嗤う蟲のレビュー・感想・評価
全117件中、61~80件目を表示
惜しい所
序盤から村の名前とか台詞で匂わせが凄くて
きっと村ぐるみで「野菜」作ってんだろうなぁと思ってたら案の定だったのと
中盤に突然なんの脈絡も無く嫁が「野菜」農園見つける所と
村は「野菜」で潤ってるハズなのにあんまり潤ってる描写がないのと
嫁が急にSNSの使い方忘れてる所
以外は良く出来てたと思う
「野菜」をちゃんと卸してる描写があったのはちょっと感心した
まぁそのルートどうやって見付けたのかは気になる所だけど(笑)
個人的にはもう少しグロい秘密があって欲しかったかな
ちなみに劇中では「野菜」作りは繊細で大変みたいな話あったけど実際の所はほっとけばいい
コロンビアの山奥の村とかの貧困層は「野菜」作りがないと暮らしていけないっていう事実は実際あるらしいね
これは売ろうと思って作った作品だなぁ
俳優の若葉さん、田口さん、片岡さん、杉田さん好きです。
城定監督、大好き。
脚本の内藤さんの作品も好きです。
(「許された子どもたち」名作ですよ)
なのに・・・・この作品は一体なんなんだ・・・?
映画を観すぎちゃったからなんでしょうか?
全く面白くない、怖くない、先がバレバレ。
スリラーでもない、サイコでもない。
ヒタヒタと歩み寄ってくる黒い影なんか
まるで感じない。
あれ?これはもしかしてコント???
田口さんの顔芸・・・もう、笑かしに来てるのか?
って思っちゃうほど。
どこを怖がれと・・・?
ラストの幕引きも・・・あれ、無理じゃん。
おまえそれ作ったことねぇだろ。
その短時間でできねーだろ。そんなこと。
などとつい理論的になっちゃいました。
あまりに乱暴な結末。
村社会のじわじわ来る怖さってあると
思います。だけど、それってもっと漠然とした
物だと思いますし、こんなにわかりやすくしちゃう
と、本当に怖くもなんともないのです。
「ムラってこうなんでしょ?」なステレオタイプ
満載で・・・。
正直「ミッドサマー」のような異様な健全さと
違和感を味あわせてくれるのか?と思いきや
とても分かりやすくなった、説明映像がタップリ
のお茶の間で楽しめるホラーもどき映画でした。
きっと深川さん売り出し作品なんだろうなぁ。
がっかり。
城定監督、「悪い夏」マジで期待しています。
あ、唯一
仲直りHを始めるシーンのなまめかしさは
さすが監督!でした。
リアルで怖い
唯一怖かったのは…
話自体の作りは既視感に溢れてたが、プラスアルファ、復興の資金源にアレを出す事で村内体制の理由補強とオチをつけ、『村』という陸の孤島に根強く蔓延りやすい風習・因習と強く結びかせ、よくニュースで目にする『ムラ』社会の雰囲気を、田口さんを筆頭とする演技で、徐々に狂気の熱が昂まり暴走、崩壊していくまでの過程を独特のカラーに仕上げていたと思う。
残念なのは色々察しが着いてしまった事と、自分がこういうタイプの映像を数多く直近で目にしてしまっていた事で3点。(映画はプロット派)
唯一怖かったのは、あの奥さんの事件に誰も言及せず、まともな筈の主人公(深川麻衣)まで最後までほぼノータッチだった事。普通の神経なら引越しするんじゃないかな…あれはムラじゃなくても都会でも起こり得る事だと思ったし、敢えてあそこだけぽっかり映画の中で孤立している作くりが意図されていたら、俺には届いてると書いておきたい。
プロットが既視感に溢れると演技力に重点をおいて評価するんですが、劇画タッチのムラ人の演技と引越してきた主人公夫婦の写実風(一般)演技の対比が良かったし、後半辺りから深川さんが「REゼロ」のペテリギウス・ロマネコンティ司教の様な顔つきになって、ラストにアクが抜けていく姿に「戻ってきた」感があって、あるあるのあの下界とムラを繋ぐ橋を越える映像を使わなかったのは正解だと思った。
ああいう理不尽が家族単位で襲いかかって来る場合、不満をウチに秘めて、そのナカで解決をしようとする人達(その代表例が隣人夫婦)が実社会には多いけど、ダメな旦那を尻目に、あくまでも外にある悪因に直接仕返しできるのは(だから映画になるんだけど)素晴らしいし、最後は乗せてあげてくれてありがとうと思った(笑)
最後のセリフ、その時は違和感あったけど、『帰るよ』じゃなくて『○○○』だった気がするんだけど、『蟲師』のストーリーにある様な魑魅魍魎に取り憑かれた場所からの帰還なんだと思う。
どうした!城定秀夫
何が起きても生き残るのが蟲たちの強さであり、それを踏み潰せても強くはなれないのだと思った
2025.1.29 イオンシネマ久御山
ある閉鎖的な村でのスローライフを考える若者が、村のしきたりに巻き込まれる様子を描いたスリラー映画
監督は城定秀夫
脚本は城定秀夫&内藤瑛亮
物語の舞台は、日本のとある場所にある「麻宮村」
東京からスローライフを目的に移住してきた長浜杏奈(深川麻衣)と上杉輝道(若葉竜也)の夫妻は、自治会長の田久保千豊(田口トモロヲ)から農地を借りることになった
輝道は無農薬栽培を考えて始めるものの、虫の被害に悩まされ続け、やむを得ずに農薬を使用しての農業に切り替えていく
杏奈はリモートで編集者(永田彬)と打ち合わせをしながらイラストを完成させ、お互いの仕事に干渉しないようにしていた
彼らの隣には三橋剛(松浦祐也)と妻・椿(片岡礼子)が住んでいて、どうやら妻の方は何らかの病気を抱えているように見えた
輝道は村に馴染もうとして自治会に入り、祭りの準備などを手伝っていく
杏奈はあまり関わりを持とうとしなかったが、輝道の付き合いに付き合わされる格好になり、不本意な会合に出席せざるを得なくなっていた
物語は、杏奈の妊娠がわかり、それが彼女にとって不本意な伝わり方をするところから動き出す
村人たちは「おめでとう」ではなく「ありがとう」と言い、「村の子」だと盛り上がっていく
杏奈はその狂気じみた歓迎ムードを受け入れられないのだが、田久保の妻・よしこ(杉田かおる)はまるで姑のように過干渉になり、それに従わざるを得ない状況に陥ってしまう
やがて、子どもが生まれると、さらに状況はヒートアップしていくのだが、ある日を境に、急に村人たちの態度が一変してしまう
それが、村の秘密に迫り、関わることになった夫のせいだとは、杏奈は思いもしなかったのである
映画は、実は「大麻を作って捌いていました」という村の裏の顔があり、三橋が使えないので、その代わりになったのが輝道だったという感じになっている
その交代も仕組まれたもので、夜道で輝道が三橋を轢き殺してしまったことが原因となっていて、そのことを妻に相談することもできずに、深みにどっぷり浸かることになってしまう
良心の呵責から大麻栽培に抵抗があり、一度は「休みたい」と言うものの、村八分にされたことで折れざるを得なかった
本来ならば、ここで妻に相談して、二人で逃げると言うのが最後のチャンスだったが、それすらもできずに輝道は村に残ることを決めてしまう
そんな輝道に嫌気が差した杏奈は、息子を連れて逃げようとするものの、捕まって軟禁状態になってしまい、息子もよしこに奪われてしまう
そして、運命の祭りの日を迎えることになったのである
とにかく、じんわりと浸透していく村と関係がうまく表現されていて、違和感がありながらも目的のために我慢する日々が続いていく
田舎暮らしを夢見た理由はさらっと描かれているが、幼少期に過ごした村と似ていると言う理由で引っ越すのは無茶だなあと思った
隣人がものを届けに来たり、空き家が多いなどはそこまで違和感があるものではないが、田久保が鎌を握ってニタッと笑うあたりでヤバさのエンジンがかかっていた
このあたりの「気がつけば泥沼」にリアリティがあって、自然と嵌め込まれていくあたりの演出はすごいなあと思った
ラストでは、杏奈のまさかの作戦によって、村人全員ラリホーになってしまうのだが、その中でも常用してるっぽい二人が這い出てきたのは笑ってしまった
てっきり犬だけが後部座席に乗っているのかなと思ったが、さすがに大麻使用者(犯罪者)の息子にはしたくなかったのだろう
それでも、都会に戻れば輝道は廃人になってしまうだろうし、これから先も地獄なんだろうなあと思った
いずれにせよ、田舎の閉鎖的な部分の怖さというよりは、その土地柄を利用して悪いことをしている集団につけ込まれた、みたいな感じになっていた
勤めていた工場の裏ではヤバいものを作っていたみたいな感じで、運が悪かったのかなあとも思う
ネットで何でも調べられる社会とは言え、過疎地の村の状況というものは調べようもないので、10年前の出来事を知っても同情しか生まれなかったと思う
そう言った意味において、輝道は本当に運がなかったのだが、妻の違和感を共有できるだけの夫婦間のコミュニケーションがあれば、ここまで深みにハマることはなかったのかな、と感じた
田舎恐るべし
タイトルと予告篇の印象から、もっとおどろおどろしい因習めいたものか不条理なものかと思って敬遠してたが、深川麻衣さんの評判良さげなので観に行った。
村にどんな秘密が隠されているのかと思ってたら、なんと大麻栽培。(麻生とか麻田とか、麻のついた名字や地名がたくさんあるくらい、かつてはどこでも麻は栽培されていて、稲作よりも古いらしい。もともと大麻取締法というのは、外国から入ってきた麻薬から国内の産業大麻、生産農家を守るために作られたらしい。それが一緒くたに規制されるようになったのは、この村みたいに麻薬として使用したからなのかな。現在、規制がきびしく国内での大麻生産はごく限られていて、神社等の祭事で使用されている麻もほとんどが中国からの安価な輸入物に頼っている状態。詳しくはググッてみてください。)
村に馴染んでいくために周囲にいい顔をしていく夫、家庭にまで踏み込まれたくない妻、夫婦の仲がだんだんと壊れていく様子が実に上手く描かれていて、身につまされる。
田舎恐るべし。田舎には絶対に住みたくない。田舎者だけど。
キャストが良い。
深川麻衣と若葉竜也の夫婦。
田口トモロヲと杉田かおるの夫婦。
松浦祐也と片岡礼子の夫婦。
あとは知らない人ばかり。へんに個性的な俳優さんを使っていないのが良い。普通の人が一番怖い。
松浦さん苦手だったけど(サンセット・サンライズのカツラとか)この役はばっちり合ってましたね。
そして駐在さん、見たことのない人だけどいい味出してるなと思ったら、中山功太だった。
食べりん、とか、わやだわ、とか、職場にいた三河出身の人とよく似た方言だと思ってたら、愛知県警のパトカー登場。やっぱり舞台は三河だったんだな、ロケは違うみたいだけど。
このスタッフでいろんな作品をたくさん作ってほしい。
城定監督はじめ、撮影、音楽、編集、みんな良い仕事してると思う。
良質なスリラーでした。
そして深川麻衣さんは評判通り素晴らしかったです。
#田舎移住
演出は見事だが緊張やトリックのない脚本は問題。
生ぬるい!
生ぬるいぞ城定監督!!
城定秀夫監督の新作はできるだけロードショウ公開時劇場で観るようにしています。
が、これはあまりにも生ぬるい。
もともと城定監督は優しいから、
優しい映画しか創れない。
ヴィレッジスリラー物といえば幾つか浮かぶが、正統的なアクションスリラー映画といえば
阪元裕吾監督『黄龍の森』だろうか。
村の閉鎖的風習やその背景のミステリアスな雰囲気を巧く昇華したのは、やはりシャマランだろう。
城定監督はこの作品で何を描きたかったのだろうか。
(ただ最後まで退屈せず観られる演出は、やはり城定監督、達者である。
脚本にトリックが欲しかったが。)
深川麻衣さんの事務所が製作に入っている。
若葉竜也さんのファーストショットは晴天の如くイケメン笑顔で、
こんなに清々しい若葉竜也さんの笑顔を見た記憶
がなかったので驚いた、
がすぐ何時もの若葉竜也さんに。
村の人々は、こちらから見たらイヤでたまらないが
村の人々の暮らしを考えたら仕方ないのかもしれない。
フィクションとは言えない胸くそ悪さ
深川麻衣さんのファンです。おっさんと暮らす元アイドルの映画のほのぼのさから一転、最初から最後まで胸くそ悪さの続く映画でした。しかし乃木坂OG数多くいれど、この役をここまで演じられる人は少ないんじゃないかな。
田舎あるあるで、決してフィクションとは言えないところがホラーですよね。老後は田舎暮らしなんて絶対に無理、と思っていましたが、より改めて強く思いました。
タイトルが分からないというコメントが多かったけど、主人公の仕組んだ大麻花火で笑いまくる村人達のことを指しているんだと思いましたよ。夏の火の中に狂ったように群がる蟲のように見えました。
田舎の付き合いは不可避!
怪しい予告にとてつもないB級臭を感じながらも、セリフの中に地元のものと思われるような方言を耳にして、ちょっと惹かれて鑑賞してきました。案の定と言ってはなんですが、公開2日目だというのに観客はまばらでした。
ストーリーは、田舎での悠々自適な生活を求めて、脱サラした夫・輝道とイラストレーターの妻・杏奈が、田舎での過度な近所付き合いに戸惑いながらも徐々に田舎暮らしに慣れていくが、しだいに自治会長の田久保に牛耳られているような村の雰囲気に不信感を覚えるようになり、やがて村に隠された秘密が明らかになっていくというもの。
冒頭から、スローライフに憧れる若い夫婦と、その期待を裏切るような村の不穏な雰囲気が描かれます。田舎暮らしでは避けられない地元付き合いを、これでもかと嫌な感じで描いているのがおもしろいです。初めは、ちょっとした親切、それがおせっかいとなり、プレッシャーとなり、生活に過度に干渉してきます。拒絶したくてもそうさせない圧力を感じ、気がつけば絡め取られているような気持ち悪さを、絶妙なさじ加減で描いています。
はたから見れば序盤からこの村の異常性は感じるものの、当事者から見れば正常性バイアスと初めての田舎暮らしで異常性に気づきにくく、押し切られるように田久保の言葉を受け入れてしまったのでしょう。誰でも初めての環境で、周囲の人との関係を悪化させたくはないものです。
ところで、聞き慣れた方言といい手筒花火といい、舞台は間違いなく我が地元の愛知県三河地方だと思われるのですが、エンドロールのロケ地に馴染みの地名がなくて残念でした。でも、もし本当に三河が舞台なら、あの手筒花火の構えはダメダメです!最後のハネが足を直撃しないように、「手筒側の足を必ず前に出せ!」と先輩たちに怒鳴られます。あと、田久保の妻が「けなるい」と言いますが、今どき地元の年寄りでも使わない言葉で、久しぶりに聞きました。方言監修は相当ご高齢の方が行なっているのでしょうか。
とはいえ、光の速さで広がる噂話、いやらしく絡みつくような近所付き合い、逆らえない圧のある村の重鎮などは、よそ者から見れば実際あんなものかもしれません。これからは近所に移住してきた方には優しく、いや必要以上に干渉しないようにしたいと思います。三河地方は穏やかで住みやすいところなので、田舎が好きな方はどうぞお越しくださいませ!
キャストは、深川麻衣さん、若葉竜也さん、田口トモロヲさん、松浦祐也さん、片岡礼子さん、杉田かおるさんら。田口トモロヲさんの怪演が本作いちばんの見どころと言ってもいいでしょう。
ここは治外法権
脱サラし田舎のある村に引っ越してきた夫婦が、親切にされるもどこか不気味な村人に違和感を覚え、そして…といった物語。
お化けより生きた人間の方がよっぽど怖い…なんてよく言いますが、まさにそれを絵にかいたような作品。実在する限界集落の不気味な風習とか、都市伝説的な話をYouTubeとかで観るのが好きなのでちょっと期待。
何をするにも相談する必要がある偉い人。人里離れた村は実際にこういうことがよくあるのでしょうか…?越してきた若い二人に必要以上に関わってくる人達。おっしゃる通り、おめでとう、じゃなくてありがとう、なのはちょっとトリハダモノでしたね。
最初はちょっと親切を通り越したお節介な人達…といった感じだったが、どんどんとヤバさが滲みだしていき…。
哀しきかな、俗世を離れた小さなコミュニティでは調和しないと村八分…は現実なのか。少しでもその歯車から外れればお庭にゴミだらけ。気持ち悪すぎる。
とは言え、現実ならこれで充分ヤバいが映画作品としてはもうちょっとエグさがあっても良いのかなと思いつつ、人の怖さと胸糞悪さを感じられる作品だった。
…最後はなんの描写だったのかな?
ホラーではなく、ビレッジサスペンス
本当にありそうな怖い話
たいして怖くないだろうとタカを括ってた。田舎あるあるのだとも思ってた。田舎に住んでる友人は、適齢期が過ぎると、両親が、ご近所の方から、結婚しないのは何かがあるって言われるんだとか…。私には、直接は言わなくて、両親に言うのよね…なんて言ってた。それくらいのつもりで見たから、さあ大変。気味、悪い、悪い。
タイトルに「蟲」とつくだけあって、いろんな虫が、ドアップで出てくる。吐きそうでした。「蠱毒」の話も思い出しました。
こういうの、本当にありそうで、余計に恐怖を感じました。
「田舎あるある」の詰まった怖い話。気持ち悪い虫は出てこないので安心してご覧ください。
想像していたより、ずっと面白かった。
もっとドロドロの気持ち悪い人体損壊系ホラーかと思って観に行ったら、ぜんぜんえげつないスカムなんかじゃなかったし、なんならホラーですらなかった。
これ……、タイトルで結構損してるのでは?(笑)
このタイトルだと、少なくとも「蟲」に関連する映画かと思うもん。
具体的には、某同人ソフト&アニメに出てくる●●沢症候群みたいな。
勝手に寄生系、脳内支配系の話を想像していた。
少なくとも超常的要素のあるこけおどしのきついのを。
グチョグチョで、うじゃうじゃで、
人間の断面から白い線虫がいっぱい蠢いてるみたいな。
ふたを開けてみれば、正攻法のヴィレッジもののサスペンス。
巨大な虫も、微細な虫も、出てこない。
たまに「ふつうの虫」が草に止まってるくらい。
都合の良い話ではあるが、一応すべて「理屈」で説明がつく。
たしかに「嗤う蟲」の字面から想像されるような内容の映画ではなかったので、その「落差」には新鮮な驚きがあったし、先読みできない面白さもあったけど……。
一方で、このタイトルをつけることで生じた「不利益」もそれなりにあるのでは?
結構な数の「本当はこの映画を気に入って観てくれるはずだった」お客さんが、「コレ、なんかオエー系の気持ち悪い映画なのでは?」と「敬遠」しちゃってるんじゃないのかなあ?
個人的には、制作陣が自らコンプラ的に絶対ダメだということで没にしたらしい仮題「村八分」でも(そう大規模公開ではないホラー枠なら)行けた気がするし、あるいは「つけびの村」のイメージで「火祭りの村」とか、「嗤う」を使うなら「嗤い村」とか、必ずしも「蟲」は使わなくてよかったのでは、と思う。あとは「#田舎生活」「#田舎に移住しました」とか。
― ― ― ―
内容的には、まさに「村八分」の話。
いまやこんな村はないだろうと思っておられる方もいるかもしれないが、農村部でこれに近いことは、現代でも頻繁に起きているはずだ。
田舎暮らしにあこがれて移住したはいいけれど、村独特のルールや風習、「地主と小作人」のような旧弊な関係性、土着宗教的な信仰と団結心、お互いを監視し合うスパイ文化などに耐えかねて、1年もたずに都会に逃げ帰る若い夫婦の話は、いくらでもきく。
僕は天然記念物めぐりと仏像めぐりを趣味としていて、年に10回くらいは地方を訪れるが、現地のタクシーの運ちゃんなどに話を訊くと、今でも「ムラ社会」は厳然として存在していて、新参者が馴染むにはなかなかにハードルの高いものがあるという。
そもそも僕の妻の実家は北関東の山間地にあるが、やはり空気感が都会とは全然違う。
まず驚いたことに、在宅中はみなさん、家に鍵をかけない。
朝ごはんの時間に、近くの畑からご近所さんが勝手に家に上がりこんできて、一緒に食べて帰る(これにもすごくびっくりした)。
いまどき犬は全部外飼い。猫は放し飼い。時々はらんで帰ってきて子供を産んだら、当たり前のように川に沈めてから山に捨てに行く。
ゴミは基本すべて自宅の窯で燃やす。家族全員が車持ち(実家だけで4台ある)。犬を連れずに「ただ村を歩いている」人間はとても不審がられる。
四六時中「村普請」があって、農作業や祭りの準備や公共部の掃除がある。若い世代は「消防団」にほぼ強制参加。例外はない。夜の話題はもっぱら近隣住人のゴシップ。とくに出産、病気、受験、離婚などの話題に驚くほど詳しい。何か悪いことがあると、うちのお義母さんは必ず最後に「バチがあたったんよ」と付け加える(笑)。
あと、妊活の時期は、本当にお義母さんから、地で穫れた自然薯や山芋が大量かつ頻繁に送られてきたものだった……(山芋とカボチャのシーンはアレ、マジで超リアルです!)。
みんな驚くほど気さくだし、お互いにおすそ分けをしあっていて仲が良いし、旅行に行くのも習いごとするのもご近所さんどうしだし、基本的に「あの中にいる限りは居心地のいい楽園のような村落共同体」なのだと本気で思う。
でも、僕の妻は「田舎のああいうところがイヤで、イヤで、本当にイヤで、必死で勉強してなんとか東京の大学に受かって逃げるように出てきた。それでなんとか救われた、死なないで済んだ」と吐き捨てるように言っていた。
本作に出てくる村も、僕の知っている妻の田舎とよく似ている。
もちろん映画だから、いろいろ誇張がなされている。
わかりやすい悪事を働いているし、人死にも出る。リアクションも極端になっている。
だが、本質的な部分は一緒だ。
田舎の村社会には、いいところもあれば、悪いところもある。
そして、それは二分された関係のない別の何かではない。
「同じもの」の見せる、コインの裏表なのだ。
― ― ― ―
本作でやろうとしていることは、
『ひぐらしのなく頃に』や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と本質的には変わらない。
古くは津山三十人殺しやそれを題材にした『丑三つの村』、
周南五人殺しやそれを題材にした『つけびの村』『楽園』。
「村」と「部外者」の引き起こす、違和と軋轢の話。
それを、B級娯楽映画の枠内で、なるべくリアリティラインをあげて、「本当に起きてもおかしくない村の話」として組み立てようとしている。
リアルに近づける試みは、「超常現象に頼らない恐怖演出」にとどまらない。
たとえば、村人が村に来たばかりの新参者にはやたら優しいが、「いったん仲間になった新参者」には猛烈に厳しいのは、とてもリアルな感じがする。
学校で転校生はもてはやされるが、半年くらい経つと方言がしゃべれないだけでいじめられだすのと一緒だ。基本的に、「いじめ」は「仲間内」でしか起きないものである。
この物語における「隣人夫婦」は、主人公たちの写し鏡だ。
同じ「移住者」で、結局村に馴染めなかった者。
村の要望に応えられず、村の要求水準に達することの出来なかった者。
その末路が、アレだ。
あの夫婦はたしかに薄気味悪いけれど、主人公夫婦にとっての「敵」ではない。
明日は我が身として、自分を振り返るためのよすが。
彼らの未来をうらなう、「悪いモデルケース」なのだ。
この村には秘密がある。
秘密があるぶん、部外者の取捨には選別が必要になる。
それが冒頭シーンの、手に持っている「鎌」だ。
主人公夫婦の場合は、事前の面談で「与しやすい」タイプと判断されたのだろう。
(農地の相談など、引っ越してくる前に結構事前のやりとりをしている気配がある。)
一方で、この村は限界集落で、子供はほとんどいない。
何がどうなったかは知らないが、村長の子供の世代すらどこにも見当たらない。
(子供ばかりが例の水害で亡くなったみたいな設定にしてもよかったのかも)
この村は、村総意の意思として「次の世代」を希求している。
だから彼らは、新住民を欲する。赤ん坊を欲する。
このままでは、村はなくなってしまうからだ。
そもそも村をなくさないための「秘密」なのに、
村がなくなっては本末転倒だ。
だから、彼らは危険でも「新参者」を受け入れざるを得ない。
ここの描写は、必ずしも映画の中でうまくいっていないので、「なんでそんなヤバい村に若夫婦わざわざ移住させるんだよ」と思うお客さんが多いような気がするのだが、ロジックとしてはそういうことだと思う。
村長夫妻のキャラクターも、漫画的なようでいて、そこそこリアリティがある。
カリスマ性をもって村を支配していても、「仲間に対してはふつうに愛嬌のある」人たちだというのは決しておかしな話ではない。恐怖と友愛。支配には両輪が必要だ。
村長に認められていることが、村民にとっての価値となるためには、一定の指導者に対する敬慕の念が必要となってくる。一方で、仲間の結束を高めるために「出来の悪いゴマメ」を集団でイジメるという行為も発生する。あの「みそっかす」の一家はその犠牲となったわけだ。
いざ危機に立たされると、村長がやけに小物でコミカルなのも、意外とそういうものだと思う(奥さんのほうが断然キモが座っている)。
個人的には、村の雑貨店の反応とか、寄り合いでの奥さん方の反応のほうが、ちょっとやりすぎでコントぽかった気がする。
ちなみに、本作で扱われている真相のネタが非現実的だと考えている方もいるかもしれないが、産業用の「アレ」が国家の認可制で認められていて、むしろ古来の文化を守るために保護されているのは「本当」である。とくに北海道や栃木県は「アレ」の生産のメッカだ。鳥取県では、合法的に「アレ」を扱っていた人物が違法な「アレ」の所持で逮捕され、実際に大問題になったことがある。おそらく、本作の脚本はあの事件あたりにインスパイアされて書かれたのではないか。
― ― ― ―
●ヒロインの深川麻衣のアイドル時代を全く知らないので、なんかこの映画だと、奈緒に見えてしょうがない……(笑)。可愛い若妻としてふるまっているときと、うつろな顔で隈作ってるときのギャップが激しくて、なかなか良い。麻衣ちゃんってイラストが得意らしいんだし、役の絵も自由に好きなのを描かせてあげればよかったのに。
●若葉竜也は『ぼくのお日さま』のゲイカップル以来か。もともと色気と殺気がにじみでてくるタイプだが、こういう善良そうで流されやすいボンボン育ちの役も、器用にこなすんだな。さすがの安定感。あと若葉くんはこの青年についてクソミソにこき下ろしていたけど(笑)、 僕は周辺に合わせるタイプだし、気と押しの弱いタイプなので、結構共感しながら観られた。
●村の駐在さんって、10年前ならマキタスポーツがやっていたような役だが(顔そっくりじゃない??)、実はずっと『あの人が消えた』の駐在さんと同じ俳優さんだと思って観ていたので、別人でびっくりした。富岡晃一郎と中山功太、結構互換性があるのでは。
で、中山功太のことをまるで知らなかったのでネットで検索したら、2年前の陣内智則のYouTubeに出て、ピン芸人トークをしている動画を発見。観てたら「最近、映画のお仕事をいただきまして、髪を役柄上角刈りくらいに短くしないといけなくて」と言っていて、その映画タイトルが「放送禁止用語でピーを入れないと口に出せないんですよ!」って。それ……、「村八分」のことじゃねーかwww
●田口トモロヲはとにかく楽しそう。こういう「怪演しても許される役」って、この手のくせ者俳優にとっては、ほんとやってて面白い得難い仕事なんだろうね。ちょっと映画の空気感からするとコミカルに振りすぎの気もするけど(とくに羅刹顔から恵比寿顔へのやりすぎな顔芸とか)、逆にこの映画の「リアルを目指しているのに予定調和だったりB級っぽかったりするいい加減な部分」を、彼の演技で全部「中和」している印象もある。
●杉田かおるの村長夫人は、本当に僕のお義母さんに雰囲気が似てて、ぞわっとしました(笑)。田舎の人ってああいうこというんだよ、ほんとに!! 実によく研究されたキャラ付けだったように思う。
●この映画に関しては、あまり細かいところに突っ込んでも仕方ない気がするのでくどくど書かないけど、やっぱり「秘密を抱えた村」が敢えて「新参者」を受け入れて、徐々に村に取り込んでいく過程が、あまりうまく描けていないのが一番の問題かと。
同様に、そんなに村民に違和感があって不気味に思うなら、さっさと都会に帰れよって思うお客さんは、けっこういると思う。とくに出産を都会でやったのなら、いくらでもそこで足抜けはできたはずだし(赤ん坊がそれなりの大きさに育った状態で帰ってきていたから、数か月は奥さんの実家に戻って親御さんに面倒を見てもらっていたように見受けられる)。
あとは細かいことだけど、アレの製造所のセキュリティの問題とか、旦那が虫に詳しいネタが冒頭しか出てこないとか、あれだけ意識高い系の夫婦が犬を外飼いするかなあとか、手筒花火にああいうことしてもあんな現象にはならないだろうとか。
とはいえ、映画としては十分楽しかったし、退屈する間もなく観終えられた。
この手の外観の邦画としては、なかなかの佳品だったと思う。
においでわかるに
三河の田舎の村に移住してきた別姓夫婦が、閉塞的で謎の力の蠢く村で翻弄される話。
脱サラし村で農地を借りて農業を始めた夫と、在宅でイラストレーターをする妻を、優しく受け入れてくれた自治会長と村人たちという構図だけれど、SNSより速く拡散される噂話にもうちょい嫌悪感とか警戒感とか持ちましょうねw
そして明らかにヤバい扱いを受けるポンコツ隣人、というよりそういう扱いをする村人にもっと違和感を覚えましょう。
この村に住み続ける理由とか、出来事を成り立たせる理由付けとか、色々と上手くストーリーに織り込みつつ、不穏で胸糞悪い感じを積み上げていく展開はなかなかお見事。
まどろっこしい部分やツッコミどころとかが色々あるし、お残しとかがあってモヤッとした部分もあったけれど、メインの部分ではそこしかない感じのオチにしっかりと繋げてくれて面白かった。
深川麻衣さんの演技がとても素晴らしい作品。 本年度ベスト級。
お気に入りの監督の作品。
これに加え、以前観た深川麻衣さんが井浦新さんと共演した作品の演技が素晴らしかったので、彼女の演技に期待して鑑賞。
期待を裏切らない素晴らしい演技だった!
若葉竜也さんも安定した演技で安心して鑑賞出来た。
ストーリーは既視感ある感じもしたけど、スリラー色が濃い目で恐ろしさがジワシワとやって来る感じ。
都会から田舎に移住した安奈&輝道の夫婦。
村の住人から歓迎されるも何だか不自然(笑)
田口トモロヲさん演じる自治会長の田久保が1番怪しい(笑)
村民達が田久保に支配されている感じなんだけど前半はその理由が解らず。
徐々に田久保の全貌が明らかになって行く感じが恐ろしかった。
安奈と輝道に新たな命が宿ったシーンから恐ろしさが倍増。
輝道が村の村民に染まって行くのに反して安奈は冷静になって行動する感じに引き込まれる。
ラストまで目を離せない展開なんだけど安心出来る終わり方が良かった。
本作のタイトル(ワラウムシ)が意味不明だったけどエンドロールの後に答えがありました( ´∀`)
嫌なら出ていったら(と言ってはいけませんかね)
田舎暮らしにあこがれて移住した夫婦に襲い掛かる、村社会の恐怖のお話。
しかし「最初はよさそうだった村が、一歩踏み込んでみると…」ということではなく、最初から違和感、異変だらけ。これではお化け屋敷のように次々と驚かせるばかりで、物語の起伏がなくなってしまう。
そもそも夫婦がどうして田舎を選んだのか。「#田舎移住」のSNSを投稿するだけでは動機として薄すぎないか。村にこだわる必要はなく、おかしいと思うなら出ていけばいいでしょうと思ってしまった。
村が抱えている事情も拍子抜けで、悪い人が悪いことをしているという単純な話に見えてしまう。立派に伝統を守っている裏にはこんな非合理がある、みたいなギャップが欲しいのですが。
揃いも揃って薄い人物しかいないので、ブラックユーモアとしては面白いかもしれない。ただ、そこで描かれるリンチ(「いじめ」と言って済ませたくない)はさすがに後味が悪かった。
深川麻衣さんはドラマ「彼女たちの犯罪」や「サワコ」で、キャリアを守るために道を踏み外す女性を好演しており、本作の人物像にリアリティがないのは惜しまれた(イラストレーターとしての地位を積み上げてきたらしいけど)。その深川さんをはじめ一同の怪演技には拍手。次作に期待したい。
ヴィレッジスリラー?
夢のスローライフを求めて田舎の村にやってきた夫婦が村民の過剰なお節介が続く中でこの村の異常さに気付いていく話。
本質的にホラーではないことにまず注意しなくてはいけない。
直接的に観客を驚かすような演出はないし霊的、宗教的な要素もない。
あえていうなら自治会長が強い影響力を持つ中で村民がそれに従っていくというのが宗教的ではあるが。
私自身も直接的な怖さは感じなかったが閉鎖的な環境のなかでは力のあるものについていかなければ生きていけないという人間心理が一番怖いし、現実味もあり怖いと感じた。
全117件中、61~80件目を表示














