僕が9歳だったころ : 映画評論・批評
2006年2月7日更新
2006年2月4日よりシャンテシネにてロードショー
「こんな子供、いたいた!」と膝を打つエピソードばかり
本作品の原作は韓国で130万部を売り上げたベストセラー小説で、“少年少女版「冬ソナ」”と言われているそうな。ホンマか? むしろ、ビートたけし著「たけしくん、ハイ!」を彷彿。片田舎の貧しい家に育ったガキ大将ヨミンの初恋物語がメーンで、恋のお相手はソウルから美人転校生のウリム。だけどお子ちゃまらしく、好きなクセについついウリムに意地悪し、素直になれないところが愛らしい。その一方で、目の悪い母親のためにサングラスを買おうと、小遣稼ぎをする優しい一面も持っている。見る者誰も「こんな子供、いたいた!」と膝を打つエピソードばかりで、思わず子供時代を懐かしんでしまうに違いない。
中でも必見はウリムと、ヨミンに思いを寄せるグムボクとの女のバトル。冷戦を続けていた二人が、ある事件をきっかけについにどつき合いに発展。互いにビンタを食らわせ、髪を引っ張り……という容赦のない闘いぶりは井筒和幸映画か、はたまた映画「陽暉楼」での池上季実子vs.浅野温子の闘いか(笑)。恐らく監督に本気でケンカをさせられて、あまりの痛さに2人で大泣きしているのがこれまたかわいい。
“泣き”が売りの韓流において、この人情喜劇は逆に新鮮。嫌韓流の人も、試しにどうぞ!
(中山治美)