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私、LGBTQ+問題についてはLGBはどうぞお好きにお幸せにと思っていて、TQ+に対しては懐疑的な立場です。この映画はTの当事者への理解を深めることができるかなと期待して見に行きました。
けど、薄いなぁ。内容。短い映画だから仕方ないのかもしれないけれど。
主人公はFtMのトランス男性と、そのパートナーである(多分)シス女性。トランス男性は男性ホルモンの投与を受けていて男性として働いていているが、どうやらまだ子宮はあり戸籍も女性のままの様子。
トランスしたことで父親に病気呼ばわりされ、家族と微妙な関係になって長らく実家に寄り付かなくなっていた主人公が、事故に遭って病院に搬送されたことで両親と再会し、父親に息子と呼ばれ、パートナーとの結婚を祝福されてのハッピーエンド。
主人公が何故トランスしたのかは描かれていないのだが、映画が始まってすぐ、主人公はまだ子供で、父親が脚立にのって家の修繕をするシーンがある。主人公は大きくなったらお父さんみたいになりたいというのだが、それに対して母親が、それは無理だ、お父さんみたいな人と結婚すればいい、というような返答をするのが、おぞましくて初っ端から反吐が出そうになった。なんで大工仕事が得意で頼りがいのあるカッコいいネーチャンになるんじゃいけないのかね?結局トランスジェンダーって、周囲からジェンダーステロタイプを押し付けられて内面化してしまった人の病理に過ぎないんでないの?との思いを強化されてしまうシーンであった。こんなシーンを描いたらトランスジェンダーへの理解には逆効果じゃないの??
一方で、マイノリティ故の辛さや困難さは分かりやすく伝わりました。
男性ホルモンを投与した病院での会計で、男物のスーツを着た主人公が女名前で呼び出されるところとか、やはり見ていて気の毒でした。治療にあたる医者は身体的な性別を把握しているべきだけど、会計の呼び出しくらい配慮しろよ~。
主人公が病院に搬送された時も、パートナーは婚姻関係でないがために面会や説明への同席を阻まれたり。まあ良く聞く話だし、トランスや同性カップルに限った問題じゃないけど、一つのミニマムな社会的単位として助け合って生きていくと決めた人達に対しての法律的な保護はもっともっと必要だよね。
残念ながらこの映画ではトランスジェンダーへの理解は全く深まらなかったし、内容の薄い映画だったという印象も拭えませんが、よくまとまっており飽きるところもなく、ハッピーエンドで後味も悪くないので、見て損をすることもないです。
どんな身体でもなりたい自分になれる、と思えていれば良かったね、主人公。