「中年ロードムービー」リアル・ペイン 心の旅 すーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
中年ロードムービー
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まず、主人公ふたりが従兄弟同士という関係なのがいい。
祖母を通じたつながりは近すぎず、遠すぎず。
祖母の故郷を訪れがてら、ホロコースト・ツアーに参加することで、2人はそれぞれの抱えた傷を癒そうとする。
多くの説明があるわけではないが、台詞や演技で段々と2人の背景がわかってくる。
40代でもう若くはない中年の閉塞感。
ベンジーの痛々しいまでの繊細と、本当は同じくらい繊細なのにそれを隠して社会人として真っ当に生きようとするデイヴィッド。
キーラン・カルキンの動の演技に目を奪われるが、受け止めるジェシー・アイゼンバーグの静の演技も素晴らしい。
(レストランで心情を吐露するシーン、怒鳴ったり泣いたりするわけではないのに、揺れ動く感情がよく伝わってきた)
ポーランドを一緒に旅行している気分になれたのもよかったし、劇伴がすべてショパンのピアノ曲だったのもポーランドへの敬意を感じた。
(監督、脚本、製作も務めたジェシー・アイゼンバーグはポーランド系ユダヤ人)
おまけ。
旅が終わり、頑なに空港にとどまろうとするベンジーにやや違和感を感じたのですが、ベンジーは実はホームレスなのでは?との考察を読んで腑に落ちたのと、いっそう心が重くなったことを記しておきます。
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