「夢の生活に潜む恐怖」嗤う蟲 プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
夢の生活に潜む恐怖
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まいまいと夫は田舎に移住して農業を始め、歓迎された。
が、やがて田舎独特の閉鎖性と距離感に悩まされ始める。
夫は村の集まりで自治会長にノリで酒を飲まされる。
田舎だから大丈夫、送ってとのことで運転もさせられる。
そして道中で隣人をひき殺してしまった。
警察に連絡しようとするも自治会長に止められる。
そして気分を落ち着かせるために大麻の煙草を吸わされ、
一緒に死体を捨てて事件を闇に葬った。
夫はその隣人を後継する形で大麻栽培に携わることに。
表面的には国から認可された、伝統的な合法大麻だった。
でも実際には自治会長が麻薬を精製して売ってた。
まいまいはそれを知り、隠す夫に別れを告げ帰京。
・・・ところが村民達に追いつかれ、監禁される。
子供の養育権も自治会長に取り上げられる。
村祭りの日、どさくさで子供を奪還し逃げるまいまい。
自治会長が追いすがるが、夫が殴り倒してアシスト。
こうしてまいまい夫婦と子供は無事逃げ帰った。
なお隣人を殺したのは実は自治会長だった。
金の件で自分に頭の上がらない駐在に銘じて、
見通しの悪いカーブに死体を置かせてたのだった。こわ。
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いやー、異世界に引きずり込まれる・・・そんな感じ。
主人公のまいまいより、その夫に強く共感してもたなあ。
絶対的な権力を持つ自治会長。裏で無茶苦茶やってる。
トモロヲさんの演技がお見事。
コイツ、思い通りにならんかったら何でもしやがる。
夫はコイツに騙され、実質コントロールされてる。
やり口が上手すぎて、おれでも同じ目に遭いそう。
閉鎖的な村への新参者は、その土地の権力者に弱い。
友好的に接して来られたら、頼りたい心理になるだろう。
で世話になるほどに裏切れない状況になって行き、
気が付けば何でも服従・・・ありがちなパターン。
おれもこの夫同様、脱サラしたクチなので分かる。
脱サラする人間は自立した性格と思われがちだが、
決してそうじゃない側面も併せ持ってるもの。
この夫もおれ同様、基本的に権力に弱いんやと思う。
それが不自由やから、脱サラを志したんやと思う。
脱サラ後にさらなる権力に支配されるなんて不幸過ぎ。
男って無駄に義理堅く、情けないとこあるんよね。
この後どう事件が片付くのかは分からんが、
まいまいみたく一本気な嫁を持って良かったね。