劇場公開日 2025年3月28日

「異化効果」レイブンズ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0異化効果

2025年4月13日
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鑑賞方法:映画館

実在の日本人写真家・深瀬昌久の生涯を、英国人監督が映画化。こうした破滅型の芸術家を描く場合、得てして独りよがりなものになりがちだが、本作は構成・映像・演技いずれもしっかりした見応えのある作品となっている。
主人公の分身のカラスが、最初は奇異な感じもするが、作品全体に客観的な視点をもたらす効果を与えている。英語と日本語で対話することも含めて、ある種の異化効果と言うべきか。
浅野忠信は、自己顕示欲と小心さを併せ持つ主人公のキャラクターを表現して、さすが。モデルの妻がちやほやされてむくれる姿とか、久方ぶりに彼女と会ってニヤける顔とか、見事なもの。瀧内公美の魅力も全開。
マーク・ギル監督は、かつてモリッシーを題材に作品化したとのことで、音楽の使い方、選曲も上手い。エンディングのザ・キュアのナンバーは、この作品の主題歌のよう。
ちなみに、当地では単館午前中1回のみの上映で、観たときの客は3人だけ。旬の役者陣が出演した良作なので、もっと評判になってほしいと思う。

山の手ロック
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