劇場公開日 2025年1月31日

リアル・ペイン 心の旅のレビュー・感想・評価

全75件中、61~75件目を表示

4.0変わらない関係性

2025年1月31日
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鑑賞方法:映画館

先日、第97回アカデミー賞ノミネートが発表されましたが、日本では今週以降、該当する作品が毎週1ないしは2本ずつ公開されることが予定されています。
まず今週は、助演男優賞と脚本賞にノミネートされている本作。公開初日のTOHOシネマズシャンテ9時50分の回は思ったよりも少なめな客入りです。
で鑑賞した感想ですが、確かにこの2部門のノミネート、いずれも納得の作品です。特に、キーラン・カルキンの演技は素晴らしく、前哨戦からも「本命」と予想されているようですが、私も3月の授賞式で彼のスピーチが見られる(すなわち受賞する)ことを楽しみにしています。
デヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)は従兄弟ベンジー(キーラン・カルキン)を伴い、亡き祖母の母国であり自分たちのルーツであるポーランドへ。序盤の二人を見ていると「几帳面なデヴィッド」が「ちょっと変わり者でマイペースなベンジー」に振り回され続けるドタバタロードムービーを想像するのですが、いやいや「脚本賞ノミネート」をなめちゃいけません。特にポイントとなるのはこれが「二人旅」ではなく、他にガイドと3組4名の参加者が一緒の「ツアー」であること。「二人のシーン」と「他人が一緒のシーン」を代わる代わる時間経過していくなかで、二人の関係性や本質が見えてきてストーリーにみるみる深みが増していきます。
人は皆、年齢を重ねていく過程でいろいろな「悲しみ」を経験します。そしてその辛さが解るからこそ、他者の「悲しみ」に対しても我が事のように思えるようになるものです。ただ一方で、世の中には悲しむべき現実が溢れているからこそ、ある程度の「鈍感さ」や「距離」が自分を保つための必要性であったりもします。
人一倍感受性の強いベンジーにとって、デヴィッドは唯一「鈍感なフリ」を出来る気の置けない相手。そして、それを解っているからこそ、振り回されても決して突き放さないデヴィッド。お互い大人になり、距離を置く時間が長くなりつつあっても、変わらない関係性でいる二人に羨ましさと物悲しさを感じる一本。お薦めです。

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TWDera

3.5石を置く

2025年1月31日
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鑑賞方法:映画館

ポーランドの史跡ツアーに、まるで自分も参加したみたいな感じになった。
ベンジーはまさかあそこに泊まってるんじゃないでしょうね? ちょっと心配。

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マリエル

5.0ロードムービー

2025年1月31日
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鑑賞方法:映画館

ポーランドをルーツにもつユダヤ人2人

ジェシー・アイゼンバーグとキーラン・カルキンが全く逆のキャラのいとこ同士

主演、監督のジェシー・アイゼンバーグはある意味日本人的、波風立てず、常に空気を読みながら生きている

相方のキーラン・カルキン、いつも出演作ではクズ野郎の役ばかり演じているが、この作品でも空気を読まず自分勝手、ポーランドのツアーでも常に問題を起こしていく

しかし、結果的に他人の印象に残り愛されるのは!?

イギリス人ツアーコンダクター役のウィル・シャープ、「エマニュエル」では全く逆のキャラで、最後まで気づかず

ツアー参加者の一人、ジェニファー・グレイ、「ダーティ・ダンシング」のヒロイン役の人!(これも全く気づかず)

ラストのキーラン・カルキンの表情が印象的 オワリ!

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うんこたれぞう

4.0温かなロードムービー

2025年1月31日
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鑑賞方法:映画館
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奏

4.5ポーランド行ってみたい。

2025年1月31日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

幸せ

自由が過ぎるくせに繊細な彼、ほっとけない彼、同い年のいとこの感じがとても自然で演技が素晴らしかった。
そのせいか、とってつけたような名所巡りになりがちな場面も自然に流れこんできました。
気持ち良い没入感でした。

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mas

3.0いとこの魅力がイマイチ

2025年1月31日
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製作者の意図は判るのですが、刺さりませんでした。
というのも、いとこに魅力がなく、単に変わり者にしか見えなかったのが原因だと思われ。

魅力的な変わり者の設定だし、そういうエピソードも出てくるんだけど、とって付けたような感じで伝わってこないんですよね。
主人公のいとこに対する気持ちも台詞で説明はあるのですが、それもイマイチ伝わってこないし。

ただホロコーストのシーンは、画面からだけでも痛みが伝わってきました。
自分は辛すぎて、絶対に行けないところだと思います。

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ただの映画好き

3.5主人公が癖が強い

2025年1月31日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

主人公が好きになれるかどうかで、好みが分かれそう。主人公と心に傷を抱えた従兄弟が、祖母のルーツを巡る話です。

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たくわん

3.5心の旅

2025年1月30日
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表題を書こうとしたら自然に出てきた”心の旅”、書いてから”あ、題名と同じだ”と気付く。
名目は祖母の家に行くなのですが、ストーリーの軌跡は心の旅なのですよ。

先の感想にベンジーは空港に住んでるのでは?とありましたが、そうかもしれない!と思いました。空港で人間観察しながら心の旅を続けているのかも。

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Oyster Boy

2.5つまらなかった

2025年1月29日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

残念ながら早々に飽きてしまい集中力を失った。優しい静かな旅すぎたのが自分には暇でした。ストーリーにインパクトあるネタがあれば面白かったのに。

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ノブ様

3.5過去の受難を通して知る今の受難

2025年1月22日
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鑑賞方法:試写会

笑える

知的

しばらく疎遠だった従兄弟のデヴィッドとベンジーが亡き祖母を偲ぶため、彼女の故郷ポーランドを旅するツアー旅行に参加し…
ジェシー・アイゼンバーグの前監督作は未見だが、地味ながらも評判が良いと聞いていた。結論から言うと、本作も地味ながらも味わい深い1本だった。
社交的で言いたい事をズゲズゲ言うベンジーに、デヴィッド同様に観る者も気が気でなくなってくる。しかしこれには事情があり、実はデヴィッドにも現代社会で生きていく事に受難=リアル・ペインを抱えている。ホロコーストを生き延びたとしても、ユダヤ人のその後の人生は受難続きなのか、と余計な勘繰りをしてしまったのは『ブルータリスト』を先に観たからかもしれない。
とにかくベンジー役のキーラン・カルキンが好演。当初はアイゼンバーグが演じる予定だったのを替えたのは、プロデューサーのエマ・ストーンのアドバイスだったらしいが、これは見事なグッジョブ。もしアイゼンバーグが演じていたらマーク・ザッカーバーグの二番煎じになっていただろう。あとジェニファー・グレイも出ていたとエンドクレジットで知りビックリ。
安直なハッピーエンドにしていないあたりも、いかにもインディペンデントな作品。

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regency

4.0軽やかな「旅エッセイ」のようだが、とても味わい深い

2025年1月21日
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鑑賞方法:試写会

ジェシー・アイゼンバーグの初監督作(『僕らの世界が交わるまで』)は未見。そして今回、ウェス・アンダーソン作品のように水平横移動するカメラワークが印象的な監督第二作は、軽妙な「旅エッセイ」のような愛すべき小品だった。

NYに住むいとこ同士のベンジー(キーラン・カルキン)とデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)。ふたりは最愛の祖母の遺言に従い、ホロコーストの生存者だった彼女の故郷ポーランドで強制収容所跡などを巡る「ホロコースト・ツアー」に参加する——。

…こう書くと、深刻な内容を予想して身構えてしまうが、それは良い意味で裏切られる。ショパンの名曲の数々にのせて描かれる「ふたりの旅時間」は軽やかで、時にくすっと微笑ませ、時にじんわり心に沁みてくる。

その一方で、本作には、現代人が抱える生きづらさの問題だとか、日々暮らす中で目を背けがちな「20世紀最大の負の遺産」、あるいは現在の恵まれた立場からそうした「負の遺産」に向き合った際に覚える違和感などが、さりげなく織り込まれている。これらの深刻さと軽やかさが奇跡のように“同居”している点が本作の見どころだ。

ここで思い出されるのが、同じくホロコーストを題材に扱った『関心領域』だ。同作は、現実から意識的に目を背け続ける人間の暴力性や醜悪さを、まるで現代アートの“考えオチ”のように描いてみせたが、ある意味、それと対極にあるのが本作『リアル・ペイン』だとも言えるだろう。

そんな本作で特に目を惹いたポイントは3つ。
1つめは、カルキンとアイゼンバーグの演技だ。作品を成り立たせている大半は、ふたりの絶妙な掛け合いに依ると言ってもよい。
素直で表裏のないストレートな感情表現を大切にするベンジー。だがその裏返しとして、周囲の空気が読めず、こみ上げる思いをすぐ言動に出してしまう。どうやら社会からもハミ出しているらしい。そんな、軽度の多動性障害・双極性障害のフシもうかがえる難しい役どころを、キーラン・カルキンは好演している。
対するデヴィッドの方は、自らの感情と向き合うのが苦手で、自分を抑え込むことが染みついている。ここでジェシー・アイゼンバーグの“受けの演技”がまた実にいい。そんな彼が唯一、いとこに抱く複雑な想いを感情も露わに吐露する夕食のシーンは、涙があふれて止まらなかった。

2つめとして、見事な映像美が挙げられる。ショパンの調べにのせて切り取られるポーランド・ルブリン旧市街の様子は、いわば“旅行者の観光目線”を意識しつつも、決して通俗に堕することがない。古くから残る建築はもちろん、戦後建てられたであろう建物にも明るさと美しさが宿り、日々の息づかいが感じとれる。撮影監督は、スコリモフスキ監督作『EO イーオー』なども手がけ注目を集めるポーランド出身の俊英ミハウ・ディメク。だからこそのアプローチなのか、とナットク。

3つめは、アイゼンバーグ自身による脚本の妙を挙げたい。ふたりの凸凹コンビ珍道中を、派手な見せ場こそないが巧みな構成とセリフで引っ張り、まったく飽きさせない。早口で速射砲のように交わされる会話のリズム感が心地よい。事実統計に絞った話を淡々と喋り続ける「ホロコースト・ツアー」のツアコンを、ふたりとは対照的に配しているのも良い。さらにハッパ、足の指、小石、平手打ち(!)など、ささやかな仕掛けも物語の中で巧く効いている。

ところで、本作の原題 “A Real Pain”は、日本語にすると「すごく面倒くさい」「ほとほと困った」「本当に厄介」といったところか。一見、ベンジーのことを指したタイトルのように思えるが、あるいは、互いの気持ちをうまく共有し合えない主人公ふたりの関係性を象徴しているのではないか。

おばあちゃん子だったベンジー。そのおばあちゃんの足指のカタチを受け継いだデヴィッド。今後も彼女は二人の中で生き続ける。いやもっと言えば、ベンジーとデヴィッドの存在だって互いに相手の人生の中で生き続けているんだ。
ロビーに佇むベンジーはこの先、過去にしがみつくだけではなく、いとこの愛情も感じながら世知辛い現実をなんとか歩んでいけるだろうか。もどかしさとともに、そんな愛しさも抱かせるラストショットだった。

以上、「サーチライトプレミア試写会 —シネマラウンジー vol.1」にて鑑賞。
劇場で再見するつもり。

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いたりきたり

3.5人の心に寄り添う覚悟

Kさん
2025年1月18日
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鑑賞方法:試写会、映画館

色々な感情があふれてくる最高のロードムービーでした。
繊細でエモーショナル。
最初と最後のシーン神がかってます。

すぐに口にしてしまうベンジーと
コミュニケーションが苦手なデヴィッド。
凸凹コンビに共感しまくりの90分。

なんといっても2人の早口の会話がお見事。
ジェシー・アイゼンバーグ、キーラン・カルキン天才。

ポーランド繋がりで劇伴がショパン♪
とても心地よかったです。
原題も完璧。

ツアーガイドの「じゃっ!」
という言葉に感情移入してしまい
自分も傷を負いました…苦笑

特典のクリアファイルとチケット
とても嬉しかったです。
ありがとうございました。

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K

5.0マコーレ似というより、大人になったラドクリフ似?

2024年12月2日
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笑える

知的

萌える

かつての天才子役・マコーレカルキンの弟、キーランカルキンがめちゃくちゃ面白くて、映画館ではずっと爆笑が続いていました。一言発するたびに"fxxkin"という言葉が入るほど品がなくて、空気読まなくて、周りを振り回して、一緒にいるいとこを限界までイラつかせるだけイラつかすけど憎めない…、そんな美味しい役どころです。

ストーリーは全然深刻じゃなく、もしツアー旅行がお好きな方なら似たような経験したことあるんじゃないかなと思いました。

それにしても北米では輪になって初対面の人に腹割って自己開示する、みたいな場が多く、私もちょいちょい参加しますが、英語でそんなに面白エピソードを語れるはずもなく、みんなの視線が一斉に向けられるのは、まあまあしんどいです。www

この作品も色んな会話が繰り広げられ、みんなこんなにいい人たちばっかりだと、旅も楽しめるでしょうが、陰キャ寄りの私には到底無理な、でも心底羨ましいと思えた旅でした。

地味な作品ですが、北米ランキング10位はそれなりにヒットしていると思います。

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ゆ~きち

4.0悲惨な歴史への向き合い方を問われる映画

2024年10月31日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

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GTO

4.0「変人の観察が楽しい」

2024年10月30日
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鑑賞方法:その他、試写会、映画館

ナチス大虐殺 ✕ ドラメディ = ユダヤ人でない自分にとって"特別"な作品とは言い難いけど、これはよくできている。まず脚本フェチな自分には刺さりまくりな脚本がよく書けて(描けて)いるし、主演コンビが最高にハマっている。一人一人でも単体で最強なのに、2人合わさるともう最強!!
違和感から、時を超えて普遍的な痛みを伝え、描き出す。3週間違いの従兄弟ベンジーとデヴィッドを演じた、スタンドアウトした強烈なキャラをドラマ『Succession』に負けじとノリノリなキーラン・カルキンと、自分らしい役柄を演じながら脚本監督の才を遺憾なく発揮するジェシー・アイゼンバーグ(シャツの上から2,3番目のボタンだけ留める着こなし)。扱いにくくも力強く周囲を巻き込むようなカリスマ性と視点人物。それぞれ問題を抱えていて。
痛みについてのツアーとお墓に石を置く、訪れたことを示すために。痛みを通じて人を知る。それは、冷めた印象を受ける単なる事実の羅列じゃなくて、温度のある人との関わり。毎週木曜日に会いに行っていたお祖母ちゃんの足と似た足を見つめながら。見上げるという画の差異を伴う反復イメージングシステム、服の色は青・赤が逆になっている。旅の終わりが近づく寂しさもあって、感覚で捉えることの大切さも改めて。
今回の東京国際映画祭で、チケット争奪戦に敗れた『グラディエーター2』に次いで、超絶観たかった作品、そして絶対に自分の好きな作品だろうなと!!『リトル・ミス・サンシャイン』『サイドウェイ』フォックス・サーチライトのこれまた素晴らしいロードムービー!旅を一緒にしてきたぼくたちにはわかる、文脈的に冒頭とは意味が違う。
いや、マジで賞レースの脚本賞は狙える、少なくともノミネートは。あと、ミュージカル・コメディ部門のあるゴールデングローブ賞なら、脚本賞に加えて、キーラン・カルキンの主演男優賞も!本当に自分の書きたいタイプの脚本だった。

ガス室付きのマイダネク収容所
冷戦下には非常に行きにくかったそうな
ウィル・シャープ演じるジェームズ

勝手に関連作品『オールド・ジョイ』

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とぽとぽ