劇場公開日 2025年4月11日

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「ユニークな着想と本格格闘アクション。多摩市ロケ地の選択も渋い」ゴーストキラー 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ユニークな着想と本格格闘アクション。多摩市ロケ地の選択も渋い

2025年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

「ベイビーわるきゅーれ」の主演コンビのうち、本格の格闘アクションを担っていたのは伊澤彩織。スタントダブルやスタントパフォーマーとしても、ハリウッド映画「ジョン・ウィック:コンセクエンス」を含む内外の大作多数に参加してきた逸材だ。なので、髙石あかりが単独主演のアクション映画と聞いて格闘シーンが持つのか心配したが、鑑賞して納得。三元雅芸が演じる凄腕の殺し屋・工藤の幽霊に憑依されると、普通の女子大生・ふみか(髙石)に超一流の戦闘能力が宿るという設定なのだが、ふみかに工藤が憑依しているときのアクション場面では髙石と三元の演技を巧みに切り替えて表現している。劇中の敵からはずっとふみかの姿に見えているはずだが、観客には「中身は工藤なので、そのへんは想像でうまく補ってください」と暗黙の了解を求める演出意図であり、悪くはない。髙石あかりが目当ての観客には彼女のかっこいいシーンを提供し、アクション好きには三元雅芸のよりハードでスピーディーな格闘演技を味わってもらえる。

ちなみに三元は最近のドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」にも病院に送り込まれた殺し屋役で出演していて、短い出番ではあるがドラマの空気感を一瞬で変える俊敏な動きで強い印象を残していた。メジャーな作品への出演が増えてほしい俳優だ。

前半の闘いで、霊の工藤がふみかに「腕が細いので打撃や締め技の威力が弱い」といった趣旨の説明をする。とくに体を鍛えているわけでもない女性の腕力や持久力を考えれば当然そうなのだが、後半は作り手がそれを忘れてしまったかのように、工藤が憑依したふみかが大勢の敵を相手に長丁場の戦いを続ける。とはいえ、そもそも殺し屋の霊が憑依して強くなるという設定自体がぶっ飛んだフィクションなので、細かいことは気にせず楽しむべき映画だろう。

余談だが、わが地元・多摩市の見覚えある場所がいくつも出てくるのは嬉しい。喫茶店カナディアンコーヒーショップなどは割とよくロケ地になるが、乞田川沿いの並木道や、乞田川近くの住宅街から登って日医大永山病院の裏手に出る階段など、比較的地味なロケーションを選んでいるのも渋い。ほかに、千葉県の木更津市公設地方卸売市場の近くや袖ケ浦海浜公園などでも撮影が行われたようだ。

高森 郁哉