新居浜ひかり物語 青いライオンのレビュー・感想・評価
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自閉症の画家の療育記録
自閉症の画家・石村嘉成さんと両親との療育記録作品。 愛媛県新居浜市で生まれた石村嘉成さんは、2歳の時に自閉症と診断された。母・有希子さんはさまざまな施設を訪れ、やがてある療育者と出会った。療育方針は「知識ある愛」で、子どもを叱るのではなく、譲らない療育。その方針を信じた有希子さんは愛に満ちた療育の日々を始め・・・という話。 自閉症の子を持つ家族の大変さは見聞きしてきたが、本作の特徴としては、子供のわがままを許さず、叱らず、譲らず、愛を持ち、好きな絵の才能を伸ばした、という療育の記録という事かな。 絵に関しては、造形は写実的なのに色使いは奇抜、なので、好きな絵かと聞かれれば、自分には合わないかな。作品を見てて、ジミー大西やクッキーなどの芸人画家を思い出したが、色使いの奇抜さは彼らに似てたが、動物の造形を結構写実的に描く所が違ってて、そこが特徴なのかも。 お母さんがガンで亡くなった様で、1番身近で親身になり息子を療育したのに、世間から評価される画家になるまで見守れなかったのは無念だったろう。そこは悲しかった。お母さんが亡くなってからはお父さんが療育を引き継ぎ、才能を伸ばした様で、お父さんも大変だったろうな、と思った。仕事は続けられたのだろうかと経済的な心配をしてしまった。 壇ふみや竹下景子も良かったし、お母さん役の小林章子が素晴らしかった。彼女はRSK山陽放送のアナウンサーが本職の様だが、俳優としても素晴らしかった。
努力の結実と絵画の素晴らしさに感動
今年一番感動しました。とても良い映画
自閉症の画家の石村さんのお話。映画では石村さんの母の努力を描くドラマパートと、石村さんの今を描くドキュメンタリーパートが交互に入れ替わる
ドラマパートはあらすじの通り、石村さんの母が療育の考え方に触れ実践するところが描かれる。周りの理解にも恵まれて石村さんは徐々に社会性を獲得していく。しかし残酷なことに母親は道半ばで病に倒れてしまう
その後、今に至るまでの過程はほぼ描かれない。しかしドキュメンタリーパートを見れば石村さんが一定の社会性を身に付けたことが明白。母の必死の努力が実った時点で泣けるのだが、石村さんの絵が本当に優しく美しくてそれもメチャメチャ泣けた。是非見て欲しい映画
決して特異ではない特別な物語
青いライオン、それは天才が描いたものということではなくて、ひとりの作家の努力の結晶というか到達点だということがよく分かった瞬間、とめどなく涙が流れ出しました。 ドキュメンタリーとドラマがシンプルに絡み合う構成で、なるべく多くの人が感動できるような作品だったような気がします。 シンプルとはいえ、出会いと別れの描かれ方がなかなか巧みだったと─故に単に素晴らしい作家が生まれた背景を知るだけにとどまらず、家族の物語そのものにも感動しちゃいました。そのことを考えると、ドキュメントとドラマという要素が予想以上に巧みに絡み合っていたんだなぁという見終わっての感想です。
石村親子の愛のカタチ
石村さん親子の愛のカタチを見た気がしました。
母・有希子さんが、息子・嘉成くんに注ぐ、厳しくも優しい、まるでライオンのような愛情が丁寧に描かれた作品でした。
母と息子二人きり、夕暮れの病室でのシーン。有希子さんが震える手でそっと嘉成くんの頭を撫でる。「もう最後かもしれない」母の気持ちがよく表れていて、涙が止まりませんでした。
親が子を思う。子が親を思う。残された人の心に、いつまでも生き続ける思い。当たり前のようで当たり前ではない、大切な大切な愛のカタチでした。
上映後、舞台挨拶がありました。嘉成さんは、
「お母さんのことがいっぱいで、うれしかったです。」と涙ながらに話していました。
この映画は、自閉症や療育のことを周知するだけでなく、嘉成くんへの応援歌だと思いました。
詩的な描写がまた、涙を誘いました。
悲しいばかりでなく、最後が嘉成さんの人懐こい明るい顔と声で終わるところもよかったです。
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