのだと思います。残酷な現実に根差したファンタジー。
すずさんもふみさんも美しかった‥
共感ありがとうございます。
見方を変えれば、悪くない人生かもしれません。被爆者として差別され、バラック住まいのシングルマザーが、イギリスで土地持ちになって優雅に暮らした。もちろん、心は荒んだままですが……
コメントありがとうございます
原作は中々不親切です笑 ぜひ読んでみてください!日本が舞台なのに英語で書かれてそれを翻訳した文体、の独特な味わいもひと役かってます〜
共感ありがとうございました。原作の方がわかりにくかったんですね!w それはありがたい情報です。原作どんなだろうと気になってはいたのですが、あまりしっかり説明されていたら映画の趣を台無しにされるなーと警戒していました。時間を見つけて読んでみようという気になりました。ありがとうございます。
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