リアル・ペイン 心の旅のレビュー・感想・評価
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「行く事は叶わないが見る事は出来る」
今年77本目。
渋谷パルコ8Fホワイトシネクイントで。
ポーランドのユダヤ人収容施設を見に行く。ガス室の青い成分が壁に付いているのが驚き。人が履いていただろう靴の多さ。自分は行く事は叶わないが映画で実際の場所を見る事は出来る。御夫婦が見る前は手を繋いでいたが入る時は一人一人、向き合うのが演出として受け止めました。
いいやつなんだろうけど
みんな彼を好きになる
従兄弟同士のユダヤ系アメリカ人、デヴィッド( ジェシー・アイゼンバーグ )とベンジー( キーラン・カルキン )は、ポーランドのホロコーストを巡る史跡ツアーに参加する為、数年ぶりに空港のロビーで再会する。
時にかみ合わなくなる会話、相手の言動に苛立つ事も。それでも互いをとても大切に思う二人。それらの描写が、リアルで切ない気持ちにさせる。
監督・脚本・製作・主演を務めたジェシー・アイゼンバーグと、アカデミー賞助演男優賞を受賞したキーラン・カルキンのナチュラルな演技に引き込まれた。
本作撮影後に自身のルーツの地、ポーランドの市民権を申請し取得したジェシー・アイゼンバーグの、ポーランドに対する真摯な思いに溢れた作品。
映画館での鑑賞
今後に思いを馳せて切なく愛おしく物語は閉じていく
良い映画だった。
実は、全然期待をしていなかったけれど、良かった。
中盤、主人公達が鉄道を乗り過ごしたり、無賃乗車をしたりするのだけれど、そこで何故かぐっと来た。
短い旅が終わって、物語も終焉に至っても、主人公達は何も変わらない。日常に戻っていくだけ。
でも、主人公達の今後に思いを馳せて、切なく愛おしく物語は閉じていく。
「エマニュエル」で良い演技を見せていたウィル・シャープが、ツアー・ガイドで好演。話しの主軸の中では何でもない存在でありながら物語の横軸になる存在。
だから難しい抑えた演技は良かったと思う。
沁みるストーリー、キーラン・カルキンの演技は圧巻
不思議な感情
特に説明もなく淡々と終わるアウシュビッツのシーンで、気づいたら涙していた。
元々アンネの日記、戦場のピアニスト、シンドラーのリスト、近年は関心領域など、ホロコーストをテーマにした映画や文化には比較的興味を持って触れてきたほうではある。だが生粋の日本人だ。
私は歴史そのものに涙していたわけではなく、自分をベンジーに重ねていたのだと気づいた。
大事な人を失った喪失感、普段は明るい人だと言われても、内では繊細で悩みも多いこと。
ベンジーの感情が動くたび、わたしの感情も大きく揺れた。
演技、余白、音楽、その土地の歴史までもが完璧に調和していた。
出逢う人たちの優しさにも、静かなラストにも、希望を感じた。良作。
幾重もの奇跡の果てに
疎遠になっていた従兄弟同士が、亡き祖母の遺言で参加したポーランドのツアーにてあれやこれや騒ぎを起こすが…といった物語。
性格は真反対。元気で破天荒に見えるベンジーも抱える闇があるらしく時に情緒が…。そんな彼を冷静に抑え込むデイブも彼もまた…。
そんな状況の中、ユダヤに縁のある個性的な人々と一緒に、祖母とも関係のあるホロコーストの歴史に触れていくが…。
いやぁ〜何というか、大変おこがましいですがデイブとワタクシって色々似てるな(イケメン顔以外)と思い、深く感情移入しちゃいました。
常識ハズレで空気も読まずにその時々の気持ちをヅケヅケと言い放っては皆を困惑させるベンジー。そんな彼の奇行を皆に謝る、神経質ながら常識人のデイブ。
…しかし何故でしょう。蓋を開けてみれば皆に心を開かれているのは…。
彼のことが大好きで大嫌い。
そんな彼になりたい。
…う〜ん、この複雑な気持ちよ!!
真面目にやるのが馬鹿馬鹿しく思えてしまう…。
特にジェームズとの別れ…気を遣いっぱなしだったデイブの方が遥かに淡白だったことが印象的だった。
…とはいえ本筋は勿論そこではないですね。
誰にも表面上には見えない心の闇を抱えて生きているわけだし。ここからの物語はどうなるのか。
そして石の置く場所よ…
リアルペイン…それは1人になった寂しさか、或いは闘魂注入のことか、はたまたこれからの不安か…。
あとは序盤のヨーグルト捨てるのは、ゾンビランド1.2の酒ポイッを思い出してちょっと笑っちゃった(笑)
終始聞かれる美しいピアノの旋律とともに、解決などではなく、抱えて生きていくしかない、最後の希望とも不安ともとれなくない眼差しに、そんなことを思わされた作品だった。
絶妙な横顔
ベンジーのあの寂しそうな表情が非常に印象的な映画。感情を素直に表現して時には波風を立てることもあるけれど、人の懐にスッと入り打ち解け合う人懐っこさがある。自分とおなじように寂しげな瞳を持つひとりのツアー仲間がいれば放っておけない。それによって一緒に来たデヴィットが孤独になるんだけど、悪気はないんだよね。一緒に来てくれたことには本当に感謝してるんだよ。
明るくて人生たのしそうに見えるベンジーの光と影が絶妙に映し出される旅。
随所に散りばめられたコメディ要素もクスリと笑えて良い。
ホロコーストの現場を歩いて凄惨な過去をめぐり、今がどれだけ恵まれた環境かは理解できるし有り難いとも思えるけれど、それでも今を生きているベンジーにもデヴィットにもそれぞれ固有の痛みがあって、それを抱えながら生きている。
ラストのシーンで、ベンジーは空港にとどまった。
まるで帰る場所がないかのようで、なんとも言えない不安を映し出す。
ロードムービー
亡くなった祖母のルーツを旅する 親戚同士の男二人のロードムービー。...
十人十色
アメリカ人の従兄弟同士が自分達のルーツであるポーランドを旅する話。頭が良く、いい職に就いて結婚もしているデビッドと、無職で独身のベンジー。世間的に評価されるのはデビッドだが、自由奔放で自分に正直な言動をするベンジーは、人を惹きつける魅力がある。全く性格が違う2人の掛け合いが面白く、笑える。
どちらも問題は抱えていて、生真面目でお堅いデビッドは理屈っぽく人付き合いが苦手。周りや常識を全く気にしないベンジーは感受性が高いゆえに、人一倍傷つきやすくストレスを感じやすい。
ツアーと他の参加者との交流を通じて、お互いの違いと友情を再認識していく過程で人間味のある生き方が何なのかと考えさせられる。温かみがあり、ほっこりさせてくれる映画。
主役のアイゼンバーグの体験にインスパイアされたストーリーらしく、ポーランドのツアーの内容が細かい。
デビッド役はどこかで観たことあると思ったら、ホームアローンのマコーレカルキンの弟なんですね。
演技上手い!!
本当の痛みはなかなか・・・
喜びとか悲しさとか、あるいは強い愛などは、それがどんな形であれ、見ていて結構気持ちがいいものだけれど、痛みというのは、どんなに強い表現や巧みな演出であっても、なかなか受け取ることが難しいなぁと─。それは、見ているこちらがすんなりと受け入れることができないからなのかもしれませんが・・・
みんな素晴らしい演技、素晴らしいスクリプトや演出で非常に感動できるのですが、痛い気持ちだけはどうも・・・もしそれをちゃんと受け止めたならば、多分見ていられないような気がするけど、この映画はずーっと心地良く観賞できたからなー。かといって、痛みが伝わってくるような作品なんて─と思うわけだし、なかなか難しいテーマを扱っている作品です、かなり面白くてよきかなとは思うのですけど─。
劣等感を乗り越える親愛の情
同級生で人たらしのやつがいる。俺が俺がという前に出るような性格ではないのに、いつの間にか場の中心にいる。一部の人間からは嫌われもするが、好かれる人間とは強い絆を結んだりする。そんな友人に影響を受けたり、憧れたり、ちょっと憎らしかったり。でも、離れることもなく今でも関係が続いている。彼に魅了された人間の一人だから、もう仕方がないと受け入れているが、本作のような映画を観ると、あの劣等感に近い感情を思い出す。本作に登場するベンジーはまさにそんな感じ(私の友人に似ているわけではないけど)。
亡くなった祖母が昔住んでいた家を訪ねようと、ポーランドのユダヤ人のルーツをめぐるツアーに参加した2人。強制収容所を訪問するシーンがツアーのクライマックス。民族関係なく、あれだけ迫害を受けた人たちに思いを馳せるとやはり涙がにじんでしまう。
でも本作のクライマックスはそこではない(はず!)。ツアーの参加者に、ベンジーへの思いを吐露するデビッドの独白だ。自分のあの友人を思い浮かべてしまった。憎しみみたいな感情はないが、デビッドのあのセリフたちに一々共感してしまった。じゃ、ベンジーにはどうだったのか?と考えると共感できないし理解もできない自分がいた。ベンジーの思いについて明かさない作りになっていたのは意図的だったのだろう。主人公デビッドの目線で考えたらそうなんだと思う。だから、ラストシーンのベンジーが何を考えているのか全くわからないのも仕方ない。
一人の人間が生まれるということ自体奇跡みたいなもので、ホロコーストを生き残った人間の子孫となるとさらに奇跡的な運命を感じることになる。だから、その子孫である人間は自分の命を大切に精一杯生きるべきと言う(思う)人は多いはずだ。間違っていない。その通りだと思う。でも、デビッドが語るこうした言葉に生きづらさを感じてしまった。ほんの少しだけど。もしかしたらジェシー・アイゼンバーグ自身がそんな思いを抱えていて、そんなことも意図して本作を作っていたりして。もしそうならジェシー・アイゼンバーグすごいな!
大切な人を大切にしたくなる
ユダヤ人関連の映画をまとめて
時期を同じく4作品のユダヤ人関連の映画が重なって上映されています。
この映画も、他の映画も発端は、ヒットラーのナチスドイツのユダヤ人迫害から派生した映画でしょう。
多くのユダヤ人がアメリカナチス渡ったことから発生したこの映画とブルータリスト。
イスラエル建国に絡むいざこざから起こった問題に向き合ったのが、ノーアザーカントリーとセプテンバー5。
ユダヤ人は、被害者か?加害者か?と考えてしまう映画でした。
ホロコーストの痛み
石を置こう。僕らが訪ねた印に。
現実社会では、人と人は本音と建前で交流し生きている。それが「大人」としての作法。正直に生きることは、窮屈で痛みを伴うものだ。正直に生きてきたベンジーが、これまでの人生でどれほど苦しんで生きてきたのか、彼の行動の端々ににじみ出ていて、胸が苦しくなった。救いは、ポーランドだけにショパンのメロディーが全編に流れ、そんな苦痛を癒してくれた。
アウシュビッツを訪れた人は、皆一様にあの重い空気を纏うのだろう。だけど、それは過去の歴史としてだ。ベンジーは、その縁者として、実際に迫害を受けた彼らに寄り添う。だから、一等車に乗ることに我慢ができない。正直自分も、ツアー同行者たちと同じような気分だった。これは昔の話じゃないか、今と比べてどうする?と。だけど、ベンジーはピュアなのだな。そのピュアな心を知った人は彼の行動や言葉の理解者となる。それでいて、それは全員ではないところ(別れ際ひとりだけ抱擁も握手もしない)に、「いい話」としてこじつけようとしないこの映画の誠実さが見えた。そして、そんな窮屈な世界を生きているベンジーを案じるデビッドの痛みさえも共感できた。
映画のはじめと終わりは空港のロビー。観始めた時の、ただの雑踏の風景でしかなかったその場所が、ラストには、そこにいるひとりひとりに人生の物語があるのだという視点でいる自分に気づいた。そしてベンジーは、同じように周りを観察している。彼は、なにも変わってはいない。変わったのは、こちらの見え方(言い換えれば偏見)だった。
本当の痛みは、当事者にしかわからない・・ということかしらん? そう...
本当の痛みは、当事者にしかわからない・・ということかしらん?
そういう意図があるのであれば・・ユダヤ人の受けた痛みは・・想像はできるけど・日本人の私にはわからないのかもしれない・・。
ユダヤ人の従兄弟同士、デビット(ダビデ)とベンジー(ベンジャミン)が・・ナチ支配下の時代には、ホロコーストの主要な舞台だったポーランドへ旅するお話・・。
ホロコーストといえば「アウシュビッツ」「ダッハウ」が頭に浮かぶが・・その他にも、破壊から免れ、生々しく残った施設もあるのですね・・・。
キーラン・カルキン(マコーレ・カルキンの弟)演じるベンジーの情緒の不安定さに、ハラハラしながら、保護者のようにフォローする優しく真面目なデビット・・・。
ベンジーの抱える痛みが、ユダヤ人由来のものなのか・・人種には関係ないものなのか・・はわからない・・。
旅によって癒されたのかも・・わからない・・。
彼、ベンジーの「リアル ペイン」はデビットにもわからなかったのかも・・・。
※キーラン・カルキンは、この映画で オスカー助演男優賞を受賞。
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