劇場公開日 2025年2月7日

「久しぶりに映画で泣いた」ファーストキス 1ST KISS カモシカヤマネさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0久しぶりに映画で泣いた

2025年2月13日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

悲しい

実はあまり期待していなかった。
けれど坂元裕二氏の脚本する作品が大好きなのと、塚原あゆ子監督の表現する映像世界に最近ハマっていたこともあり、見てみたいと思って劇場まで足を運んだ。

ちょっとラブコメ性があるというので、そこは楽しみにしていた通り、クスっとなれる場面がたくさんあって、近年の松たか子のコメディエンヌが活きていた。
松村北斗という俳優は初見で全く期待してなかったのに、ものすごく役にハマっていて素晴らしかった。(元ジャニ系アイドルだったんですね。鑑賞後に知りました。先に知っていたらこの映画を観る気がなくなっていた。知らなくて良かったです。それほど良いお芝居をされていました)

坂元裕二氏の描くおかしさ、愛おしさ、切なさ、会話劇の魅力がすべて詰まっていた。
この方はハッピーエンドは描かない。こうなってくれたらいいのに、と願った通りのベタな終わり方はしない。だからいい。
いつもそこには「新しい一歩」や「かすかな希望」があり、胸に沁みて、深く残る。

この映画を観た多くの人が『未来が変わる』大団円なハッピーエンドを期待しただろう。わたし自身、それを望んでいた。それほど登場人物に感情移入していたからだ。
でも坂本氏はその通りには描かない人だと言うのも、知っていた。知っていても望んでしまった分、涙はどうしようもなく流れた。

塚原監督は音楽で泣かせようという下手な演出を全くしていなかった。主人公2人の会話だけで、その想いの深さや強さが伝わってきて、哀しさがこらえきれない。

映画でこんなに泣いたのは何年ぶりだろう…
終わった後で放心。
余韻がすごい。
帰り道も、次の日も、何度も思い返してしまうし、ついつい、ハッピーエンドになる展開を妄想しては、自分を慰めてしまう。
もう一度観たいシーンがたくさんある。
また劇場に足を運びたい作品。

⦿補足ですが、松たか子の15歳若い時の風貌(昔のキムタクドラマに出てた当時みたい)と、松村北斗が15歳加齢した風貌(ほんのり中年太り)の生身の映像に驚きました。
どうやらCGとVFX技術が用いられてるそうです。もちろんそれぞれの役者の演技にもちゃんと細かな違いがあって、年相応に見えたので、違和感なくストーリーに入り込めます。

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カモシカヤマネ