劇場公開日 2025年1月31日

「重いテーマを重苦しくならず描いたこの監督は凄い。」リアル・ペイン 心の旅 いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0重いテーマを重苦しくならず描いたこの監督は凄い。

2025年2月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

私が映画鑑賞の目印とする週刊文春の映画評で、高評価なので鑑賞してみた。冒頭、疲れていて寝入ってしまった。主人公2人が何故ポーランドツアーに参加する経緯は、正直なところ観ていない。が観ていなくても、十分わかる映画だった。つまりは脚本が良く出来ていることの証左。

私はナチスによるユダヤ人のホロコーストには、同情するけれど、映画になっているユダヤ人の一方的な被害者映画の描き方に辟易している。批判は覚悟している。人類の歴史で滅亡・この世から抹殺された・されそうたなった人種・民族は恐らくユダヤ人だけでない。他にもっとあると思う。前のレビューに書いたが、加害者であるドイツ人からみた映画が製作されないと手落ちだと考えている。嬉しいことまだ数は少ないけれど、そんな映画が製作されている。背筋が凍る映画もあって、人間は怖いと感じさせる。あれはドイツだけ(ナチスだけを悪者にするのは、おかしい)が例外的な存在ではない。自国の歴史を調べればナチスと同様な事をしているのが人間の真実だと思っている。

この映画を観ていて、ホロコーストの対象となったユダヤ人の視点から観るのは、誤っている。どこの国でもある。人類共通の心の痛み(リアル・ベイン)を描いた映画だ。そう私は受け取った。全編に流れるポーランド出身のジョバンの作品が美しい。私は、アシュケナージとルービンシュタイン及びサンソン・フランソワのジョバン全集のCDを持っている。全てを聞いていないけどね。

いなかびと