「鴉の肖像」レイブンズ uzさんの映画レビュー(感想・評価)
鴉の肖像
「男40にして子を成さねば、死を以てその汚名を濯ぐべし」
子どころか結婚も出来ず昨年40歳になった人間になんて台詞を浴びせるんだ、この映画は…(しかも2回も)
深瀬昌久も妻の洋子もまったく知らずに観賞。
主軸としては晶久の生涯なのだが、芸術への傾倒も洋子への愛も、あまり伝わってくる構成ではなかった。
そのため、狂気に至る説得力も不足していた印象。
そこら辺は芝居と写真と行間、プラス史実で補完してください、って感じなのかな。
親父との確執の変遷も飛び飛びに感じた。
イギリス人監督なのに画面の質感や色調、小物にファッションにと昭和の解像度が高過ぎる。
車やらロケーションやらも相当拘ったのではないか。
そこに(言語化できないけど)洋画的な演出や台詞が時折混ざるのは面白い。
“鴉”(何故か英語で喋る)のチープ感も、あの古臭い雰囲気にはむしろマッチしている気がする。
浅野忠信はいつも通りの浅野忠信で、30代はサスガにムリがあった。笑
瀧内公美は『敵』、『綺麗な、悪』と立て続けに見てるが、毎回違うしベリーショートも素敵。
芝居に関しては不満ナシ。
洋子との話も家族との話も掘り下げ不足で、脇は味付け程度なので刺さってくるものまではなかった。
最後の病院のくだり(特に洋子が歩くロングショット)は丸々削った方が好み。
涙ぐむ?様に見えたのは、作り手側のせめてもの情なんですかね、確かに切っても良かった。
カラス男が急にマサちゃん・・と馴れ馴れしく言い出すのはなんか意味ありげでした。お父さん亡くなる前でしたっけ、後でしたっけ?