「絶妙な横顔」リアル・ペイン 心の旅 ヨークさんの映画レビュー(感想・評価)
絶妙な横顔
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ベンジーのあの寂しそうな表情が非常に印象的な映画。感情を素直に表現して時には波風を立てることもあるけれど、人の懐にスッと入り打ち解け合う人懐っこさがある。自分とおなじように寂しげな瞳を持つひとりのツアー仲間がいれば放っておけない。それによって一緒に来たデヴィットが孤独になるんだけど、悪気はないんだよね。一緒に来てくれたことには本当に感謝してるんだよ。
明るくて人生たのしそうに見えるベンジーの光と影が絶妙に映し出される旅。
随所に散りばめられたコメディ要素もクスリと笑えて良い。
ホロコーストの現場を歩いて凄惨な過去をめぐり、今がどれだけ恵まれた環境かは理解できるし有り難いとも思えるけれど、それでも今を生きているベンジーにもデヴィットにもそれぞれ固有の痛みがあって、それを抱えながら生きている。
ラストのシーンで、ベンジーは空港にとどまった。
まるで帰る場所がないかのようで、なんとも言えない不安を映し出す。
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