「翻訳調に揺れる『遠い山なみの光』」遠い山なみの光 はるさんの映画レビュー(感想・評価)
翻訳調に揺れる『遠い山なみの光』
『遠い山なみの光』の映画でまず気になったのは、芝居がかった台詞回しでした。
悦子と佐知子の話す言葉は日本語としては時代感を演出していますが、当時の女性がそのように話していたかというと違います。また原作は英語で書かれているため芝居がかったセリフはなく雰囲気が違います。
イシグロ・カズオの英語原文はもっと淡々とニュートラルで、感情を抑えた会話が特徴です。しかし映画の脚本は翻訳本である小野寺健訳に依拠しており、翻訳上の解釈がそのまま映画のトーンを決めてしまったように感じました。
私はむしろ、原文の抑制されたニュアンスを活かした「自然な日本語」で観たかった。そうすればイシグロ作品の核心である「静けさと余白」が、より鮮明に感じられたと思いました。
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