バーラ先生の特別授業のレビュー・感想・評価
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教育の機会は平等に与えられるべきと言う信念を訴えていた
実話ベースと言うことで、『スーパー30 アーナンド先生の教室』とか、『きっと、うまくいく』みたいな話かな?と観に行ったら……
私学の授業料がどんどん高くなり、貧富や身分の差が教育レベルに直結するインドの実情を批判しつつ、すべての子供に学ぶ権利と機会が平等にあり、意欲と才能と努力を重ねれば誰でも地位や名誉を手に入れられるという信念を貫いた、伝説の理系教師(数学・物理・化学教師)の姿を描いておりました。
日本の漫画やドラマだと、攻略法や落ち込んだところからの回復などをメンタル面で情緒的に押して、意識の革変を軸に物語を作ることが多いのだが、インドだと政治家や汚職警察の横暴、村の暴力団による妨害などが多く、本作もそのパターン。
森田健作か石立鉄男か水谷豊か山下真司かというような熱血教師ノリに近いが、インド映画だけによく戦い、よく踊ってました(『スーパー30』の命のやり取りほどではないが)。
村の生徒みんなが天才児みたいで、(『ロッキー』の「モンタージュ」みたいに)曲に合わせて授業を受ければするする成績が上がっていくのが嘘くさいような気もしますが、インド国民の計算に関する能力の高さ(コンピューター・宇宙開発関係の科学者の多さ)は実際に有名だから、なんとなくの説得力もありました。
この映画を観て楽しい人もいるとは思います
頭の良い人は「感情をコントロールして仕組みを作る」ということがよくわかる映画でした
2025.4.22 字幕 アップリンク京都
2019年のインド映画(134分、G)
実在の教育者ランガイヤ・カデルラの体験をベースに描く教育啓発映画
監督&脚本はベンキー・アトゥルーリ
原題は『Vaathi』で「Sir(先生)」という意味
物語の舞台は、2000年のインド南部のヴェールール
そこで高校生活を営んでいるアビー(Sathvik Varma)はつまらない授業に嫌気が差し、ゲームで時間を潰すほどだった
ある日のこと、祖父ブーパティ(ラージェンドラン)のビデオショップが売りに出されることになり、アビーと友人たちは店の片付けをすることになった
古めかしいカセットなどが山積みになっていたが、その戸棚の奥に頑丈なケースに入っていたビデオを発見してしまう
アダルトビデオだと思って映像を見ることになったアビーたちだが、そこに映っていたのはある講師の授業のビデオだった
しかもわかりやすく説明されていて、アビーはこの人に学べば今習っているところも簡単にクリアできると考えた
そして、貸出カードに書かれていた名前(A・M・クマール、演:スマント)の人物を探すことになった
なかなか手掛かりが掴めなかったが、ある人物から「それはカダパの役所にいる」と聞かされる
A・M・クマールはカダパ県の行政長官になっていたが、彼がその講師ではなかった
クマールはその男を「恩師」と言い、彼が行なった教育改革の馴れ初めを話していくことになったのである
クマールが教育を受けたのは1993年のことで、インドは近代化に向けて突き進み、教育もビジネスと化し、公立よりも私立に行く人間が増えていった
私立に入るために多額の資金を用意できる親は良いが、普通以下の国民は私立に入ることができなくなっていた
さらに高い給与を求めて教師も私立に行くようになり、公立は教師不足から閉校に至るところも増えていた
そんな折、私立協会の会長でもあるティルパティ(サムドラカニ)は「公立に私立の教師を派遣する」という方策を打ち出す
それは、私立も公立も授業料を一本化するという法案が出ていて、それを阻止するために「表向きの公立支援」を打ち出したのである
そして、チョーラワラムの村にある公立高校に、バーラ(ダヌシュ)という若い教師が派遣されることになった
バーラはティルパティに対して大見得を切り、ティルパティも「君の担当教科で生徒が良い成績を上げたら正規教員にしてやる」と約束をすることになった
だが、バーラの派遣された高校では学校に通うよりも生活のために働かざるを得ない子どもがいて、到着日は村長のパーンディヤン(P・サイ・クマール)の一声で集まったものの、翌日には誰も来なかった
その後バーラは、再び村長に村人たちを集めさせ、ある偉大な科学者の話をする
それによって、子どもを学校に行かせる親が殺到し、ようやく授業を行うことができた
だが、村ではいまだにカースト的な考えが浸透していて、カーストの違う生徒は同じ教室に入って、隣に座ることは許されなかったのである
映画は、実在の人物をベースにした物語で、「Kaderla Rangaiah」という教育者のエピソードを基にしている
インドのテランガナ州の公立高校にて生徒の学力向上のために尽くした人物で、2021年にはインドの全国最優秀教員賞に選出されている
ランガイヤ先生は自腹を切って高校を改装し、文学士号を持っている妻のヴィーナさんをボランティアとして授業の補助を行なった
当初54人の生徒も5年で280人にまで増え、保護者と慈善家の支援を受けて、多くの物品の購入ができるようになったとされている
本作では、そのさわりであるインド工科大学の試験(JEE-MainもしくはJJJ Advanced)に向かう様子が描かれていて、そこで受け持ちの45人+1人が合格をした、という流れになっていた
様々な脚色がなされているが、本作のメインは「ティルパティの強欲を利用した安価な教育改革」の部分であると思う
ティルパティの協会から派遣された教師によって合格を成し得たという事実はあるものの、様々な妨害工作を行なった挙句に手柄を横取りしようとしていた
だが、バーラはそれすらも看過し、「サインをしろ」と動揺する生徒たちに伝える
彼は「立派な地位について、同じように子どもたちに教えなさい」と解き、それこそが真の目的であることを伝える
一代限りの奇跡では意味がなく、教育とは永続的にそのシステムが機能する必要があり、褒賞は後からやってくる
まさに先見の明がある施作を実現させるのだが、様々な妨害工作というものが通信教育の下地を作っているところも面白い
映画は、教育には金がかかるという洗脳を行なってきたティルパティが、強欲を利用すれば無償で教育ができるという洗脳に打ち負けるという内容になっている
ある意味、この構造は教育の無償化的な要素を持っていて、私立が広告に使うための費用(映画では各家庭に拠出するお金)によって、次世代の公立の無償化が進んでいることになっている
あくまでもティルパティが面目を保つために拠出しているのだが、それらは全て私立に通っている生徒の親が肩代わりしていることになっている
この構造は決して世には出てはならないが、ティルパティも広告のために買収していることを知られたくはないので、ある種のWin-Winに見える
そう言った意味も含めて、頭の良い人は「仕組みを作る」のだなあと、関心させられるのである
いずれにせよ、ここまでのことをモデルの教師がやったわけではないが、インドの現在の教育実情を踏まえて設定に落とし込んでいるのだと思う
富裕層の強欲と見栄を逆手に取って行くことになるのだが、現実ではこうも簡単には騙されないように思う
だが、試験の上位45人が同じ公立の出身者であるという実績は私立にとっては将来を突き崩す要因にもなっているので、そうせざるを得ない部分もある
バーリ先生はそれすらも読み切って生徒たちにメッセージを送っているので、彼が私立の経営を行えば、もっと格差が広がるのではないか、と思った
彼がそっち方面に行かなかったのは恩師アンサーリ(ハーリッシュ・ペーラディ)のおかげなのだが、彼がその方針でバーラ先生に教育を行なったからこそ、優秀な生徒が生まれたとも言える
映画のタイトルは「先生」という意味で、バーリ先生にもその言葉が当てはまるが、源泉を辿ればアンサーリに送られる言葉なのかな、と感じた
すべての子供たちに平等な教育機会を与える
1990年代のインドを舞台に公立学校に着任した教師の教育に対する情熱を描いた物語。すべての子供たちに平等な教育機会を与えたい、インドにも子供たちの未来を最優先にした教師がいることに安心しました。
2025-63
インド映画は裏切らない
テンポの良い展開と、ピンチの後の、スカッと場面が満載。さすが、インド映画!とっても楽しめました。そして、バーラ先生、素敵、強すぎ。受験に向かうバスの座席後方からターバン巻いたバーラ先生が現れるところ、かっこよかったーー!
貧富の差、教育の格差がある中で、学びを渇望する人々に等しく教育の機会を与えることの尊さ、バーラ先生の一貫した姿勢に感動しました。
当たり前に教育の機会を享受し、今があることを感謝したいと思います。
直球ド真ん中に豪速球ストレート!
情熱を胸に
「インド映画」へのイメージが変わった
今年映画館で観た15本の映画の中で最高
よその国。過去の話。単なるフィクション。……それだけで すまして?……
2023年製作のインド タミル語映画
現代のインドで、ある青年は廃業するビデオ店で隠されていた録画テープを発見する。青年は数学を志しているが難問を簡単に解説する人に興味を持つ。たどり着いたその人は、30年程前のことを語り出す。
インドで今も根付くカースト意識と貧困から子供達はまともに教育をさせてもらえない。家族も多く、働かなければ生きていけない。逆をいえば働けば生きていける。しかし本当は子供達は勉強がしたい。今のままでは現状は変わらない、勉強で変えることができる。理解してもらえない親に、必要性を説く。
勉強がしたくてもできない。だから学びに貪欲である。ある国は勉強の機会が当たり前で、そのありがたさを知らない。だから、しない事も権利だと思う人もいるかもしれない。
公立と私立の待遇の格差。金儲けとしか考えていない人や悪徳警察も出てくる。30年前のインドが舞台だが、ある国の現状は果たしてどうなのだろう。公立と私立。平等が果たして平等なのか。新たな格差は生まれないのか。
泣ける
あんまり需要がないのか早々に終わりそうな印象だったので、あんまりな作品なのかと思いつつ観たけど結構良かった。
インドの抱えてる根深い問題(カースト制にまつわる問題)をいかにもな主人公、いかにもな悪役役人、いかにもなヒロイン、いかにもな三枚目が演じ、いかにもな終わり方をする。
でも泣ける。
くっそーこんなわかりやすいもので号泣してたら恥ずかしい...と思っていたら隣からもすすり泣き。
インド映画らしい踊りやちょっとしたオフザケありでほっこりもできる。
日本だって金や権力で回っているのだろうけど、インドなんかはもっとわかりやすくそうなんだろな。
ただただの夢物語じゃなくて、ちゃんと権力に逆らう事の怖さも現実として表現されていて、私はとても気に入った。
作中の曲もとても良い。
何かを叩く、殴るシーンの重々しい効果音が印象的。
実際に差別されている人達の抑圧された思いの解放させる意図があるのではと感じさせる。
想定を超える展開
いい先生が、生徒たちを上手に導いていくストーリーってのは今までいろいろな作品があったと思うけど、本作はそのイメージを超えていく。
なんせ、笑いとアクション、もちろんダンスを入れていくので、「荒唐無稽」って感じすらするんだけど、それが良いほうに作用している。
「勉強をしろ」「差別をするな」「親子の絆」なんてことを、まっすぐストレートに言うってのは、イマドキかなり難しかったり、恥ずかしかったりするんだけど、インド映画ならそれができるのね、笑いとアクションとダンスがあるから。
強い男はカッコいい、美人は美しい、なんてハリウッドだとちょっと難癖つけられるようなこともシンプルに楽しめる。
もろもろ複雑化した現代において、子どもたちに語り聞かすおとぎ話や教訓話として、若い人に見てほしい。
もちろん古い人も楽しめる。
インドで先生の映画を作るとこうなるのか!
知らないインドカルチャーが豊富だった
インド映画としては短めの2時間強で、話は単純明快で分かりやすく、ファミリーでも楽しめそうな映画です。
短い中でも歌やダンスはしっかりあります。
個人的に、知らなかったインドカルチャーが沢山表現されていて、そこも見ていて楽しいポイントでした。
天の神様の言う通り〜プッカプッカ?
見た事のない形の傘
ヤギ?の穀物運び
うつ伏せに寝てムチの刑
などなど
青空学校を破壊するシーンや、バスの給油口に砂を入れるシーン、今まで勉強してきていない子達には難しすぎる授業内容など、ツッコミたくなるところも多く、真面目な映画なんですが…全体的に面白いです。
エンドロールの途中で曲が終わったのも、音声機器が壊れたのかと思ってしまいました。笑
通常の上映でしたが、最後に観客の拍手がありそれも思い出の一つとなりました。
(オンライン試写会は常にネタバレ扱い)/数学に興味がないと厳しいか
今年99本目(合計1,641本目/今月(2025年4月度)2本目)。
オンライン試写会に招いてくださったfansvoicejpさまにご感謝を。
一部はインドの教育事情に着想を得て作られた作品ということですが基本的にはフィクション。また、インド映画としては珍しく120分級なのもよかったです。なお、アルコールを飲むシーンはそこそこ存在しますが、例のごとく謎の警告表示はなかったのでそれ好きな方は(私だけか…)は残念ということで。120分と「インド映画としては」短めですが、なぜか(オンライン試写会での時間表示で)最初の2分がずっとCMだったり、突然ブッダ像が出てきたり謎といえば謎の展開ですね。
内容としては、私立高校と公立高校の対立(インドにもその当時、現在でも、日本でいう共通テスト(旧センター試験)があり、その点数を競っていた)を扱う内容で、そのサブ筋にいわゆるカースト制度や児童労働といった論点が入ってきます。「多少は」アクションシーンやダンスシーンはありますが、どちらかというと問題提起の映画かなといった感じです。
個人的に見ててきつかったかなと思ったのが、数学ネタマシマシで来るので(実際には理系ネタが大半か)、そこの好き嫌いがかなり分かれそうかなと思うところです。しかも答えは出てきてもその説明(証明)がないので…。もっとも、映画内でVHSショップに行くだの、(今時)VHSを再生するだのといったマニアックな話や、かと思えば「成人映画館がどうこう」の話(ただ、このネタとしか思えない部分は後半実はポイントになる)とか話が飛び飛びなのが、観ていて判断が分かれるかなと思います(内容的に問題提起型の映画と考えるのが普通なので)。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/最初に出される問題について何の記述もない)
この「宿題」とされる問題は実はこの後にももう一度登場します。問題はというと、
f(x) = (sin^2 x + cos^4 x) / (cos^2x + sin^4x) とするとき、 f(2022)はいくらか?という問題です。三角関数で2022という値を入れているのも気持ち悪いですが(ここだけ度数法?)、これだけ出てきて「答えは1だ」という割に証明がなかったり、「加法定理がどうこう」という話を突然始めたりと、字幕がちょっと丁寧ではないかなと思います。
(証明)
sin^2 x + cos^2 x = 1 であるため、
f(x) = (sin^2 x + (1-sin^2 x)^2 ) / (cos^2 x + sin^4 x )
=(sin^2 x + 1 - 2sin^2x + sin^4x) / (cos^2 x + sin ^4x )
=(1 - sin^2x + sin^4x) / (cos^2x + sin ^4x)
= (cos^2x + sin^4 x) / (cos ^2x + sin^4x) ※ sin^2 x + cos^2x + 1のため
= 1
…であり、「常に」1なので、2022を入れても1であり、そのことを言っているのですが、この式変形をいきなりやれって言われるとちょっと厳しいかなと思います。
ほか、物理についても「スネルの定理」(光の屈折に関する定理)等、マニアックな語句が出てくるのが、ちょっと人を選ぶかなという感じです。
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