「いい所はあったけど矛盾やちぐはぐ感がある。」ミッシング・チャイルド・ビデオテープ モザイクさんの映画レビュー(感想・評価)
いい所はあったけど矛盾やちぐはぐ感がある。
いい所はありました。
カセットテープの音声を掛けながら主人公が山岳部員の恐怖を追体験して行くシーンは、なるほど新しい表現だし、しっかり恐怖演出として成立していていいアイディアだと思う。
ただ、全体的にストーリー上の矛盾やテーマのブレがかなり目立つ。
正直これって近藤監督がアイデアとかやりたい事だけ聞き出されて「じゃあ、あとは俺が作るから」って清水崇がやったんじゃねぇの?っていう出来だった。
いつもの余計な事すんなよみたいなオンパレード。
山歩いてたら真新しい骨壷が沢山あってひえ〜怖いよ〜みたいな。
そこで「あ、これは清水が出しゃばったんだな…」と気付いてしまった。
どうしてもそこからもアイディアは近藤監督なのかな?
みたいな小ネタとか怖い話要素がたくさん出ては来たけど1つ1つが正直繋がってない。
こういう小ネタを沢山作って適当に散りばめた感をすごく感じてしまった。
そのせいで話の内容に矛盾やチグハグ感がすごく生まれてしまってる。
子供の頃にビデオ撮ってたって言ってたけど当時の自宅から車で三十分だか一時間ってどういうことなの?
子供の足でそんな所まで行けるか?
しかも、弟はどうやってそこまで着いてきたんだよ。
別に車で15分とかにしとけば良かったじゃん。
伏線かと一瞬思ったけど全然そんな事ないし。
映画作ってて気付かないもんかね?
熊鈴の音とかもやたら恐怖要素としてキーアイテムにして流してたけどそれって別に何も悪い因縁も無かったじゃん。
昔見つけた子供にあげただけでしょ?
良かったね!っていう出来事の時に鳴ってた音流してなにかホラー的な意味ある?
熊鈴の音って普段聞かないしなんかそういうの聞こえてきたら不気味だよね?いいじゃん!っていう安易な理由だけで使ったんじゃないの?
あと、致命的だったのがテーマがブレブレになってたこと。
途中まで見ててこの映画は「捨てる」ということに関しての恐怖や人間の感情、影響とかをテーマにしてると思ってた。
でも、山岳部の部員たちの話が出てきた時点でそのテーマも意味ないものになってしまった。
捨てたいと思ったり、要らない、縁を切りたいとかそういうことに反応してなにか超常的な力が働くもんだと思ってた。
でも、山岳部はそういうの一切抱えてないわけじゃん?
クライマックス前のカセットテープの音声聞きながら追体験するシーンがすごく良い感じだったからそれ入れるために原作にも無かったのに無理矢理入れた感。
せめてちょっとでいいからそれやるんなら部員内での不和を描くとかしとけば収まりも良かったろうに…。
この映画全体を通して見てて思ったのは
なんか意味深で怖そうなシーンいっぱい撮ろうぜ!
ストーリーは原作から適当に膨らませればいいでしょ!みたいな適当さ。
なんで日本のホラー映画っていつもこうなんだろう。
人が死ぬとか、呪いとか骨壷(笑)とか安直な恐怖の要素を適当に入れれば怖いと思ってる。
小学校の図書室にあった「学校の怖い話」の本から何も成長してない。
せっかくそう言う幼稚な恐怖表現から脱して何とか恐怖を表現しようとしてる作品を原作にしてるのにこれじゃなんの意味もないよ。