劇場公開日 2025年4月11日

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「意外 面白かった」ゴーストキラー R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 意外 面白かった

2025年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

まったく期待しないで見たが、なかなかいい作品だった。
2025年 今年春の作品
進化する邦画
進化という言葉が正しいかはさておき、面白さの根源が映像そのものだけでなく、リアルさを追求した脚本にあるのかもしれない。
到底不可能なことを見る面白さはあると思うが、その舞台が「日常」である場合、飛躍し過ぎるのではなくある程度でとどめておくことにリアルさがある。
この場合、飛躍し過ぎている部分がある。
ただ、主人公フミカの心理描写はとてもリアルで自然に感じた。
まずこの部分に非現実的な飛躍感がないのがよかった。
普通の女子大生から見れば、反社組織そのものが非日常であり、そこで繰り広げられる彼らの世界は完全に飛躍しているだろう。
しかし、フミカの友人マホ
彼女の彼氏という男のDV
そんなものは割と日常にあるのだろう。
この部分がこの作品をリアルにするのにとても効果的だった。
また、
なぜフミカがユーレイに憑りつかれてしまったのかという部分も、意外に上手く設定されていた。
このユーレイの設定もまた面白いし、ユーレイが成仏したいと思っている点も面白かった。
この作品で必要だったのがアクションシーンで、特に格闘シーンは不可欠
この部分、若干B級感を感じてしまうのが残念だった。
ただ、実際に戦っているのがフミカという設定
彼女に憑りついて闘っているユーレイの工藤
この描き方は良かったと思う。
この作品の性格上、バーでのシーンは重要だが、割とありきたりの描き方だった。
もっと貫くような格闘シーンであって欲しかったし、下らない男たちの余計なおしゃべりも無くていいのかなと感じた。
このシーンに同時に描かれていたのがフミカの葛藤だった。
悪い人に自首させるという考えとお仕置き
男たちの思惑に対する怒りは、単にその事だけでは済まないということ。
この部分の「勉強」は物語上必要だったと思うが、へらへらする余裕を男たちに与えることで従来の表現方法とダブり、シーンを見終えた後に満足感が残らない。
そして、
アパートをぐちゃぐちゃにされることは必要だったのだろうが、見たこともない普通の女子大生を、反社3人(4人)がサイレンサー付きガンを持って襲うことはないと断言できる。
部屋にあったカセットボンベの爆発程度にしてよかったんじゃないかな。
さて、
工藤に憑りつかれてたった1日の出来事
マホの男をブッ叩き、バーで男たちをぶちのめし、襲ってきた連中から逃げて復讐するという大忙しの1日
「最悪だったけど、自分自身が変われたような気がする」と、フミカは言った。
格闘で折れた肋骨と傷だらけになったこと、顔の傷
フミカの呟きに殺し屋のカゲハラが反応した。
言葉はなかったが、一旦組織に入ればどうすることもできないと思い込んでいた。
しかしフミカが「反社をぶっ壊す」と言ったことで、実際にそれができた。
一番変わったのはカゲハラと工藤だったのかもしれない。
成仏した工藤が何も言えないまま消えていったという設定は良いと思った。
フミカのこの「最悪だったけど、自分自身が変われたような気がする」というセリフ
これを生かすために、いつも変な男ばかりに巡り合うマホをもう少し描きつつ、何もしないまま、単にSNSのフォロワーの多さを人生の定規としていたフミカの実生活をもう少し描いてほしかった。
単純な設定の中にも、フミカの心情がよく出ており、反社のユーレイという組み合わせは思ったよりずっと面白かった。
この悪くない脚本をもう少し練り込んでほしかった。

R41