劇場公開日 2025年2月7日

「愛する人を死なせたくない」ファーストキス 1ST KISS cinemackさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5愛する人を死なせたくない

2025年4月9日
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泣ける

笑える

悲しい

日本の若い男優はおおむね苦手だ。あまり日本映画の新作を観なくなった要因の一つはそれ。
でも昨年の『夜明けのすべて』に出ていた松村北斗くんはよかった(そのとき初めて観たわけだが)。その松村くんが主演の評判の映画をやっと観た。
これが、とてもよかった。松村くんがすばらしくいい。共演・松たか子もとてもいい。どういいのかは、自分の目で確かめてほしい。何度か笑って、後半はたびたび涙がわいて出るのを止められなくなった。そしてラストには二人を抱き締めたくなる。

結婚して15年、倦怠期がつづき、もはや修正のきかない不仲となった夫婦。離婚届を出す予定のその日、事故で突然夫が死んでしまう。
残された妻カンナ(松たか子)は、ある夜首都高の事故をきっかけにタイムトラベルする術を手に入れる。 戻った過去には、二人が初めて出会った頃の夫カケル(松村北斗)の姿があったーー。
若き夫と出会う15年後のカンナ。二人は恋に落ち、やがてカンナは「カケルを15年後に死なせたくない」とさまざまな手を打つのだが…… 年上のおばさんとなった松たか子のコメディエンヌぶりが可愛い。もともと嫌いじゃないが、この松たか子は猛烈にいとおしい。彼女は思う。「わたしはやっぱりこの人のことが好きだった」。

脚本もいいのだ。タイムスリップやタイムトラベルを扱う〝タイムリープもの〟の映画は、それなりの覚悟を決めないと作れないと思う。時空を勝手に移動したり、現実には会えないはずの人に会えたりするのは、下手すると安直なご都合主義に終わってしまう。物語への謙虚さと映画への誠意が重要で、本作や『侍タイムスリッパー』はその稀な成功例だと思う。
こんな映画に出会うことはそうそう多くない。大切な人を失くしたことがある人にも、そうでない人にも、だれかを愛している人にも、愛する人なんていないという人にも、おすすめしたい秀作。いやすでに名作と言ってしまいたい。

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cinemack
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