劇場公開日 2025年2月7日

「「靴下だけは丁寧に撮ります」【2月21日追記】                ⏪️「私も彼の靴下を履いていました」」ファーストキス 1ST KISS ひなさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「靴下だけは丁寧に撮ります」【2月21日追記】                ⏪️「私も彼の靴下を履いていました」

2025年2月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

【カケルとカンナの靴下】
この映画の「靴下」は、“愛情”を象徴する小道具として登場します。

恋愛感情と靴下の片方はいつか無くなってしまったり、新婚時代は彼の靴下を二人で履いていたのに、別々に洗濯をするようになったり。

最後のタイムトラベルで、硯駈(松村北斗)に15年後の悲しい未来を伝える硯カンナ(松たか子)。駈の目線がカンナが履いている駈の古い「靴下」に気付いた時、駈の心を動かします。

離婚しようとしていた駈を、カンナはずっと愛していたこと。2人が結婚しないようにしてまで、カンナが駈の命を救おうとしていること。駈は15年後に自分が死ぬ未来だとしても、カンナと結婚生活をやり直す選択をします。

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【坂元裕二さんのネタバレ】
坂元裕二さんが気にしていた「ネタバレ」ってなんだろう、と考えていました。

映画の宣伝コピー「神様どうか、私たちが結ばれませんように」や予告で、駈が死ぬ未来を変えようとカンナが過去にタイムトラベルを繰り返すことは、既にネタバレされています。

カンナが駈と結ばれる赤い糸を切って、最後のタイムトラベルのために家を出る時、2人が15年間の結婚生活を過ごした家の中を見渡す、その数秒間にカンナの想いが溢れていました。

駈の手紙にも、「幸せな15年間でした。君と一緒に食事をすることは、15年前にタイムトラベルすることよりも奇跡でした」と、2人の“日常”が綴られていました。

坂元裕二さんが映画館で観て欲しかった「ネタバレ」は、2人のこの15年への想いと決断なのかなと思います。

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【塚原あゆ子さんのミルフィーユ】
電車の人身事故は、冒頭のスローモーション、事故現場での遺品回収、血の付いたレシート、脱線事故のニュースなどリアリティがありました。事故の解像度に比べて、タイムスリップが論理的整合性に欠けていて不思議でした。

いつも眠そうにしていたカンナが寝落ちした「夢の中」で、タイムスリップして出会い直した駈と幸せな15年の結婚生活を過ごして、夢から覚めたら餃子を焼く前だった、なのかもしれない…1回目に観たすぐ後の感想です。

2月14日付のORICON NEWSで、塚原あゆ子監督のインタビューを読みました。「“タイムトラベルもの”のミルフィーユ状に重なった可能性」について語られていて腑に落ちたので、一部を引用します。

「過去の出来事は変えられないけれど、違う視点で捉え直すことで、許せることや受け入れられることが増えるのではないか。
たとえば長年ギクシャクしていた夫婦でも、『最初に出会った頃の彼の顔を思い出したら?』と考えることで、違う選択ができるかもしれない。
そういったやさしい決断ができるかもしれない、という可能性を描いた映画です。」

坂元裕二脚本の、『最高の離婚』の細かくて面倒くさい濱崎光生(瑛太)、優しくて冷たい2面性の上原諒(綾野剛)、『花束みたいな恋をした』の元カノが忘れられない山音麦(菅田将暉)。

『ファーストキス』の硯駈(松村北斗)は、彼ら3人の“後悔”も、「ミルフィーユ」でやり直してくれたように感じました。

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【松村北斗さんの主演男優賞】
ちょうど1年前に公開された『夜明けのすべて』の私のレビューより。

「W主演の松村北斗さんは、旧J事務所というバイアス無しで評価されるべき俳優。演技の仕事に集中できれば、菅田将暉さんや磯村勇斗さんのような俳優を目指せる可能性を感じました。」

SixTONESの活動と俳優を両立させて、20代でキネマ旬報主演男優賞を受賞。『ファーストキス』公開2日前の2月5日午前0時、公式X発表とNHKニュースを見て、驚きとうれしさで深夜に騒ぎました。ほっくん、おめでとう!

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P.S.
映画館は女性が多く、カップルやご夫婦の姿も目立ちました。一人で来ている男性も何人かいて、この映画を選ぶ男の人って、なんかステキだなと思ってしまいました。

1回目は、映画好きの友達と観に行きました。
2回目は、大好きな人と観に行きたいと思っています。

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【2月21日追記】
2回目の鑑賞。今日は涙は出ませんでした。ラストの2人のような笑顔で、「ありがとう」と伝えたい気持ちで観ていました。

再々入荷で購入できたパンフレット。オフショット写真集・とうもろこし・花屋・Tシャツ・餃子・レシート・付箋・手紙・ポラロイド写真…すぐ売り切れてしまう理由が分かりました。

[コラム]に岡室美奈子教授の「夫の靴下を履く女」。[プロダクションノート]に山田兼司プロデューサー・坂元裕二さん・塚原あゆ子監督の「靴下だけは丁寧に撮ります」。
2回目の鑑賞は、パンフレットの「靴下」に泣いてしまいました。

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P.S.2
『ファーストキス』で思い出した映画が2本。『ラン・ローラ・ラン』と『エターナル・サンシャイン』。

恋人の命を救うため過去に戻ったローラ(フランカ・ポテンテ)が、20分のタイムリミットでベルリンの街を疾走し、スピード感のあるタイムループで変わる運命と3パターンの結末を描いたパラレルワールド。1999年公開ドイツ映画。

ケンカ別れした互いの存在を忘れるために、記憶除去手術を受けた恋人ジョエル(ジム・キャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)。「人はナゼ人を好きになるのか」の本質を描いたラブストーリー。2005年アカデミー賞脚本賞受賞、2024年製作20周年記念特別限定上映。

ローラとクレメンタインの髪が同じオレンジ色だったのは、不思議なシンクロニシティです。

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2月13日・2月21日映画館で鑑賞
2月15日★★★★★評価
2月15日レビュー投稿
2月21日レビュー追記
2月25日レビューP.S.2追記

ひな
Mさんのコメント
2025年2月26日

パンフレット、買おうとしたら売り切れでした。再入荷を聞いたのですが、「わかりません」とのこと。
次に映画館に行く時には、入荷されていればいいのですが・・・。

M
どん・Giovanniさんのコメント
2025年2月26日

ひなさん、『エターナル・サンシャイン』へのコメントどうもありがとうございます。
相手のことをよく知っているけど、その相手は自分のことを全く知らないというシチュエーションが面白いポイントだなと思います。
相手が初々しいだけで、なぜか自分まで新鮮な氣持ちになる感覚があります。
ここにコメントするのも3回目になってしまいました。松たか子さんが扮するカンナは、何回過去の駈に会いに行ったのかを数えていたのかはわかりませんが、行くたびに新鮮な氣持ちだったのだろうと想像に容易いです。

どん・Giovanni
kazzさんのコメント
2025年2月26日

パンプ、売り切れてるんですかね、私が行った劇場では売ってなかった気がするんですよね。次に劇場に行ったら、探してみます。
キネ旬の表彰式は、コロナ前までは毎年行ってました。ベスト・ワン作品の鑑賞会がセットで、3本観た後に表彰式だったので、朝から晩まで会場の中でした。
コロナ後は鑑賞会もなく、会場が渋谷に変わって遠くなったので行ってないんです。
ネット中継も今回は見逃しました。スピーチの時間制限もなくて、面白いんですよね、キネ旬のは。
また、鑑賞会を復活してほしいものです。

kazz
みかずきさんのコメント
2025年2月25日

フォローありがとうございます

私、2015年くらいから、キネマ旬報、kinenote、地元紙などに映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報採用です。
宜しくお願いします。

ひなさんの本作レビュー、共感数も多く絶好調ですね。
作品愛を強く感じるレビューですね。
今後のレビューも楽しみにしています。

では、また共感作で。

みかずき
Tonさんのコメント
2025年2月24日

靴下、愛おしい小道具です。最後の日常の風景、帰り道や朝食のシーンも好きでした

Ton
たかなさんのコメント
2025年2月23日

ひなさん、こんばんは
コメントありがとうございます。
ほっくん呼びは初知りです笑
グループでわちゃわちゃやってる感は可愛いけど、俳優業は上手いなぁって思いますね!
私は映画を観た後に自分に置き替えたりしながら妄想が続いてます。いつまでもラブラブな夫婦は今さら無理だけど、お互いに居心地いい夫婦は目指せるかな?なんて今は思ってます。

たかな
ノーキッキングさんのコメント
2025年2月23日

お久しぶりです。2件の共感ありがとうございます。コチラは明るくて賑やかですね。お元気そうでなによりです。

ノーキッキング
sow_miyaさんのコメント
2025年2月21日

いいパンフレットですよね。
自分もセプテンバー5を観に行った時に、入荷していて、そこで購入しました。
自分は、手紙が泣けました。

sow_miya
どん・Giovanniさんのコメント
2025年2月21日

パンフレット購入おめでとうございます。
てっきりすでにパンフレットをお持ちだと思って33ページなどとコメントしてしまいました。
ちなみに私は、パンフレットのトウモロコシの写真を見て涙が出ました。不思議なパンフレットです。

どん・Giovanni
kazzさんのコメント
2025年2月21日

今回のキネ旬の主演賞を得た若い2人、日本アカデミー賞より名誉だと思います🥰

kazz
kazzさんのコメント
2025年2月21日

コメントバックありがとうございます。
松村北斗って、ファンからは「ほっくん」て呼ばれてるんですか…
「やっくん」「もっくん」「ふっくん」の伝統ですかね…古くてスミマセン🙇

kazz
kazzさんのコメント
2025年2月21日

松村北斗さん、男でも見惚れるイイ男ですね。
スッキリしたルックスにあの声のトーンと喋り方ですからね。
私のようにギャンギャン喚くことなんかないんでしょうね…

kazz
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年2月20日

共感どうもです。
観客は8割以上が女性でしたが、私は一人で来ていた男性でした。

Mr.C.B.2
なかじwithみゆさんのコメント
2025年2月19日

共感・フォロー・丁寧なコメントありがとうございました🙇
これからも宜しくお願いします😀

なかじwithみゆ
みかずきさんのコメント
2025年2月17日

共感&コメントありがとうございます

ひなさんの私のレビューへのコメント、2月15日の夜に読んだ記憶があるのですが、2月16日には見当たりませんでした。
私の勘違いだったらすみません。

さて、ひなさんのレビュー、
様々な視点で本作を捉えていてお見事です。
確かに、靴下は本作のキーアイテムでしたね。

私は、前半の頻繁なタイムトラベルでのカンナとカケルの会話の多さに着目しました。冒頭の倦怠期のカンナとカケルの会話の少なさとは対照的でした。やはり、人間関係はコミュニケーションだなと感じました。

私もカミさんとのコミュニケーションが多いとは言えないので、
数年前から料理を始めた次第です。

では、また共感作で

ー以上ー

みかずき
どん・Giovanniさんのコメント
2025年2月16日

コメントどうもありがとうございます。
ひなさんのレビューを読んで、パンフレットの33ページにあるミルフィーユ状について語っている個所を読み返し、再び感動しました。
反芻して咀嚼して楽しめるように、いつでも読み返せるような持ちやすいコンパクトサイズのパンフレットに愛を感じます。
15年間を愛されながら過ごすという世界線で生きたカンナは、駈からのプレゼントである餃子をきっと丁寧に美味しく焼くのでしょうね。

どん・Giovanni
bionさんのコメント
2025年2月16日

共感・コメント・フォローありがとうございます。
運命は変えれないけれども、時の過ごし方は変えることができる。坂元監督が気にしていた「ネタバレ」は、そういうことかなって思っています。
運命を受け入れ、若い命を救う決意をし、愛に溢れた15年間を選択する。そんな結末を想像できません。素晴らしい物語だと思います。

bion
sow_miyaさんのコメント
2025年2月15日

レビューの最後の一行が素敵ですね。

sow_miya