レイブンズのレビュー・感想・評価
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どこまでがフィクションか分からないけど
2025年劇場鑑賞101本目。
エンドロール後映像無し。
実在の写真家の人生を描いた映画。実話を元にしたということで、関係者に話をある程度聞いて作ったのでしょうが結構めちゃくちゃやってます。
写真にはありのままを写すタイプと、何か表現したくて演出するタイプがありますが、彼は後者のタイプの写真を撮り、実際彼が撮った写真はあるわけで、その写真を撮るに至った過程が描かれていて、そこが映画の作りとして非常に面白いと思いました。
酒と烏と男と女
深瀬昌久という実在の写真家の半生記でした。深瀬を浅野忠信が、彼の妻・洋子を瀧内公実が演じたこと、そしてイギリス人のマーク・ギルが監督を務め、さらには制作がフランス、日本、ベルギー、スペインの合作という、極めて国際色強い作品であることに注目して観に行きました。
ただ舞台装置がインターナショナルなのに対して、お話の舞台は純日本。言語も基本日本語。ただ何故か深瀬の分身である烏(英語でレイブンズ)だけが英語で喋るのが面白いところでした。この烏の設定は、ちょっとした謎でした。
実在の人物の半生記ということで、物語の骨子は事実に基づいたものだったと思うのですが、喋る烏が登場することからも、テイスト的にはファンタジーと言えるものだったと感じました。
一応、子供の時から”独り言”が多かったという深瀬の話し相手が、彼の代表作の被写体でもあった”烏”だったということになっていて、最終的に離婚されてしまった元妻・洋子から、「あれはあなたの自画像」と言われていたように、結局は深瀬の心の内奥をずっと見せ続けるという私小説的映画だったと言えるかなと思います。
内容的には、良くあるぶっ飛んだ芸術家の話で、周りを振り回しまくった挙句、酒に溺れてゴールデン街の飲み屋の階段から落ちて脳に深刻な障害を負ってしまうという結末。でも、街の写真館を経営する彼の父や弟のような”写真師”ではなく、”芸術家”として生きる道を選択した深瀬の心の動きが良く表現されていて、映画としてなかなか面白かったと感じました。
また、浅野忠信と瀧内公美が期待通りの活躍を見せてくれたのをはじめ、父親役の古舘寛治の演技は中々良く、見どころは俳優陣の演技でした。最近注目している池松壮亮が、深瀬のアシスタントを務める写真家として登場していましたが、本作の役柄としては無駄に腕が太くて笑ってしまいました。彼にはやっぱり殺し屋が似合う?
そんな訳で、本作の評価は★4.0とします。
エンディング曲とエンドロールの映像が良かった
写真家の深瀬昌久の実話とフィクションを織り交ぜた映画。
浅野忠信が演じる深瀬昌久の事は今回初めて知りました。
予告で見ていたショートカットの瀧内公美を見たくて行ってみる事に。。
彼女、最近出てますね。
先日見た『敵』も良かったし、予告で見た『奇麗な、悪』では主演みたいだし。。
河合優実を追いかけててサブスクで見た『由宇子の天秤』で初めてシッカリ認識した。
その前にも存在自体は認識していましたが。。
カラス男が出てきて、虚構と現実が混ざって進行する。
アーティストらしい酒と女と薬にまみれた生活。
カラス男と浅野忠信が演じる深瀬昌久のやり取りが思いのほか良くてポイントになっていた。
正直序盤は眠くなったんだけど、だんだんと映画に引き込まれていきました。
浅野忠信はやっぱり良いですね。
主張しすぎない演技というか、雰囲気が良かった。
昔若い頃に彼の評価が高い事を映画雑誌か何かで知ったが、当時の私には良さが分からなかった。
淡々とした演技だし、喜怒哀楽の表現が得意な人では無い。
ただ、この雰囲気を出す役者という意味では右に出るものはいないだろう。
最近、カメレオン俳優ばかりが良い役者ではないと思うようになった。
唯一無二の何かをもっていれば良いと思う。
最近それで感じたのは、例えば、佐藤浩市の息子の寛一郎。
彼の情けない感じの演技は一品だと思った。
松田龍平の低いテンションの演技なんかも彼しかできないものだと思う。
いろんな演技を見せてくれる菅田将暉、磯村勇斗、松山ケンイチも好きですけどね。
エンディング曲が良い感じでした。
字幕で映し出される歌詞が、映画を語っていたと思う。
調べてみると、イギリスを代表するバンド ザ・キュアーの名曲「Pictures of You」だったらしい。
このバンドの事はまったく知りませんでしたが、良い感じの曲でした。
そして、このエンドロールでは、実際の深瀬昌久と奥さんの洋子の写真が映し出される。
これが映画の中で出てくる写真と同じ構図、同じ服装。
久しぶりに最後まで立てないエンドロールでした。
狂人天才芸術家
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天才の狂気
レイブンズ見に行きました 写真家・深瀬昌久の波瀾万丈な人生(僕も素...
マサちゃんwake up
我が良き友よ
ダメ人間ほど愛される
天才と狂気の狭間で揺れた写真家・深瀬昌久の生涯。闇を抱えるあまり、鴉のドッペルゲンガーに囚われていく展開は、どうしても『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』とダブる。両方とも鳥がモチーフになっているから余計そう思えてしまう。
監督のマーク・ギルは、前作『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』では、ザ・スミス結成前のモリッシーをとにかく甘ったれで優柔不断な男として描いていた。本作の深瀬も、ドッペルゲンガーに急き立てられるように自分が撮りたい写真の為に驀進する。傍目から見れば2人ともダメ人間。でもモリッシーは女性にモテて(しかも美人)ちやほやされ、深瀬もまた妻の洋子や後輩の正田に呆れられつつもサポートされる。2人とも母親に愛されていた点もそっくりだ。
しかし、そんな深瀬もついに洋子に愛想をつかされる時が来る。深瀬が手で作ったファインダーに彼女が嫌悪感を示していく様は、『ラストタンゴ・イン・パリ』のマリア・シュナイダーとジャン=ピエール・レオのオマージュか。実際の深瀬はその後に別の女性と再婚しているが、そのあたりはオミットされている。
鴉に導かれるように、自らも鴉となった深瀬。表現する事を生業とする者はとにかく面倒くさい人間ばかり。だからこそ市井の人は惹かれる。
浅野忠信や瀧内公美といった主要キャストはもちろん、脇役に徹した池松壮亮も良かった。浅野と高岡早紀は『バタアシ金魚』以来の共演というから驚き。
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