「息が詰まるようなアクションとスタントの現場に肉薄」ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
息が詰まるようなアクションとスタントの現場に肉薄
仕事の絡みがあっていち早く鑑賞する機会を得たのですが、王道のメイキングドキュメンタリーでありつつ、ちょっとそこらのメイキングものでは味わえない類の感動が去来する、一本の映画になっていた。
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の撮影は過酷だったこと、肉体的精神的にも追い詰められていたことはまひろ役の伊澤彩織がいろんなインタビューで語っていることだが、映画を見てもアクションシーンの凄さに「大変だったんだろうな、すごいな」という「よくやったね」的な感想に落ち着いてしまう。しかし、映画はOKテイクを繋いだもので、撮影現場がどれくらい過酷だったのかは最後までわからないし、観客として映画を楽しむために裏事情まで知る必要はない。
とはいえこのメイキングは、アクションの撮影がどれだけ身を削るものなのかを、克明に記録し続ける。あの凄まじかったラストバトルが、もはや一流アスリートにしか見えない、身を削るような努力と熱量によって生み出されていたかを目の当たりにする。もはや畏敬の念をもって見守るのみ。アクションやスタントというものが、実に生々しく迫ってきて、こちらもぜいぜいと息が上がる錯覚に陥る。
ほかにも次々と撮影現場を襲うトラブルの数々など、「映画制作の映画」でおなじみのピンチがわんさか襲ってきていて、非常にエキサイティング。よくもまあここまで赤裸々に見せてくれたものだと、感心と驚きと戸惑いと感動が一度に襲いかかってきて、なんだかおかしなテンションになりました。
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