劇場公開日 2025年1月31日

リアル・ペイン 心の旅のレビュー・感想・評価

全209件中、101~120件目を表示

3.5タイトルの通り、人間の心の痛みを描いたような作品。 本年度ベスト級。

2025年2月5日
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鑑賞方法:映画館

思っていたのとちょっと違ったけど、実際にポーランドのホロコースト・ツアーに参加したような気分になる作品だった。

本作はコメディー映画のジャンルだけど笑えるシーンは皆無。
従兄弟の2人の相反する性格を皮肉って「コメディー」としたジャンルに思えた。

他界した叔母の家を、久し振りに再会した従兄弟のデビッドとベンジーが訪ねるストーリー。

叔母の家に行く前、数日間のホロコースト・ツアーに参加。
ガイドを含め7人のメンバーで観光する物語がメイン。
そのツアー中、少しずつデビッドとベンジーの人間性が分かっていく感じだった。

ベンジーとデビットの相反する性格が本作のポイントとなっていた印象。

観光ツアーのガイドの案内するトークが訪れる場所によって変わるのが良かった。

ワルシャワ蜂起博物館の反乱軍の銅像の前で子供の様にはしゃぐメンバー達。
反面、ユダヤ人収容所のガス室では皆、声が出なくなるシーンが印象に残る。
ガス室の壁の色が恐ろしい。

BGMは美しいショパンのピアノ。
美しい風景などにマッチしていて、睡魔を誘うことなく心地よかった。

ラストで2人が別れた後。
帰宅して娘や妻とハグするデビッドの姿に反し、空港に残りベンチに1人で座るベンジーの相反する姿が印象に残る。

外国の方って、初対面なのに何故フレンドリーになれるんだろう(笑)
羨ましいです( ´∀`)

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イゲ

3.0ストレートに感動できる作品ではない

2025年2月5日
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jax

4.0そこで何が行われたのかを知ることも大事だが、その空気から何を感じるのかも大事なのことだと思う

2025年2月5日
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悲しい

知的

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Dr.Hawk

4.5二人の掛け合いが最高

2025年2月5日
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コージィ日本犬

4.0キーラン

2025年2月4日
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この2人の掛け合いのうまさがたまらない。キーラン凄いですね。ラストカットに至るまで、魅力と危うさを体現し引きつける。
リアルを得ようと体当たりを仕掛け続ける。予定調和よりも偶発さを求めるドキュメンタリー作家のようである。強制収容所で何を感じ得たのか。実現した地元の人との交流での厳しい洗礼。
社会を受け止め、ささやかに家庭を持ち、育む愛情が対比的である。つまらぬ人生ではない。本当の痛みは自分にしか味わえない。

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Kj

4.0劇的な変化が起きるわけではありません。人々が抱える苦悩が明らかになったりもしないのです。それでも巧みな脚本と2人の達者な演技で見せるロードムービー

2025年2月4日
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鑑賞方法:映画館

 20世紀の初めにユダヤ人移民が礎を築いたハリウッドにとって、ホロコーストは特別な意味を持つようです。「シンドラーのリスト」を筆頭に、この歴史的虐殺を題材とした多くの映画が作られてきました。本作で監督、主演を務めたジェシー・アイゼンバーグもユダヤ系米国人。ポーランドを旅した自身の体験を基に構想したといいます。才人アイゼンバーグは、歴史劇として惨事を再現するのではなく、ままならぬ人生を生きる現代の人間関係を横糸にして、歴史の縦糸と織り合わせました。
 誰かの苦しみや悲惨な過去の記憶に触れた時、人は何かできるのでしょうか。「リアル・ペイン(本当の痛み)」を分かち合う大切な過程が描かれていきます。
 米第97回アカデミー賞では助演男優賞、脚本賞にノミネートされた、祖母を亡くしたいとこ同士の2人の旅路を描くロードムービー作品です。

●ストーリー
 ニューヨークに住むユダヤ人のデビッド(ジェシー・アイゼンバーグ)は、長年疎遠だったけれど兄弟同然に育ったいとこ同士のベンジー・カプラン(キーラン・カルキン)と最愛の祖母の遺言により再会します。遺言どおりに祖母の故郷ポーランドのホロコースト遺跡を巡るツアーに参加することになるのです。祖母はそのために遺産を残してくれていました。
 参加した史跡ツアーでの新たなる出会い。旅の先々で揺れ動く感情。デヴィッドとベンジーは、時に騒動を起こしながらも、同じツアーに参加した個性的な人たちとも親睦を深めながら戦争の歴史を体感していくのです。正反対な性格の二人でありながらも、家族のルーツであるポーランドの地を巡る中で、互いに求める“境地”は重なり合って行くのでした。最終日にはツアーを離れ、ユダヤ系の祖母がナチス・ドイツに迫害を受けるまで住んでいた家を訪れることに。
そんな2人がこの旅で得たものとは?“リアル・ペイン”(本当の痛み)に向き合う力をどう見出だしていくのでしょうか。

●解説
 映画の前半、観客はデビッドとベンジー、それにツアーの参加者とともにポーランドを旅します。博物館や収容所跡などのホロコースト遺跡をガイドの説明を聞きながら見物し、非人道的な所業に改めて粛然とさせられます。それだけなら歴史探訪ですが、そこで終わらないところが興趣といえるでしょう。
 神経質なデビッドと、自由奔放で繊細なベンシーは対照的。ネット広告業界で働き、家族を持ったデビッドと、定職もなく母親の家に寄生したままのベンジー。デビッドは真面目できちょうめんですが、心配性で社交性に欠けます。ベンジーは持ち前の陽気さと人の懐にやすやすと入り込こみツアー客たちの心をつかむ一方、感情の起伏が激しし、思ったことをズバズバ吐露し、協調性や思慮深さのかけらすら持たない人物でした。またベンジーは、最愛の祖母も経験した暗い歴史に平静を保てず、激しい感情をあらわにすることも。デヴィッドはベンシーに振り回されていらだちつつ、心のどこかではうらやましさを感じているのでした。
 ベンジーの身勝手さには、わたしも嫌悪感を持ちました。でもベンシーが巻き起こすトラブルや不和が必ずしもネガティブに描かれていないところが本作の良さというべきでしょう。多少の欠点やもめ事なら大目に見る懐の広さが、作品を包み込んでいるのです。

 対照的な2人の肖像を、ささやかなエピソードと会話を積み重ねて浮き彫りにしていく手際が鮮やかです。仲の良い2人の間の小さなわだかまりと確執が、次第に示されてゆくのもスリリングです。
 軽快でユーモラスなせりふの応酬に、それぞれの背景や人間性がにじみ出ています。周囲の人に対する好意が空回りしてしまう母と息子が、分断を乗り越えて歩み寄る姿を描いた前作「僕らの世界が交わるまで」(2022年)と同様、欠点のあるキャラクターにも憎めない魅力を持たせるアイゼンバーグ監督の脚本が秀逸です。不器用な人々の微妙な関係の変化を描くのが本当にうまい作家だと思います。
 ただしタイトルから連想させるような、劇的な変化が起きるわけではありません。人々が抱える苦悩が明らかになったりもしないのです。けれど漫然と進んでいく現実のなかでふいに立ち止まり、自分の発した言葉をもう一度考え直すとき、そこから生まれる微細な変化を捉えようとするアイゼンバーク監督の試みは、映画にたしかな光を与えてくれるのです。

 ポーランドの歴史を語るなら避けて通れないホロコーストの描き方には、自身もユダヤ系アメリカ人である監督の誠実な姿勢が垣間見えます。特にマイダネク(ルブリン強制収容所)跡地を見学するシーンは鮮烈。終始軽やかに交わされていた会話はぱたりと止み、静寂が訪れるのです。よく晴れた空と無機質な建物のコントラストが利いた映像から、ホロコーストのむごさを肌で感じるツアー客たちの、感情の乱れが伝わってくるのです。
 悲惨な事実をただ伝えるのではなく、今を生きる人がどう受け止めて歩んでいくのか。それはきっと、同じ時代を生きる誰かの痛みを想像して分かち合うことにもつながることでしょう。ベンジーの暗い過去に踏み込めず葛藤していたデビッドも、旅を通じて理解と連帯を深めていくことになるのです。

 映画の後半、2人はツアーを離れ、祖母の生家を尋ね当てます。2人は民族と個人とふたつの葛藤を経て、安易な和解や調和ではない境地へとたどり着くのです。
 ユダヤ人の悲劇を強調するところはいささか押しつけがましくもありますが、巧みな脚本と2人の達者な演技で見せるロードムービーでした。、

●特筆すべき音楽面
 旅を彩る全編の音楽は、ポーランドが生んだ偉大なピアノの詩人ショパンの名曲たちです。時に軽やかに、時には荘厳に。美しい景観が内包する影の歴史、人の笑顔の裏側にある“リアル・ペイン(本当の痛み)に至るまで、美しいピアノの旋律が包み込んでくれるのです。この心のロードムービーは、曲とともに見る者の中できっといつまでも、リフレインを続けることでしょう。

●感想
 歴史的な痛みを背景にしながら、対照的な性格のいとこが抱える違う種類の痛みを描き出したアイゼンバーグ。辛辣(しんらつ)なユーモアの中に温かさをしのばせる手腕に、監督、脚本家としての伸び代を感じました。
 何といってもポーランドのホロコーストの跡地に現代の視点を加味させ、ベンジーとデビッドの丁々発止の掛け合いで見せる脚本が巧みなのです。
 そうはいっても、ベンジーは近くにいたら本当にうんざりさせられそうな面倒なキャラクターなのです。けれども自分もこんなふうに生きられたらと、つい嫉妬してしまうような正直な人でもあります。
 温厚で勉強家のツアーガイド、ジェームズ(ウィル・シャープ)を、素直だが思ったことをすぐ口にしてしまうベンジーの引き立て役にした構成も効果的だと感じました。深刻さと軽妙さを違和感なく同居させ、じんわりと心にしみるシーンがあるかと思えば、クスッとほほ笑ませるバランスも絶妙です。2人の生きづらさやホロコーストという重たいテーマを、ツアーという形で実感させ心揺さぶる重厚な映画に仕上げたのです。

 アカデミー賞間違いなしのベンジー役のカルキンはもちろん、羨望と疎ましさの両方を細やかに表現したアイゼンバーグの演技にも心を動かされました。

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流山の小地蔵

4.5けっこう泣いてしまった

2025年2月4日
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ミス・メラニーさんが大絶賛していたので、気になり鑑賞

観てるうちに自分でもよくわからん感情が昂ぶってきて、エンドロールでけっこう泣いてしまった。

今どきの映画らしくないBGM使いは何か意図があるのだろうか。

あと、ベンジーはたぶんお家がないんだろうな。

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チリちこり

3.5厄介者のピエロの涙

2025年2月4日
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Tofu

4.0良い

2025年2月4日
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人並み、社会の外から見ればの視点

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G列は貸し切り

4.0各々が抱える痛みと各々が持っているもの。しっかりとした芯が有りなが...

2025年2月4日
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各々が抱える痛みと各々が持っているもの。しっかりとした芯が有りながら、笑える部分も多い良質なロードムービーだった。

「僕は大丈夫だよ」の言葉は鵜呑みに出来ないが、この旅を経て二人の進む道が少しだけ良き物になったとは思う。

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こち

4.5良かったです

2025年2月4日
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全編ショパンのピアノ曲が流れ素敵でした。上映時間90分というのが良かったです。

いとこ同士のデヴィッドとベンジー。祖母を弔うポーランドでの旅で、対照的な性格の2人と、それそれが持つ痛みが描かれた話です。

常識的に行動するデヴィッドと異なり、ベンジーは活発な反面、心はデリケートで感情に波がある上にストレートに現れてしまい、周りが疲れてしまう めんどくさいタイプ。祖母はそんな彼にとって、本当にウマがあい、大好きな人だったのですね。彼が寂しくてたまらないのがわかります。
現代の生きづらさの中には、このような喪失感もあるのじゃないかな。

ポーランドツアーは歴史を辿ることで参加者たちにつらい側面もあり、ツアーガイドがその都度気遣います。
でも旅は良くも悪くも心が解放され、互いに葛藤や苛立ちがありながらも、2人にとって良いものだったと思います。
兄弟ではなく、いとこのこんな関係性がちょっとうらやましくも感じました。
空港は旅の中継地点。ラストのベンジーが印象的でした。

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ふわり

3.5ダークサイドツーリズム

2025年2月4日
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泣ける

幸せ

疎遠になった性格の全く違う従兄弟同士が亡き祖母の足跡をたどるダークツーリズムに参加する為にポーランドに向かうロードムービー。
サーチライトのロゴが出てハズレ無しを確信。
激しく言い争ったり過剰な演出がなく淡々としているが、逆にそれがじわじわ染みてくる。
2人とも言うことは真っ当で無理がなく、ユダヤ系アメリカ人だからと政治的な主張も無い。
観ていると自分もマイデネク強制収容所を垣間見た気にしてくれる。
ラストの別れ方、旅が終わり日常に戻るシーンはあっさりしながらも心に残った。

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MOVIE FUN MAMIKO

3.5居場所のなさ

2025年2月4日
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pain は切り開かれ、別の視点を獲得することで癒されることが多いが、オリエンテーションを探す旅を終えても、二人はまだまだ揺らいでいる。painは開いてもいいんだということに気づいてスタートにようやく立った、そんな映画。

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ouosou

4.5中年ロードムービー

2025年2月4日
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泣ける

知的

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すーちゃん

4.0痛み・苦しみを抱ける映画として唯一無二の映画

2025年2月4日
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悲しい

難しい

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よっち

3.0心の旅

2025年2月4日
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二人と一緒にツアーに参加して旅している気持ちになった。時間にはハラハラドキドキ、色々な事情で参加しているツアー仲間との絡み、皆で見つめるポーランド。

はっぱを吸いに屋上に侵入するシーンには"真似しないでください"のテロップが入っても良さそうなスリルがあった笑

ひっぱたいて、ハグして、笑ったシーンに涙が出ました。

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ししまる

3.5自然と涙が……

2025年2月4日
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鑑賞方法:映画館

まず音楽の使い方が素晴らしい。ショパン?が多く使われてるが映像と合っていて良い。
ストーリーもごちゃごちゃせずに単純にツアーとして見せてその中で起こる小さなエピソードを繋ぎ合わせていて見やすい。
撮り方も感情移入しやすく好感が持てる。
従兄弟同士の愛情や繊細だからパニックになる描き方も素晴らしい。強制収容所も淡々と描きまるでこちらがツアーに参加している感じがした。
映画館で観るべき1本である。

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るい

3.0主人公二人よりも…🎹🎶

2025年2月4日
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鑑賞方法:映画館

主人公二人の苦悩、感傷にはびっくりするくらい、心を動かされませんでした。もうずっと前から流行っている、生きづらさのテーマ、まだあるんや…という思いと、「ハッパ」を吸うところがなんとなく嫌で😆
それよりも、ポーランドの街を見られたことが嬉しい。負の遺産である強制収容所を見たときは、何とも言えない思いでした。
全編通して流れるショパンのピアノ曲が美しくて、ポーランドの風景と曲だけでも、観に来てよかったかな🎶
「ショパン空港」っていうんだな✈️

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eigaeiga

4.0しみたな…

2025年2月4日
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ホロコーストの歴史を巡りつつ自分たちを見つめ直す、と。性格正反対ないとことの絡みやショパンのBGMの効果が秀逸。観光地を映すように淡々とホロコーストの現地を映すながれが余計に感情をもりたてる。ジェシーアイゼンパークですごいなー。

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peanuts

4.0ベンジーのキャラが秀逸

2025年2月4日
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泣ける

笑える

楽しい

 対照的な性格の従兄弟同士が、亡き祖母の故郷ポーランドを巡りながら絆を深めていくロードムービー。

 このツアーにはナチスに迫害されたユダヤ人の歴史を顧みるという目的がある。こうした過去の悲劇を辿る旅はとかく重苦しいムードに引っ張られる傾向にあるが、本作はそこをユーモラスに料理した所が新鮮だ。

 例えば、ワルシャワ蜂起の銅像の前でおどけて記念写真を撮ったり、電車で寝過ごして遅刻したり、ホテルの屋上で隠れてマリファナを吸ったり等、やんちゃなベンジーと几帳面なデヴィッドのキャラクターの相違が、この旅を面白く見せている。

 ただ、ベンジーは確かに陽キャで社交性抜群なのだが、その反面、上辺を取り繕うのが苦手で何でも本音を口に出してしまう悪い癖がある。時としてその言葉が周囲に気まずい空気を作り出し、デヴィッドは尻拭いをさせられることになる。やがて彼はこの旅に参加したことを後悔し始めるようになる。
 こうした二人の衝突は後半から徐々に表面化するようになっていく。

 印象的だったのはレストランのシーンである。ここでデヴィッドは初めて周囲にベンジーに対する思いを吐露するのだが、果たしてその言葉は空席だったベンジーの耳に入っていたのかどうか?観る側の想像に委ねた演出が秀逸だった。

 旅を締め括るラストにもしみじみとさせられた。実は本作で最も笑ったのはこの場面なのだが、この笑いと哀愁の絶妙なバランスは見事だと思う。

 惜しむらくは、他のツアー客との絡みが存外薄みだったことだろうか…。典型的なユダヤ人の老夫婦、バツイチ女性、ルワンダの虐殺を生き延びた黒人男性。夫々にキャラクターは屹立していたが、90分という小品なこともあり、ドラマに期待以上の膨らみは生まれなかった。
 また、バックにショパンのピアノが流れ続けるのも、抑揚を失していて余り感心しない。もう少し抑制を利かせても良かったのではないだろうか。

 キャストでは、ベンジーを演じたキーラン・カルキンが素晴らしかった。子役時代に大ブレイクを果たした兄マコーレ・カルキンが今やすっかりタレント業みたいになっているのに対し、弟の方がまさかここまで地道に俳優業を続けているとは思いもよらなかった。今回のようなお騒がせキャラは、演じ方次第では嫌味に映ってしまうものであるが、そこを愛嬌の良さで上手く乗り切ったという感じである。

 デヴィッドを演じたジェシー・アイゼンバーグは、「イカとクジラ」、「ソーシャル・ネットワーク」からほぼ変わらずといった印象だが、こうした神経症的な演技は相変わらず上手い。
 そして、彼は本作で製作、監督、脚本も務めており、演出家としてのセンスも中々のものである。今後もぜひ作品を撮り続けて行って欲しい。

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ありの